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◆総記
<ロシアFAQ目次
機関車トーマスキイ

【link】
株式会社「海軍ラジオエレクトロニクス科学研究所"アルタイル"」
ラジオ技術企業「ラテープ」公式サイト
【質問】
ロシア人の気質は?
【回答】
さとう好明によれば,以下のようなものであるという.
[quote]
歴史学者のベロヴィンスキーによれば,それは癲癇類似性であるという.
根気強くはないが,一旦爆発するとすごい.
その例が10月革命であり,アナーキーに至るのである.
この他に空想癖,お上に対する神妙さ,思いやりであると述べている.
30年身近でロシア人の取引先や部下を見ていると,人間的には面白い人が多いが,男性では鬱病気質が勝り,男女共では
「明日できることは今日はしない」
というモラトリアム的考え方を持っているかのように見える.
[/quote]
―――『ロシア小話アネクドート』(さとう好明著,東洋書店,2004/10/20),p.4
上述引用中にもあるように,著者は30年近くロシア圏に在住しているビジネスマンであり,その情報は信頼できると愚考する.
【質問】
なぜロシア人女性は肥大化するの?
【回答】
遺伝子レベルも一因としてはありますが,他の一因としては,ソ連時代の偏りの大きい食生活も関係してたようです
計画経済の下では肉を買うことはままならず,新鮮な野菜・果物何それ?状態でした.
(だもんでダーチャ(別荘)で野菜や果物を家庭菜園で補っていた)
それで国民はパン・ジャガイモ・砂糖・油を過剰に摂取する状態が長く続いたため,特に女性が肥満体型になりやすい温床があったのです
またソ連の人々は,「カロリー」という概念を基本的に持ち合わせていなかったらしいですよ.
現在のロシアでは市場経済体制に移行し,食料品の品揃えがよくなりバランスの取れた食事をとれることが可能になり,情報量が格段に改善し国民の意識が大きく変化したのも体型改善に一役かいました.
もっとも肥満改善は本人のやる気や体質に関係してくるので,一概には言えませんが.
ロシア民警の女性警察官をペタリ



CRS@空挺軍 in 「軍事板常見問題 mixi支隊」
【質問】
ウォッカはロシア人にとって,どのような位置にあるのか?
ロシア人にとってはウォッカは財政,軍事そして経済全般でも大きな役割を果たしてきたという.
ロシアの著名な化学者,メンデレーエフもウォッカのための研究もしているくらいで.
以下引用.
――――――
ロシア人に言わせますと,ウォッカは,国の誇りと恥,国民性とイデオロギーの一部,喜びのときも悲しみのときもそばにいてくれる友,とにかく,ウォッカに較べられるものは,国民詩人プーシキンしかいないといっても良いくらい「ロシアのすべて」と言える存在です.
〔略〕
ロシアでは,会社の帰りにチョット一杯,あるいは理由もなくただなんとなくいっぱいといった日本式の飲み方はありません.
飲むとなれば,時間の観念を忘れ,徹底的に「豪快」に飲むのがロシア式です.
祝日,そして何か楽しいこと・嬉しいことがある場合はもちろん,辛いときの「自棄酒」にもウォッカは欠かせません.
なんと,死んでもウォッカを注いでもらえます.ロシアでは,人が亡くなると,親戚が必ずグラスに少しウォッカを注ぎ,その上にパンを乗せ,「亡くなった人の魂のため」と言い,9日間ほど家に置いておきます.
久しぶりに友達に会えば,間違いなくまたウォッカが登場します.
一緒にお酒を飲むと,お互いに心と心が触れ合い,親しみ合い,心がウォッカそのもののように透明になると言います.
昔からの友達について,
「一緒にたくさんの塩を食べた(色んなことがあって長い時間を一緒に過ごした)」
とよく言いますが,この諺を
「一緒にたくさんのウォッカを飲んだ」
と,塩をウォッカに置き換える人も多いです.
風のひき初めにも,ウォッカより効果的な治療法はないと言われています.
200ccのウォッカに大量に胡椒を入れて飲み,すぐ横になって何枚も厚い毛布をかけて寝込むと,翌日は生まれ変わったかのように,身体に力が満ち満ちてくるはずです.
ただし,日本人がこのロシア式のレシピ通りの「薬」の量を服用すると,逆に頭痛を起こすこと請け合いです.
――――――小林和男著『ロシアのしくみ』(中経出版,2001/7/9),p.204-205
――――――
ウォッカは,ロシアで発明されたもので,およそ600年間に渡って磨き上げられてきました.
風土に恵まれていないこの国は,葡萄があまりできませんが,ウォッカの生産に必要な小麦と泉の水が,昔からありあまるほどあったわけです.
ロシア人達は,小麦で作ったスピリットをどのように水に割ったら美味しい酒ができるのかと,長年,頭を悩ませていました.
その問題を解決してくれたのが,中学の化学の教科書で良くご存じの元素の周期律を発見した,ロシアの大化学者メンデレーエフです.
19世紀の終わり,名門サンクトペテルブルグ大学の研究室の一室で,メンデレーエフ博士は,最も美味しいウォッカを見つけるために化学実験を続けました.
博士は,蒸留酒は,度数が人間の体温36.6度に近ければ近いほど,飲み易くなることを突き止めました.
さらに,じゅうぶんに体を暖めるには40度まで上げればよいというメンデレーエフ第2の法則を発見したというわけです.
この第2の偉大な法則の発見以来,ロシアのウォッカは,お馴染みのオリジナルな味を持ちました.
〔略〕
ウォッカはロシアの財政,軍事そして経済全般でも大きな役割を果たしてきました.
以前から,ウォッカの国家独占の導入と廃止の繰り返しは続いてきました.
例えば帝政時代の20世紀初めには,国家のウォッカ独占販売の利益は,財政の3分の1も占めていました.
第2次世界大戦の時,ロシア軍の士気を高めるため,兵士達各一人にウォッカ100gが毎日配られるように命じられていました.
――――――同,210-212
消印所沢
▼
――――――
メンデレーエフの法則
小麦のスピリットをどのように水で割ったらおいしく飲めるか,ロシアの人々は民族の課題として500年も頭を痛めていました.
このロシア民族 500年の課題解決に向けて立ち上がったのがメンデレーエフ博士で,おいしいウォッカの飲み方を求めて研究と実験を繰り返した結果,飲みやすいのはアルコール度数36.6度,体を温めるには40度がいいと言う結論に至りました.
この発見以後,ロシア民族500年の呪縛から開放されたロシアの人々は,アルコール度数40度のおいしいウォッカを民族のフラッグシップにし,たとえどんなに失意のふちにあってもおいしく飲めるウォッカによって救い出され,多くの人々がアル中や廃人になる道のりを歩むことができました.
――――――
ひでぇコメントwww
CRS@空挺軍 in mixi,2008年08月04日22:22
▼ したがってウォッカを巡るジョークやエピソードにも事欠かない.
以下はそのほんの一例.▲
――――――
388 名前:番組の途中ですが名無しです 投稿日:04/09/24(金) 13:05:58
ロシア人は度胸があって好きだ(・∀・)ノ
墜落したTu-160から回収されたボイスレコーダー
「第3エンジンに異常発生」
「直すにもまた金かかるよな,このまま行こうぜ」
「第1エンジンに異常発生」
「まだ半分も残っているよ,おっけーおっけー」
「第4エンジンに異常発生」
「まあ一つもあれば着陸して見せるさ,俺を信じな」
「第2エンジンに異常発生」
「さあ!ロシアの脱出装置をご覧あれ!」
「脱出装置に異常発生」
「ウォッカ持って来い」
――――――(ワラッタ2ッキ)
メチルアルコール:飲んだロシア人乗組員2人死亡 八戸沖
28日午後7時ごろ,青森県八戸市の八戸港の北北東約37キロ沖合を航行中のカンボジア船籍貨物船「イースト・ボヤジャー」(2742トン)から
「乗組員4人が工業用アルコール(メチルアルコール)を飲み2人が死亡,2人が下痢と頭痛を訴えている.病院に搬送してもらいたい」
と八戸海上保安部に連絡があった.
同船は約4時間後に八戸港に入港.同保安部は2人の死亡を確認し,2人を病院に搬送した.2人は生命に別条はないという.
調べでは,4人はいずれもロシア人男性で,死亡したのは電気士(45)と機関員(38).病院に搬送されたのは機関士(31)と機関員(54).酒の代わりに工業用アルコールを飲んだらしい.
――――――
ウオツカ代わりに燃料,さび止め? ロシアで中毒続々
厳冬期を迎えつつあるロシアで,飲用に適さないアルコールによる中毒事故が相次ぎマスコミが連日大きく伝えている.
粗悪な密造酒のほか,ウオツカの代用品として工業用アルコール,液体燃料,さび止め,不凍液などを飲んだ例も報告されているという.
ロシア保健省によると,8月から10月にかけて粗悪酒などによる中毒事件が2901件発生し,118人が死亡した.
中毒はロシア全域に広がっており,いくつかの州や都市では非常事態が宣言されている.
各地を移動する自動車で売りさばかれる,素性のはっきりしない酒類が集団中毒を引き起こしている.
背景には,ウオツカに貼る納税証明ラベルの不足で,ウオツカそのものが品薄になっていることも指摘されている.
ただコメルサント紙によると,ロシアでは00年以降,毎年3万5000〜4万5000人が代用アルコールで中毒死しているといい,今年が特別というわけでもなさそうだ.
キャンペーン的な報道の背後に,アルコールの国家独占を狙う思惑があるとの見方も出ている.
――――――朝日新聞,2006/11/1
どんだけ酒好きやねん.
x by mailform
▼ メンデレーエフについては,米原万里『旅行者の朝食』に次のような話が載っていました.
http://www.kiseiza.net/shirasu/vodka.html
しかし,ロシアのウォッカネタについてまじめに考証するのは,『旅行者の朝食』に出て来たロシア人も思ったように,「無粋な事」のような気がしたり(苦笑
寄星蟲 in 「軍事板常見問題 mixi支隊」
▲
【関連サイト】
ロシアのウォッカミュージアム

【質問】
ロシアと言えばウォッカだけど,度数が40くらいのでも外傷の消毒とかできるの?
あと,洗濯にも使えて,車の燃料にも使えて,火炎瓶としても使える?
【回答】
仮に40度のウォッカではなく,薬用や工業用のアルコールでも
・外傷の消毒には使わない・・・傷のない部位や器具の消毒用(アルコールの細胞毒性は傷口の組織まで破壊するから治るの遅れます)
・洗濯にも普通は使わない
・ガソリン機関やディーゼルにも使わない
・火炎瓶にも使わない・・・瓶は使える
本来の消毒用アルコールの用途,つまり器具などの病原菌をほとんどすべて殺す目的であれば,70%の濃度が必要です.
しかし,40%でもある程度の殺菌力がありますから,他に適当な消毒剤がない場合,器具消毒にウォッカ代用は意味があります.
もっとも煮沸できればその方が確実だけど.逆に粘膜や露出した創傷に対しては40%アルコールは傷害作用があり,好ましくありません.
とはいえ,非常に不潔な傷の場合,局部がアルコールによる傷害を受けても,感染の可能性を下げる方が良いこともあります.あくまでもしかたない場合の手段です.健康な皮膚の消毒に使うのは,他にもっと適切な消毒剤がなければ,良い方法でしょう.
洗濯に使うにはもったいなすぎますが,これも石ケンなどがない場合に脂分を取るためには有効です.
70%アルコール綿は,病院でちょっと取れにくい汚れをするときなどに重宝してます.
【質問】
ソ連の戦争映画って何でバッドエンドばかりなんですか?
ソ連人は皆,逆境マニアなんですか?
【回答】
戦争映画に限らず,ソ連・ロシア文学では伝統的に悲劇とか苦悩が深いものが好まれる傾向があって・・・.
例えばジョークでも
「無人島に男ふたりと女ひとりが流れ着いた.さあどうする?
フランス人の場合:女は片方の男と結婚し,もう一人と不倫する.
アメリカ人の場合:女は片方の男と結婚し,離婚してから次の男と再婚する.
ドイツ人の場合:女と男ひとりが結婚し,残りの男が立会人を務める.
日本人の場合:男ふたりは,どちらが女と結婚したらいいか本社に問い合わせる.
スウェーデン人の場合:男ふたりは愛し合い,女は自分を愛する.
ロシア人の場合:女は好きではない方の男と結婚し,そのことを一生嘆く」
なんて言いますよ.
軍事板
【質問】
ソ連の「赤い10月」とは部隊名なのでしょうか?
【回答】
「赤い十月」ってのは,ボルシェビキ(ソ連共産党)が権力を奪取した10月革命のこと.
旧ソ連では名誉称号として,こういう名称が様々な部隊や工場施設,果ては地名にまでつけられた.
海軍艦艇にも「○○市青年共産党同盟員」だの「偉大な10月革命60周年」だのといった艦名があった.
【質問】
ロシアは,どうしてあれほど広大な領土を保有するに至ったのですか?
【回答】
制圧できたのは優れた火器のおかげ.
銃と大砲を装備したコサック兵は,たった500名でシビル−ハン国の首都を陥落させている.侵攻開始から僅か4年.
しかし草原部の戦いでは敵の騎兵に手こずり,結局シビル−ハン国を滅亡させるまで20年を要している.
広大な領土を維持できたのは,元々ロシア人が川を水路として移動する技術に長けており,シベリアを走る大河を利用して自由に移動できたことが一点.
毛皮にしか興味がなかったので,僅かに生活する原住民には積極的に干渉(支配)しなかったことが一点.
さらに毛皮を求めて東進を続け,苦労しながらモンゴル軍,満州軍などを制圧してゆくが,清帝国と接触したとこで「これはいままでの相手と違う」と判断し,1689年にネルチンスク条約を締結,国境線を確定させた.
ちなみにロシア(モスクワ大公国)の豪商ストロガノフ家が私兵団をシビル−ハン国に派遣したのが1578年.
ということで,シベリア打通には100年以上かかっている.
【質問】
2ちゃんにいると,よく変なオッサンに「シベリアで木を数えてこい」って言われるんですがアレ何者ですか?
あと木を数えるってのは具体的に何をすればいいの?
【回答】
オッサンはスターリン.
で,昔,ロシア皇帝やソ連の恐怖政治のときに,シベリアへ流刑したのね.
昔のロシア(帝国の方)やソビエトで,公式の場で致命的なミスをしたり,権力者に嫌われたりするとそういう待遇が待っていた.
「木を数える」っていうのは,「それくらいしかやる事がない」ような悲惨な環境に送られる,ってこと.
そこから,
シベリアで木を数える=政治犯として流刑
という婉曲的表現が,ロシアでは使われていたんだよ.
また実際,強制収容所に送られた人に
「毎日毎日,無意味にその辺の木の数を数えさせる」
という嫌がらせもやっていた(人間は無意味な行為を延々と強要されると,精神が崩壊する).
転じて,今の2ちゃんでは「出ていけ!」ってことで使われてるんだと思うよ.
軍事板
【質問】
ソ連国歌は何を歌ってるの?
▼ 【回答】
ソ連国歌は歌詞が年毎に変化しております
建国当時〜大祖国戦争まで インターナショナル
↓
1944-1955 ソ連国歌 スターリン版
↓
1955-1977 ソ連国歌 メロディーのみ
↓
1977-1991 ソ連国歌 新版
「スターリン版」は歌詞にスターリンを讃えるフレーズがあったので,フルシチョフによるスターリン批判の影響で削除され,メロディーのみが演奏されましたが,ブレジネフが書記長になると該当の部分は新しく入れ替えられて,歌うことが許されました.
ソ連国歌の歌詞は「露西亞舘」にあります.
引用すると
[quote]
ソ連国歌新版
(1)
自由なる不動の国
永久に在れ 我がロシア
皆称えよ 人民の
力強き ソ連邦を
称えよ自由なる我等が祖国
民族友好の絆
レーニンの党は 我等を導く
共産主義の勝利へと
(2)
嵐を衝き 自由の陽は
我が元照らし レーニンは
我等を正義の偉業へ
労働へと導かん
称えよ自由なる我等が祖国
民族友好の絆
レーニンの党は 我等を導く
共産主義の勝利へと
B
共産主義 その未来
祖国の勝利 我,見たり
祖国の紅き旗に
永久に忠誠を誓う
称えよ自由なる我等が祖国
民族友好の絆
レーニンの党は 我等を導く
共産主義の勝利へと
[/quote]
で,こちらが問題となったスターリン版.
[quote]
(1)
自由なる不動の国
永久に在れ 我がロシア
皆称えよ 人民の
力強き ソ連邦を
称えよ自由なる 我らが祖国
民族友好の力
ソビエトの旗 人民の旗よ
勝利を 示したまえ
(2)
自由なる陽 あまねく照る
偉大なるレーニン 道を示す
スターリンは 我等を導く
偉大なる 正義の偉業へと
称えよ自由なる 我等が祖国
民族友好の力
ソビエトの旗 人民の旗よ
勝利を 示したまえ
(3)
戦場にて 隊伍を組み
下劣なる敵を屠らん
戦にて命運を下し
祖国を栄光へ導く
称えよ自由なる 我らが祖国
民族友好の力
ソビエトの旗 人民の旗よ
勝利を 示したまえ
[/quote]
ちなみに以下↓ は,1970年代の戦勝記念パレード用に作られた”勝利の日”という歌.
CRS@空挺軍 in 「軍事板常見問題 mixi支隊」▲
”勝利の日”
1.ヂェニ パヴェーディ カク オン ヴィル アト ナス ダリョク
カク フ カストレ パトゥフシェムタヤル ウガリョーク
ブィリ ビョールスティ アブガレーリイェ フ ブィリー
(以下8行くり返し)
エータト ヂェニ ムィ プリブリジャーリ カク マグリー
エータト ヂェニ パヴェーディ
パーラハム プラパーフ
エータト プラーズドゥニク
ス スィディノーユ ナ ヴィスカーフ
エータト ラーダスチ
サ スレザーミ ナ グラザーフ
ヂェニ パヴェーディ, ヂェニ パヴェーディ ヂェニ パヴェーディ!
2.ドゥニ イ ノーチ ウ マルチェナフスキフ ピチェイ
ニェ スミカーラ ナーシャ ローヂナ アチェーイ
ドゥニ イ ノーチ ビトゥヴ トゥルードヌユ ヴィリー
(以下8行くり返し)
3.ズドラーストゥイ マーマ ヴァズヴラチーリシ ムィ ニェ フシェー
ボスィコムブィ プラブィジャーッツァ パ ラシェー
ポール イヴローッピ プラシャガーリ パルゼムリィー
(以下8行くり返し)
<歌詞大意>
1.勝利の日.なんて遠かったんだろうか
焚き火の跡の彼方の幻のように
焼けぼっくいの上のすすのように儚かったことか
(以下くり返し)
それが今や近づきつつある.
それは勝利の日.硝煙の臭い.
それは祝うべき日.老兵のこめかみの白髪.
それは喜び.目にこみ上げる涙.
勝利の日!勝利の日!勝利の日よ!
2.昼も夜も,戦いのかまどは燃え盛り,
祖国の為,目を閉じる暇も無く
昼も夜も,祖国を守り続けた日々
(以下くり返し)
3.母さん今日は!朝露の消えないうちに裸足で帰るよ.
だが俺たちの中には帰ってこない奴もいる.
ヨーロッパの半分を,大地の半分を歩き通した日々
(以下くり返し)
アレクサンドル・アレクサンドロフ in 軍事板
【質問】
ロシアが世界の超大国に返り咲くことはありえるのでしょうか?
【回答】
ソースにやや難があるが,北野幸伯によれば,現在のロシアの成長は「成熟期の成長」であり,超大国に返り咲くことはありえないという.
以下引用.
私の答えは「ありえない」です.
これは,ライフサイクルの話.
ロシアはソ連時代,周辺14共和国を直接統治し,間接統治は世界の3分の1におよびました.
これはライフサイクルでいえば,立派な真夏.
つまり,ロシアはソ連時代,既に歴史上のピークに達したのです.
今の成長は何かというと,成熟期の成長.
つまり,サッチャーさん時代のイギリスの成長,レーガンやクリントン時代のアメリカの成長と同じ.
ロシアが成熟期である証.
この国の人口は年間70万人(!)の勢いで減少しているのです.しかも,ロシアの人口は中国の10分の1程度.
ということは,給料の上昇が中国やインドよりも早い.
実際,金融危機があった98年,ロシア人と中国人の平均月収はどっこいでした.
それが,今ではロシア人の月収は中国人の3倍の約300ドル.
これはロシア人にとってはよいことですが,投資する側はやっぱり,「中国」,その後は「さらに安いインド」という流れになるでしょう.
(しかし,ロシア人の消費意欲はクレイジーですから,市場としての魅力は十分あります)
もう一つ,権威ある会社のデータを見てみましょう.
最近,「ロシアはうっさんくさい!」という日本人も減ってきました.
その大きな理由は,BRICsという言葉が定着してきたことでしょう.
ゴールドマン・サックスの2003年10月のレポートによると,2050年のGDPは
1位中国(!!!)
2位アメリカ(涙)
3位インド(!!!)
4位日本(涙)
5位ブラジル(!!!)
☆6位ロシア
7位イギリス(涙)
となります.
これを見てわかることは,
1,アメリカ最大の脅威は中国である.
2,中国とインド両国を敵に回すのは得策ではない.
3,アメリカはインドと組んで中国をつぶさなければならない.
4,ロシアは2050年になってもかつてのような脅威にはなりえない.
というわけで,ロシアがかつてのような超大国になることはありえない.
しかし,多極世界で一極を占める力は十分あります.
アメリカもこんなことはわかっています.
アメリカにとって,ロシアは最大の脅威ではなく,脅威はいまだ成長期にある中国.
2月3日に発表された米国防総省の「4年ごとに行なわれる国防計画の見直し(QDR)」,この中で,「ロシアは,冷戦時の旧ソ連のような脅威にはなりそうもない」.
一方中国は,「潜在的な軍事的脅威」になる可能性がある.「中国は96年以来毎年約10%づつ国防予算を増やしているが,動機が不明.」
「中国は対する適切な対応策を講じないとアメリカの軍事優位が崩れる恐れがある」
北野幸伯著「ロシア政治経済ジャーナル」No.379,2006/3/6号
……ということは,あの味のあるロシア海軍の艦隊も,半数近くは現役復帰は望めないということかな?
ただ,この「ジャーナル」,じゃっかん分析に難があるときがあるので,留意されたし.
ところでプーチン登板以前はロシア国内は,地方政府の自治権をどんどんと,
ある意味無秩序に増やしていく傾向だった.
というのも中央政府にカネが無く,そもそも徴税組織を建て直すカネすら事欠く有り様だったから,中央集権なんて何処のお伽話ですかてなもんで,地方を自治政府として切り離して援助はしないし代わりに搾取も干渉もしないからお前ら自分で頑張ってください,という方向を打ち出さざるを得なかった.
その後エリツィンからプーチンに代替わりした時点で方向転換した.
切り売りしたって誰も儲からない.
地方政府は干上がるし,ロシアという国そのものが地方切り捨てで小さく小さくまとまっていくと,最終的には
モスクワ大公国の時代ぐらいまで縮小均衡する怖れすら有った.
だから強力な中央集権制にして,大統領府があらゆるレベルに介入できる行政権を持つ構造に改革した辺りで税収がようやく安定,その後エネルギー需給の悪化で資源大国であるロシア経済が持ち直した.
だからエリツィンがもっと酒浸りでヤケを起こしていたらとか,プーチンみたいな有力な後継者が居なかったらとか,経済危機の時点で歯止めが掛からずもっと貧乏になってたらとか,可能性としては更にどうしよう
もない四分五裂だった可能性は十分にあった.
軍事板
「大国ロシア」の夢は,これで我慢してやってください

【質問】
イタル・タス通信社のゴロブニン東京支局長についての評価は?
【回答】
『佐藤優の「地球を斬る!」』,2007/10/31付によれば
[quote]
日本専門家の第一人者で,同支局長の見解はロシア外務省はもとより,クレムリン(ロシア大統領府)も重きを置いている.
よく訓練されたジャーナリストである
[/quote]
との評価.
佐藤の経歴を考えれば,この記述は比較的信頼性が高いと考えられる.
+
◆◆科学技術
【質問】
ロシアの科学技術は劣っているのか?
【回答】
決してそうではない.
基礎研究の分野においては,日本や欧米とは発想が異なるユニークな研究成果が多い.
ただし,それらが実用化に結びつかず,国際市場で競争力を持つ製品を生み出すことにはならなかった.
現在では研究投資の貧弱ぶりから,それらの衰退が危惧される.
以下引用.
ソビエト,ロシアの科学技術,特に基礎研究の分野においては,日本や欧米とは発想が異なるユニークな研究成果が多いと言われています.
宇宙開発,軍事など国家が優先して,その研究成果を実用に生かしていった分野では,アメリカと比肩する実力をつけ,共産主義陣営の雄としてのソビエトの立場を強化するのに貢献しました.
一方,それ以外の分野では,官僚主義の硬直化した縦割り行政と,技術力の向上を促す自由競争の欠如により,研究成果と実用化,マーケティングが効率的に結びつかず,国際市場で競争力を持つ製品を生み出すことはできませんでした.
ソビエト崩壊後,外国からの投資や原油や天然ガスによる利益は,マネー・ゲームに投入されて研究と生産の現場には殆ど向かいませんでした.
ロシアには,時間の経過と共に,これまで培ってきた科学技術の成果を生かす機会を逸してしまうという懸念もあります.
〔略〕
ロシアは,コンピュータなどのデジタル技術では,日本やアメリカに大きく遅れています.
そのロシアがなぜ宇宙開発の最先端かと,疑問に思われるでしょう.
しかし宇宙空間では,宇宙塵や宇宙放射線の影響がデジタル機器にどのような影響を与えるのかいまだに十分に解明されていません.
また,緊急事態が起きても,すぐに駆けつけることのできない宇宙空間では,宇宙飛行士の手で動かすアナログ技術のシステムも無視できないのです.
小林和男著『ロシアのしくみ』(中経出版,2001/7/9),p.116

【質問】
なぜロシアからの頭脳流出が起きているのか?
【回答】
生活難や先行きが不透明なことによる.
核専門家がテロ支援国家に流れて,核開発がその国で行われては大変なことになるため,先進国ではそれを食いとめるための助成プログラムを支援している.
以下引用.
ソビエト時代,科学アカデミーの研究者達は,国家の頭脳として恵まれた待遇にありました.
しかしソビエト崩壊後,財政難のため学術研究分野の予算は大幅に削減され,資金不足で十分な研究活動が行えなくなりました.
また,激しいインフレで多くの研究者達は生活していくのもやっとという厳しい状況に追い込まれました.
外国,とりわけ西側の研究機関と共同で活動を行う機会に恵まれた研究者は,月に数百ドルから数千ドルと,平均給与の数倍から数十倍に当たる給与を得て,外国での学会に参加することもできます.
しかし,そうした機会に恵まれない研究者は,月収が50ドル前後で,生活維持のため複数の副業を持たなければならず,研究活動にじゅうぶんに従事できないという事態が起きています.
こうした事情や先行きが不透明なことから,研究者の一部は,活動の場を海外に求めるようになります.
学術界に多いと言われるユダヤ系市民がイスラエルへ移住したのをはじめ,研究生の招聘や交換プログラムを利用してドイツ,アメリカ,イギリスなどへ移るケースが目立ちます.
ここ数年は,有識者を優先して移民を受け入れているカナダ,ニュージーランドも人気を集めています.
特に核関連の研究者の中には,高い給与と特典を条件に,核開発を進める国々に招かれるケースも出てきています.
先進国の間では,核兵器や関連技術がイラクや北朝鮮・朝鮮民主主義人民共和国などに拡散することへの懸念が高まり,ロシアに対して資金援助を行い,核専門家の流出を避けるための受け皿となる研究機関作りを促しました.
また,アメリカの「カーネギー基金」や国際投資家ジョージ・ソロス氏の設立した財団,EU=ヨーロッパ連合などの助成プログラムも実施され,核開発だけでなく,幅広い分野にわたって,研究者と研究機関の活動に対して支援を行っています.
小林和男著『ロシアのしくみ』(中経出版,2001/7/9),p.126-127
【質問】
秘密都市とは?
【回答】
ソビエト時代,ベールに包まれていたのが,核開発が中心に行われた秘密都市です.
秘密都市は10あると言われ,研究機関の科学者と技師,その家族しか出入りすることが許されませんでした.
連邦崩壊後も立ち入りは制限されています.
秘密都市は「アルザマス16」,「チャリャビンスク70」,「クラスノヤルスク45」というように番号がつけられ,各都市に科学アカデミー会員の科学者が送り込まれ,国家と共産党の指令に従って核開発が進められました.
小林和男著『ロシアのしくみ』(中経出版,2001/7/9),p.128
道に迷って,こういう都市に迷い込んでしまったら,どうなるんだろ……?
【質問】
バイコヌール宇宙基地はどういう施設から構成されているのか?
【回答】
横幅120km,奥行き80km,広さ7300m2.
15の発射台やロケット組み立て工場がある.
宇宙開発の犠牲者達を偲ぶ記念碑も.
以下引用.
ロシアには,この他主な宇宙基地が3ヶ所(プレセツク,カプスティン・ヤール,スバボードヌィ)ありますが,15の発射台やロケット組み立て工場を誇るバイコヌール基地が最も充実しています.
この基地の横幅は最大120km,奥行きは最大80kmで,広さはおよそ7300m2と,宮城県とほぼ同じで世界最大の面積を誇ります.
1955年,中央アジアを流れるシルダリア川沿いのチュラタムに建設されました.
ロケットの種類によって発射台が異なり,友人飛行に使われる「ソユーズ」,大型衛星を打ち上げる「プロトン」,大陸間弾道弾ミサイルを改良した「ゼニット」,その他計画が中止された全長60Mの巨大ロケット「エネルギア」の発射台があります.
「ソユーズ」ロケットの打ち上げに使われる発射台の一つは,「ガガーリン・スタート」と呼ばれています.
ガガーリン大佐を乗せたロケットをはじめ,殆どの有人飛行の打ち上げが行われ,打ち上げ回数は400回以上に上ります.
栄光の歴史だけでなく,事故の記録も刻まれています.
1960年10月に発射準備中のロケットが爆発し,ネジューリン元帥を含む50人以上が焼死しました.
ソビエト時代,事故に関する情報は犠牲者の親族に対しても秘密にされました.
現在,発射台跡やバイコヌールの町(旧名レニンスク)には,宇宙開発の犠牲者達を偲ぶ記念碑が建てられています.
小林和男著『ロシアのしくみ』(中経出版,2001/7/9),p.112-113
【質問】
バイコヌール基地はカザフスタンが独立した後も,ロシアが使っているのか?
【回答】
カザフスタンとロシアとの関係に左右されるようになったため,現在ではバイコヌールは商業打ち上げにしか使われず,軍事用ロケットの打ち上げは,プレセツクへ移転したという.
以下引用.
ソビエト崩壊後,バイコヌール宇宙基地はカザフスタン領になりました.
待遇改善を求めるカザフ人労働者による暴動も発生し,専門家や技術者の流出が相次ぎました.人口10万の内,ほぼ半数がロシアに戻ったと言われています.
カザフスタンは,ロシアに対して基地の使用料を支払うよう要求し,1994年,年間に1億1500万ドルを支払うことで合意しました.
しかし財政難のため,ロシアの支払いが遅れたり,ロケットの墜落事故でカザフスタンが一時打ち上げを差し止めたりするなど,バイコヌール宇宙基地の運用はロシア・カザフスタンの2国間関係に大きく左右される状態になっています.
このため,ロシアは,バイコヌール宇宙基地を商業打ち上げに限り,安全保障と直接関わる軍事用打ち上げは,ロシア北部のプレセツク宇宙基地から行う方針を決めました.
小林和男著『ロシアのしくみ』(中経出版,2001/7/9),p.113-114
ウクライナ領になってしまった某造船所みたいな話やね.
◆軍事産業
【質問】
ロシアが,この数年間,軍事的取引に相当の力を入れているのは何故か?
【回答】
外貨獲得により,国家財源を安定させると共に,ロシア軍近代化のための財源を確保しようとしているためだという.
しかし,「危ない橋」であると見るジャーナリストもいる.
以下引用.
GDP2倍増を目標としているロシアは,この数年間,軍事的取引に相当の力を入れている.
インド,マレーシア,イエメン,エジプト,中国,ヴェトナムなどに積極的にアプローチし,次から次へと取引を成立させた.
日本へも,民間転用できる軍事技術を積極的に売却しており,
「買ってくれるなら,何処にでも売ります」
という状態なのだ.
この「大セール」の理由は2つある.
ロシア国防省の機関誌「母国」は,それを次のように説明している.
第1の理由はやはりカネ(外貨獲得)である.
現在,ロシアで国際競争力のある商品と言えば,石油と軍事的技術しかない.
それをフル活用し,外貨を稼ぎ,国家財源を安定させるという目的だ.
もう一つの理由は「ロシア軍の完全立て直し」である.
急速に軍の近代化を進めているアメリカやイギリスに比べ,ロシアの軍隊は衰退していく一方.
時代遅れの技術や兵器を売れる内に捌き,軍隊編成の効率化,特に,高額な投資が必要となる軍事情報技術屋宇宙計画の財源に充てるという狙いだ.
だが,この2つの目的を両立させるのは至難の業.
「一石二鳥」にも見える軍事技術の大セールだが,下手をすれば「唯一の輸出品」を失った上に,最新技術獲得も頓挫するという事にもなりかねない.
膨大な出費が避けられない軍事改革によって,またしても経済が崩壊するというシナリオもある.
「超大国ロシアの復権」を目論むクレムリンは,非常に危ない橋を渡ろうとしているといえよう.
(Domitry Novikov from "SAPIO"
2004/2/25号,p.53)
余談だが,アメリカにもロシア製兵器を購入する計画があるという.
イラク向けに輸入するつもりなのだとか.
以下引用.
ロシアから4億ドル相当の武器購入 米国 [7/15]
アメリカ政府がロシアから4億ドル相当の武器を購入する計画を立てていることを武器輸出商社Rosoboronexportが示唆している.
アメリカがロシア製の武器を購入する意図は不明とされるが,イラクに進駐する米軍が使用するものと見られている.
Rosoboronexportではこの3月末までに170億ドルの受注を受けており,昨年度は61億2600万ドル相当の武器を61カ国へ輸出している.
ロシアから海外へ輸出された武器の52%は海軍用の機材で,44%を空軍向けの機材が占めている.
同社が昨年締結した契約では契約高は90億ドルを超えている.
【質問】
ロシアの軍需産業の武器輸出は,「軍需産業を復興拡大して強いロシアの復活を」という,特別の使命感に燃えているように思えるのですが.
消印所沢 in mixi支隊
【回答】
それは確実にありますね.だから,メーカーを集約して無駄を省き,競争力を高めようとしていますし.
でも,親方三色旗の下に統合しようとしているあたりが,ちと不安を感じさせる要素ではありますが.
余談ですが,ロシア人がなかなかの強かぶりを見せる,ボーイングとロシアのチタン・メーカーのジョイント・ベンチャー話をめぐるあれこれ.
http://www.defenseindustrydaily.com/2006/08/titanium-boeing-signs-deal-with-vsmpoavisma/index.php#more
http://www.defenseindustrydaily.com/2006/08/titanium-sanctioned-rosoboronexport-buys-1-producer-vsmpoavisma/index.php#more
井上@kojii.net in mixi支隊
また,経済誌によれば,ロシアの武器輸出は,武器輸出額の9割弱を占める国営企業「ロシア国防輸出」を中心として拡大戦略を採り,民需産業を主導してその立て直しを図る方向に向かっているという.
以下引用.
04年4月,ロシア国防輸出のチェメゾフ第1副総裁が総裁に昇格し,ロシア国防輸出を金融産業コングロマリット化する政策を打ち出した.
それは,国防産業の再編に絡むものと,自動車産業の再編に絡むものという2方向で進められた.
国防産業については,04年11月29日付大統領令によって設立されることになったヘリコプター製造持ち株会社が,ロシア国防輸出の子会社であるオボロンブロム(ロシア国防輸出とロシア資産管理庁の保有する株式比率は82%)をもとに設立されることになった.
また,ロシア国防輸出は直接には関与しないが,プーチン大統領は06年2月,ロシアの航空機製造会社を統合した統一航空機製造会社を設立する大統領令に署名した.
この統合とともに,ジェットエンジンを製造する国内の6企業を統合する計画もある.
自動車産業の再編に関しても,ロシア国防輸出が重大な役割を果たした.
ロシア国内最大の自動車メーカーであるAvtoVAZ(アフトワズ)の支配権が05年12月,事実上,国家に移行した.
それまで,同社株の62%は子会社2社に属していたが,ロシア国防輸出が7億ドルでその子会社を買収.
アフトワズの臨時株主総会で,ロシア国防輸出のアルチャコフ副社長が取締役会議長,エシポフスキイ部長が社長に任命された.
ロシア国防輸出がアフトワズの支配権を握ったことで,国防企業であるアルマズ・アンテイに自動車部品の一部を生産させる構想もある.
こうして,軍需産業が民需産業を主導し,その立て直しを図るという方向性が明確に打ち出された.
プーチン大統領の元,ロシアの軍需産業は国内産業全体の再編に関わる重大な役割を果たしたことになる.
ただし,その成否についてはこれからだ.
塩原俊彦(高知大学助教授) in 「週刊エコノミスト」
2006/7/18号,p.42
その国営企業が赤字ぬるま湯体質にならなきゃいいんだけどね.
【質問】
ロシアの兵器輸出に関する問題点は何か?
【回答】
大きな利権の巣窟であるために政治が絡んでくること,ほぼ1社の独占状態であるための弊害などが生まれているという.
以下引用.
兵器の輸出は大きな利権の巣窟で,「ロスボオルジェーニエ」の経営はしばしば政治問題ともなっています.
「ロスボオルジェーニエ」という独占体では,兵器輸出の手数料が高くなると多くの工場から不満も出て,1997年には「プロムエクスポルト」,そして「ロシア・テクノロジー」の2つの企業にも兵器の輸出業務が認められました.
それでも「ロスボオルジェーニエ」の輸出シェアは90%に上り,事実上の独占状態が続いていました.
しかし2000年11月にプーチン大統領は,「ロスボオルジェーニエ」と「プロムエクスポルト」の2つの国営会社を統合し,新たな国営会社「ロスオボロンエクスポウロト」を設立しました.
統合の理由としては,兵器の輸出産業が互いの利権を追求するあまり,兵器のダンピングに走り,結果的に双方の経営に大きなダメージを与えることが挙げられますが,社長に自らのKGB人脈の人物を据えるなど,プーチン大統領が武器輸出に自らの影響力を強めたかったというのも大きな理由の一つでしょう.
〔略〕
プーチン大統領は就任以来,積極的に外国訪問をしていますが,訪問先はロシアの兵器の主要輸出国か,将来輸出市場になる可能性のある国であることは注目すべきです.
プーチン就任の初年,2000年には,ロシアの兵器輸出額は38億ドルと最高を記録しています.
小林和男著『ロシアのしくみ』(中経出版,2001/7/9),p.94-96
財政難にあえぐ新生ロシアにとって,通常兵器は,石油や天然ガスなどの天然資源と並んで重要な輸出品で,輸出に力を入れています.
1993年には,ロシアで生産される兵器を独占的に輸出する国営会社「ロスボオルジェーニエ」が作られ,海外への売り込みを活発化させました.
特に,アメリカが唯一の超大国として世界への影響力をより増していく中で,一極支配に強く反発するロシアは,伝統的な兵器供給先の中国・インドなどとの関係を強化し始め,兵器の輸出を積極的に進めています.
〔略〕
イギリスの国際戦略研究所が纏めた「ミリタリーバランス2000-2001」によると,1999年の世界各国の兵器の輸出割合でロシアは,アメリカ,イギリス,フランスに次いで4位を占めています.
アンリかが全体のほぼ半分の割合を占めているのに対し,ロシアはおよそ35億米ドルで6.6%.前年に比べれば2ポイント延ばし,1991年のソビエト崩壊以来の最高額を記録しましたが,かつて争ったアメリカには大きく離されたままです.
ロシアの輸出主力兵器はスホイやミグといった戦闘機,戦車,戦艦〔原文ママ〕,そして地対空砲などです.
小林和男著『ロシアのしくみ』(中経出版,2001/7/9),p.94-96
【質問】
ロシアの軍事産業の現状は?
【回答】
現存するのは1500ほどで,それらの生産能力の内,活用されているのは50%程度.
国からの発注に半数を頼っている状況.
ジリ貧は必至.
以下引用.
ロシアの軍事産業関連の通信社「TS-VPK」の資料によると,軍産複合体企業は1999年でおよそ1500あります.
このうち国営企業が600余り,国と民間が株式を持つ企業が500,民間企業が300余りです.
全体の生産能力を100とすれば,現在活用されているのは,半分程度の生産力であるとされ,その半分近くが国からの発注です.
軍民の生産量割合で言うと,軍事品・民政品はほぼ半々で,軍事品のうち6割は輸出されています.
部門別の企業数で言うと,
航空産業が20%,
ミサイル製造17.8%,
造船11.5%,
通信関連10%
などとなっています.
〔略〕
新生ロシアの財政難で国防費は大きく削減され,軍需発注をこれまでのようには受けられなくなった軍産複合体企業は,その収入源を大きく失いました.
さらに,完了した契約についてさえ,国からの支払いが滞る事態まで起きる有り様です.
これはこうした企業が国に税金を支払わないことにも繋がり,未払いの連鎖がこの部門では顕著に見られるようになったのです.
例えばシベリアの多くの町では,独ソ戦の最中にドイツからの攻撃を避けるため,ソビエト・ヨーロッパ部にあった軍需工場が数多く移転してきました.
こうした工場は,その後,地域の基幹産業として発展しましたが,国の支えを失った今,厳しい状況に追いやられています.
〔略〕
多くの工場で,国からの発注がなく稼動できなくなったものの,国防関連ということで有事の際に生産を即時に再開できるよう設備を整備することが義務付けられ,経営の大きな負担になっているという話も聞かれます.
小林和男著『ロシアのしくみ』(中経出版,2001/7/9),p.91-94
現在,地方産業の生産指数は,90年代の初めに比べ40%も減少し,賃金の目減りや未払い,失業率の上昇の傾向を加速させました.
生活費に困っている労働者達は,家族を養うため,郊外の畑で野菜を作ったり,白タクで稼いだり,いかがわしいたぐいのアルバイトにまで精を出し,工場の部品や資材などの横流しなども当たり前のことになっています.
同,p.194
ただし,その後はそうした衰退状況から抜け出しつつある模様.
以下引用.
ロシアの軍需産業はプーチン政権下で存在感を強めている.
(1) 国防予算の増加
(2) 武器輸出の増加
(3) 国家による軍需産業支援と民間企業への干渉拡大
――を特徴として,軍需産業はソ連崩壊後の苦境からようやく脱却しつつある.
〔略〕
05年予算では,〔略〕連邦予算全体の軍事支出は3兆479億ルーブル(約12兆7000億円)にのぼった.
06年の当初予算では,〔略〕4兆2701億ルーブル(約17兆円)にのぼる見込みだ.
こうした国防予算の増加に合わせて,国家から軍需産業に対する武器の発注額も増加している.
表1に示したように,武器生産の発注などを主な項目とする「国防発注額」の推移を見ると,諸説あるが,00年に比べて,05年は年額ベースで4倍前後にまで膨らんだ.
06年の予測額は2830億ルーブル(約1兆2千億円)にまで拡大する見通しだ.
表1 ロシアの国防発注額の推移(10億ルーブル)
(出所)「コルメサント」2005/12/29付
| 年 |
2000 |
01 |
02 |
03 |
04 |
05 |
06(予測) |
| 発注額 |
42.9 |
52 |
79 |
118 |
148 |
186.9 |
283 |
加えて,武器輸出が好調なことも軍需産業にとって追い風となっている.
05年の武器輸出は当初,前年実績を下回ると予測されてきたが,結局,61億ドル(約6700億円)と,04年実績を上回った.※
〔略〕
輸出先出は,これまで中国向けが突出していたが,06年に入って,「ロシア国防輸出」がアルジェリアに40億ドル(約4400億円)を上回る軍事技術供与契約を締結するなど,武器輸出先が多様化しつつある.
塩原俊彦(高知大学助教授) in 「週刊エコノミスト」
2006/7/18号,p.42
※05年度はアメリカを抜いて武器輸出額で世界1になったという.
以下引用.
露の武器輸出急増 途上国向け,米抜き1位 米議会報告
【ワシントン=有元隆志】米議会調査局は29日までに,1998年から2005年にかけての発展途上国への武器輸出報告書をまとめ,05年の武器売却契約で,ロシアが91年の旧ソ連崩壊後初めて米国を抜いて第1位となったことを明らかにした.
〔略〕
ロシアが05年に発展途上国と交わした武器売却契約は70億ドル(約8200億円)で,04年の売却実績54億ドルを大きく上回った.
売却側はフランスが2位(63億ドル),米国が3位(62億ドル).
武器を購入する発展途上国側はインドが1位(54億ドル),サウジアラビアが2位(34億ドル),中国が3位(28億ドル)だった.
ロシアは05年11月,地対空ミサイルシステム「TOR−M1(SA15)」29基を売却する契約をイランと交わした.ミグ(MIG)29戦闘機やスホイ(SU)24爆撃機などロシア製軍用機の性能を改良することでも合意している.
地対空ミサイルはイランの核施設周辺に配備される可能性が指摘されている.
米政府はイランの核開発問題の解決の見通しが立たない中,ロシアに契約履行の凍結を求めたが,ロシア側は拒否している.
報告書は「イランが核開発や軍事力の向上に努める中,イランへの武器輸出は懸念すべきことだ」と指摘している.
〔略〕
産経新聞,2006年10月30日8時0分
そして2006年度も,ロシアの武器輸出は過去最高を更新.
ロシア政府は二十七日,二〇〇六年の武器輸出額が六十五億ドル(約七千八百億円)に達し,過去最高を更新したと発表しました.
会見を行ったドミトリエフ連邦軍事技術交流局長は,輸出全体に占める割合の中でシナとインド向けシェアは七十四%から六十二%に低下し,中東や中南米,東南アジア向け輸出が増加したとしています.
特に増えたのは中東と中南米向けです.
現時点で契約先は八十カ国で,〇七年は八十億ドルに達する見込です.
⇒この一月にプーチン大統領は,国営のロスオボロンエクスボルト社会に武器輸出を独占させる大統領令に署名し,これまでエネルギーを主役としてきた対外路線を,武器輸出にも広げてゆく国家方針が明らかになっています.
ちなみにわが国は,武器輸出ができないことで東南アジア各国から非難されてきました.
その結果それらの国々はロシアやシナから武器を導入し,結果,長期にわたる外交関係の基盤を作っています.
おきらく軍事研究会,平成19年(2007年)3月5日
もっとも,アメリカの発表に対しては,ロシアは以下のように反論している.
米議会の武器輸出データは信憑性なし
軍事解説員ヴィクトル・リトフキン in ノーボスチ日本語版,2006/11/06/12:29
ロシアは,71億ドルに相当する兵器や戦闘技術の納入契約を締結し,発展途上国向けの武器輸出では昨年世界第一位の座を占めた.
これは,「1998年から2005年までの発展途上国向け通常兵器輸出」と題すアメリカ議会研究班の報告だ.
〔略〕
注目を集めているのは「センセーショナルな」この報告の中の幾つかの数値である.
第一に,この数値は,2005年にロシアの武器輸出を61億2600万ドルと評価していたロシア連邦軍事技術協力委員会が本年最初に公表した数値と甚だ食い違っている.
また報告書では昨年末も額は59億ドルに達しすでにその時点で記録的であっとしているが(昨年の我が国の武器輸出は50億ドルに到達するのがやっとだった),その場合,ロシア連邦軍事技術委員会とアメリカ議会研究班とは約10ドルの差がある.
この(食い違いの)説明は非常に迅速にアメリカに届いた.
同国の報告書の数値は,ロシアの昨年の武器輸出にはイランへの複数の防空用陸上体系砲兵大隊,高射ミサイル設備「Top-M1」の輸出も含んでいる.
ロシアがイランにこの設備を納入したかまだ納入していないかは触れていない.
この取引が7億ドルの価値があり,さらにこの高射ミサイル以外にロシアはイランに飛行中にイランの航空機に燃料補給を行なう能力のある8台の航空戦車(エア・タンク)を輸出契約した点だけを伝えている.
さらに,報告書では,ロシアのイランへの武器輸出額の中にはアメリカ議会は低空戦闘爆撃機Su-24,戦車T-72そして戦闘機MiG-29の近代化も含めている.
ロシアは,まるで,中国とインドだけでなくイランのお陰もあり「武器輸出のチャンピオン」になったと云わんばかりだ.
これは,議会研究班の報告が本当に客観性を持ち,信憑性のある分析をしたのかどうか疑わざるを得ない.
さらにもうひとつの疑念要因がある.
武器輸出は,過去もそして現在もいつも極めて政治化され易い統計であることだ.
いちいち証拠を探しに遠くに行く必要はない.
ヴェネズエラ大統領のウゴ・チャヴェスにとって「アメリカの帝国主義」の非難を開始すると同時に,アメリカの国務省は即座にヴェネズエラ向けのアメリカ戦闘機F-16の予備品の輸出に禁輸措置を施した.
そのためヴェネズエラの空軍は地上に縛り付けれた状態になってしまった.
そこでチャヴェスはロシアに「世界で最も優秀な戦闘機Su-30」の納入してもらうよう掛け合った.
その結果この戦闘機の輸入契約にサインにこぎつけた.
しかしアメリカ国務省は今度は航空機製造会社「スホイ」社の戦闘機を制裁対象にした.
モスクワ「PRセンター」の専門家ワジム・コジュリンは,アメリカは世界を脅かそうと試みていると指摘している.
「ロシア人は自分の武器を誰でも良いから売る.そこからいつもおなじみの軍事紛争が起こる」と.
もちろんそんなことはない.ロシアはいつも武器輸出で国際ルールをいつも守ってきたし守っている.
そして南オセチアとアプハジアに戦争をけしかけているグルジアにすら兵器を売っている数ヶ国のNATO諸国と違ってロシアは,紛争中の諸国とは武器輸出しないというルールをしっかりと守っている.
〔略〕
残念ながら,あまり有効な反論とは言えないようだが.
「ボクちゃんだけでなく,○○○ちゃんだってやってます!」
ではねえ…….
【珍説】
ロシア軍需産業 低品質,納期遅れ…相次ぐ破棄・返却 墜落寸前
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20080307-00000088-san-int
武器に戦闘機,潜水艦…後進国から返品相次ぐ ロシアの軍事産業
http://sankei.jp.msn.com/world/europe/080306/erp0803062253006-n1.htm
【事実】
上の記事で産経は「返品相次ぐ」などと書いているけど,実際に「返品」されたのは,アルジェリアのMiG-29SMTだけです.
アルジェリア空軍,受領済みのMiG-29をロシアに返却
「アルジェリアは,これとは別にスーホイSu-30MKI(A)複座型多目的戦闘機28機を注文していて,最初の3機を昨年暮から1月に掛けて受領している.
この程ロシアの兵器輸出局に対し,MiG-29の註文を取消し,その費用でSu-27と練習機ヤコーレフYak-130Aの購入を打診している.」
つまりアルジェリアは
「MiG-29は要らないから,代わりにSu-27(Su-30)とYak-130を寄越せ」
と言っているわけだ.
産経は「MiG-29は要らない」という箇所だけ報じており,あとは無視しているんだよ.
ま,いつもの産経のやり口だけどね.
アルジェリアは「昨年暮から1月に掛けて受領したSu-30MKA」の方には,不満は無いようです.
むろん,産経は無視しているが.
ちなみに現在,ロシアのアドミラルティ造船所では,アルジェリア向けに636型(改キロ型)潜水艦2隻が建造中です.
インドのディーゼル潜水艦ですが,今回,受け取りを拒否したのは,2005〜2007年にズヴェズドーチカ工廠で近代化改修を実施したS-62「シンドゥヴィジャイ」です.
http://www.india-defence.com/reports-3689
しかしロシアの造船所では,これまでに同型艦5隻が同様の近代化改修を終了し,インド海軍へ引き渡されています.
S-55「シンドゥゴーシュ」(下の写真の右側の艦)
2002〜2005年,ズヴェズドーチカ工廠で近代化改修
S-57「シンドゥラージ」
1999〜2001年,アドミラルティ造船所で近代化改修
S-58「シンドゥヴィル」
1997〜1999年,ズヴェズドーチカ工廠で近代化改修
S-59「シンドゥラトナ」
2001〜2003年,ズヴェズドーチカ工廠で近代化改修
S-60「シンドゥケサリ」
1999〜2001年,アドミラルティ造船所で近代化改修
S-62にしても,その後,続報が入っています.
――――――
http://www.bharat-rakshak.com/NAVY/Sindhugosh.htmlより
Naval officials said it would take another
year to rectify the defects and prove it
in firing trials.
Ria Novosti reported on 16 January 2008,
that the submarine would remain at the Zvyozdochka
SY awaiting further missile firing tests
at a White Sea testing site in July-August
2008.
「海軍将校は,不備を是正し,試射によってそれを証明するのに,もう1年かかるだろうと言った.
RIAノーボスチは2008年1月16日,潜水艦は,2008年7〜8月に,白海試験基地で発射テストを実施すると報じた.」
――――――
潜水艦と言えば,インドは,ロシアからアクラ型原子力潜水艦をリースしますが,産経は知らないのかな.
http://blogs.yahoo.co.jp/rybachii/26698601.html
http://blogs.yahoo.co.jp/rybachii/26514499.html
「インドが04年に発注した中古空母」ヴィクラマーディティヤにしても,2月28日付けで,こう報じられていますよ.
"India, Russia Finalize Pricing For
INS Vikramaditya Deal"
【インドとロシアは,INSヴィクラマーディティヤの売買価格に決着をつける】
上記の産経の記事は3月6日付けですが,1週間も何をやっていたんでしょう?
ついでに言うと,産経は,契約額(7億5000万ドル)間違えていますよ.
ヴィクラマーディティヤ(旧ゴルシコフ)は,船体そのものはインドへ無償供与され,改装費用(9億7,400万ドル)と艦載機の費用(5億2,600万ドル)はインド側が支払うという契約でした.
だがこれも,基本合意は1998年に出来ていたが,具体的な契約額の話になると,なかなか纏まらず,ロシア側は,当初,改装費用を20億ドル,艦載機の費用を7億ドルと見積もっていたのを,インド側がロシアの足元を見て安くさせた,という経緯がある.
言わば,ロシアの足元を見て安く買い叩こうとしたツケを,インドが払う破目になったという事ですよ.
あと,細かいところだと,ロシアは,インド国産駆逐艦用の推進器を製造しています.
http://blogs.yahoo.co.jp/rybachii/23877440.html
インド向け改タルワー級フリゲートもヤンタリ造船所で建造中だし.
更に産経が無視している事として,インドは,ロシアとの軍事技術協力・提携を深めているという事実が有ります.
例えば,ロシア・インド共同開発の超音速対艦ミサイル「ブラモス」とか,インドも参加を表明しているロシア空軍次期多用途戦闘機(いわゆる「ПАК-ФА」)とか.
インドが国内建造する原子力潜水艦ATV(Advanced
Technology Vessel)にも,ロシアは技術協力しています.
確かに今のところ,中国とロシアの大型契約は無いが,中国の国産兵器の主要パーツ(エンジンなど)の輸出は継続されている.
中国の国産戦闘機J-10やFC-1のエンジンが何処で製造されているのかを,産経は知らないのか?
いつもは中国の脅威を煽っているくせに.
それに,中国が建造を企図する国産「航母」(空母)には,ロシアの技術協力が不可欠です.
中国が空母建造を望むのであれば,艦上機や空母用各種装備(着艦拘束装置など)は,ロシアから導入する必要が有ります.
なお,以前に報じられた中国のSu-33艦上戦闘機購入の話ですが,水面下で交渉は進んでおります.
――――――
"Up to the present, on the issue of
the Su-33, China and Sukhoi have had three
rounds of negotiations and have reached some
agreement," said the source.
「現在までに,Su-33の問題について,中国とスホーイは3回の交渉を行っており,ある合意に達しました」と情報筋は言った.
――――――
そして何よりも重要な事は,産経の記事で挙げられている国々は,いずれも,
「ロシア製兵器は,もう要らない」などとは一言も表明していない
という事実です.
要するに産経の記事は,ごく一部のケースだけを取り上げ,あたかも,それが全体像であるかのようにミスリードしているものだ.
ネガティブな事例ばかりを並べたて,それが全てであるかのように書き立てる産経の姿勢は,極めてアンフェアであると言わざるを得ない!
ついでに書くと,インドは,MiG-29を近代化改修する契約をロシアと結びました.
インドとロシアは,9億6000万ドルのMiG-29の契約に署名した
産経の言う通りなら,インドがロシアと新規契約を結ぶ事は無いのでは?
産経は,軍事関係からは手を引き,こういうニュースだけ報じていればいいんだよ.
浅尾選手もPR 松下電器が体組成計の新商品
http://sankei.jp.msn.com/release/electric/080310/elc0803101820000-n1.htm
「日本一早い」水着ファッションショー 大阪・阪急百貨店
http://sankei.jp.msn.com/economy/business/080125/biz0801251752012-n1.htm
「はずかしい…」1年ぶりの水着にグラドル山本早織
http://sankei.jp.msn.com/entertainments/entertainers/080202/tnr0802021708007-n1.htm

Небесный бытьネベスニィ・ビィチ〜ロシア・ソ連海軍〜
2008/3/11(火) 午後 7:30
▼ その続報.
――――――
インド潜水艦は,ロシアでの遅れた修理の後,海軍に再就役する
サンクト・ペテルブルク,2008年7月29日(RIAノーボスチ)
ディーゼル・エレクトリック潜水艦INS「シンドゥヴィジャイ」は,北部ロシア造船所での広範囲に渡るオーバーホール後,再びインド海軍に就役する為,8月5日にインドに向けて出港する.
造船会社は,火曜日に発表した.
プロジェクト877EKMキロ級潜水艦は,2005年以来,セヴェロドヴィンスクのズヴェズドーチカ造船所での修理を経験していた.
そのオーバーホールは,新しい「クラブ-S」(SSN-27)巡航ミサイルの受け入れられない成果により,6ヶ月遅れた.
2007年9月から11月に実施された受領前テストにおいて,クラブ・ミサイルは,6回連続発射中,一度も目標を見つける事は無かった.
そしてインドは,問題が全て解決されるまでは,受領を拒否した.
「クラブ-S」亜音速巡航ミサイルは,533mm魚雷発射管あるいは垂直発射機から発射する為に設計されている.
それは160海里(約220km)の射程距離を有する.
それはARGS-54アクティブ・レーダー・シーカーおよびGLONASS衛星および慣性誘導を使用する.
新たなテストは,7月中旬,成功裡に終了した.
「シンドゥヴィジャイ」は,ズヴェズドーチカ造船所で修理された4隻目のインド海軍潜水艦である.
改装プログラムでは更に,管制システム,ソナー,電子戦システムおよび統合兵器管制システムを改善したのと同時に,その船体構造を含む潜水艦の完全なオーバーホールを含んでいる.
伝えられるところによれば,その改装には,約8000万ドル掛かる.
ロシアのキロ級ディーゼル・エレクトリック潜水艦は,非常に静粛な艦としての評価を得て,中国,インド,イラン,ポーランド,ルーマニアおよびアルジェリアが購入した.
(2008年7月29日12時09分)
――――――
産経涙目・・・・
Небесный бытьネベスニィ・ビィチ〜ロシア・ソ連海軍〜
2008/7/29(火) 午後 10:00
▲
【質問】
軍事産業の民需企業への転換の状況は?
【回答】
先進国の支援を受けているものの,ハイテク技術で劣り,また,国防関連の設備の維持を義務付けられていることから,なかなか容易ではないという.
以下引用.
新生ロシアは,旧ソビエトの軍事的な組織の85%を継承したと言われ,こうした「軍産複合体」企業の民営化を含む再編と軍需から民需への生産割合の移行,いわゆる「軍民転換」がそのまま重要な問題となりました.
これはロシアのみならず,地域の安定を求める世界的な課題となり,アメリカ,日本そしてヨーロッパと先進諸国が一致して軍民転換に対して支援しました.
しかしロシアの軍事技術は,現在産業界をリードするハイテク技術では大きく遅れをとっていましたから,市場のニーズに合った軍民転換は容易ではありません.
〔略〕
特に軍民転換の当初は,多くの経営者が市場のニーズを把握する術を知らず,市場に適応できない商品を生産して失敗しました.
多くの工場で,国からの発注がなく稼動できなくなったものの,国防関連ということで有事の際に生産を即時に再開できるよう設備を整備することが義務付けられ,経営の大きな負担になっているという話も聞かれます.
国防の整備計画などもはっきりせず,どの程度の生産力を最終的に維持すべきなのか,どこまで民需転換していいのかなど現場レベルでは全く分からず,政府の対応を批判する声も上がっています.
小林和男著『ロシアのしくみ』(中経出版,2001/7/9),p.92-94
【質問】
2001年11月に承認された,ロシア政府による軍産複合体改革の内容は?
【回答】
江頭寛によれば,軍産複合体担当副首相イリヤ・クレバノフに産業科学技術相も兼任させ,それまで続いていた,産業科学技術相とクレバノフ自らが創設した5つの軍産複合体部局との間の対立の解消が主眼.
また,軍産複合体に35〜40の垂直統合的な持ち株会社を作り,これによって企業の利益を持ち株会社に吸い上げ,それを兵器近代化のための調査・開発の原資にしようとするものだったという.
しかしロシアの兵器産業では,輸出している企業は数十に過ぎず,その生産コストは高く,企業の赤字を国家の借り入れという形で帳消しにしている状態.
したがって,持ち株会社構想では,米国に対抗できるような兵器開発はできるはずがなく,クレバノフはただ企業の利益を,自分,ないしはあるグループの掌中に移すことがねらいではないかとの疑惑が生まれていたという.
詳しくは,江頭寛著『プーチンの帝国』(草思社,2004.6.22),p.273-274を参照されたし.
【質問】
軍需産業の再編と兵器調達制度改革の状況は?
【回答】
『軍事研究』2007年7月号における,同志「CCCP1917」の記事「プーチンの安全保障・機構改革・産業再編――投稿 ロシア軍事機構の変革」によれば,ロシアの軍需産業の統合化による合理化・外国の軍需産業の連携・兵器調達の透明化が主要課題とされている.
装甲関連は前途多難な動きであることは興味深い.
特にT-80シリーズを開発・販売していたオムスク輸送機械が倒産.
というのも政府からのT-80調達打ち切り,しかも高価なT-80は海外には売れずに発注なしという状況に追い込まれ,ウラル車輌製造との合併を拒否され,見捨てられる.
見捨てられたオムスク輸送機械は軍需産業委員会でT-80の修理と近代化ののみを担当する修理センターへ格下げ.
まぁ肥大化した軍需産業の改革は難しいのはクレムリンも理解しており,厳しい評価を報告書で述べているが,今後もこの統合化による合理化・外国の軍需産業の連携の路線は継続するということ.
兵器調達の透明化というのは,企業の言い値にならないようにすることと.
膨大な調達を一つの省庁に限定し監視することで,汚職やロビー活動の防止につなげてコスト削減を図ろうとする動きがある.
ただちゃんとやらないと意味がないと思うので,この制度には疑問が残るが,問題があった調達制度に一石を投じたのは確かである.
CRS in mixi,2007年06月08日14:30
【質問】
「ロスボオルジェーニエ」とは?
【回答】
兵器輸出独占体.
1993年11月,外貨不足だったロシアで,兵器輸出促進のために,エリツィンの大統領令で設立.
江頭寛によれば,当時の大統領警護局長アレクサンドル・コルジャコフの支配下に置かれたが,コルジャコフは1996年に失脚.
その後1997年になって,支配権は当時の首相チェルノムイルジンの手に移ったという.
さらに
・1998年11月,首相に就任したプリマコフが,自身の対外情報局長時代の副長官だったグリゴーリー・ラポタを社長に据える
・1999年8月,大統領補佐官だったアレクセイ・オガリョフが社長就任
と,たびたび支配が交代したという.
詳しくは,江頭寛著『プーチンの帝国』(草思社,2004.6.22),p.278-279を参照されたし.
【質問】
「ロスオボロンエクスポルト」とは?
【回答】
「ロスボオルジェーニエ」と「ウロムエクスポルト」が合体した,兵器輸出独占企業体.
2000年11月,大統領令により発足.
直接の輸出権限を有している数社を除き,全ての兵器生産企業は同独占体を通じて製品を輸出することとなった.
「ロスオボロンエクスポルト」社長に就任したアンドレイ・ベリャニノフは,KGB出身で,プーチンの東独駐在時代の同僚だった.
江頭寛によれば,これはヴィクトル・イワノフの大統領府副長官としての最初の,軍産複合体分野での仕事だという.
これには「シロヴィキ」の利益基盤の一つを確保する狙いがあったという.
また,同独占体に買い手の企業や国家に,どの兵器の機種を進めるかの裁量権も持っており,すなわち,どの企業が受注するかも同独占体に左右されることになったという.
さらに手数料として10%を受け取るうまみも大きいという.
ただし手数料1割に対する兵器産業の抵抗が実り,2003年11月,プーチンは「ロスオボロンエクスポルト」が軍事技術協力委員会(2000年12月,国防省内に復活)に従属することを大統領令で認め,委員会は同社の運営に発言権を行使できることになった,と江頭は述べている.
詳しくは,江頭寛著『プーチンの帝国』(草思社,2004.6.22),p.277を参照されたし.
【質問】
「ロスオボロンエクスポルト」新総裁アナトーリー・イサイキンとは?
【回答】
2007年11月,ロシアの武器輸出の総元締めである連邦国営単一企業「ロソボロネクスポルト」(Рособоронэкспорт)総裁に,KGB,FSB出身のアナトーリー・イサイキン(Анатолий
Исайкин)が任命されました.
前任のセルゲイ・チェメゾフ(Сергей
Чемезов;文民)は,国営会社「ロステフノロギヤ」(Ростехнология)総裁に任命.
アナトーリー・イサイキンは,これまでロソボロネクスポルトの副総裁(2000年〜).教授,安全保障・国防・法秩序問題アカデミー会員.
1946年12月17日,ウラジオストクに生まれる.
1972〜1996年,国家保安機関に勤務,ソ連KGB特殊任務グループ「ヴィンペル」副指揮官,ロシアFSB特殊作戦局副局長を務める.
アフガニスタンでの任務遂行に対して,赤星勲章,「勇気に対する」メダルを受賞.
元諜報員 in mixi,2007年11月28日06:02
【質問】
ビクトル・ボウト Viktor Bout とは?
【回答】
世界各地の紛争地域に武器を売り捌いた,ロシア人武器密売業者.
1967年,タジキスタンの首都ドゥシャシベ(Dushanbe)生まれた.
モスクワ(Moscow)の軍事学校に進学し英語,フランス語,ポルトガル語などを習得.
その後,ソ連空軍に入隊.
ソ連崩壊により.ソ連時代の中古武器,航空機,ヘリコプターなどを格安で入手し,それらを世界各地の紛争地域の武装勢力に売り飛ばす,武器密輸ビジネスに手を染める.
KGBメンバーだった疑いもあるという.
ボウトが世界を股に掛け暗躍する中,英国のピーター・ヘイン(Peter
Hain)外相(当時)が同容疑者を「死の商人」と呼んで非難.
国際人権団体アムネスティ・インターナショナル(Amnesty
International)も,同容疑者が1度に50機を超える航空機で大量の武器をアフリカに密輸した事実を告発.
英メディアも同容疑者と国際テロ組織アルカイダ(Al-Qaeda)やアフガニスタンの旧支配勢力タリバン(Taliban)とのつながりを指摘.
他にも,国連(UN)の武器禁輸措置下にあったリベリアのチャールズ・テーラー(Charles
Taylor)大統領(当時)にも武器を密輸していたとされる.
ジャーナリストのダグラス・ファラー(Douglas
Farah)氏によれば,
「ボウトの闇ビジネスの仕組みは単純だ.
中古航空機をただ同然で手に入れ,これに安価で購入した武器を詰め込み,そして顧客のもとへ空輸する.
この3段階のビジネスを合体させた」
さらにボウトの暗躍は,ニコラス・ケイジ(Nicholas
Cage)主演の米映画『ロード・オブ・ウォー(Lord
of War)』(2005年)の下敷きにもなった.
しかし2008/3/6,米麻薬取締局(Drug Enforcement
Administration,DEA)の1年間に及ぶおとり捜査の結果,バンコク市内の高級ホテルで逮捕.
ボウトは,このホテルでコロンビアの左翼ゲリラ「コロンビア革命軍(Revolutionary
Armed Forces of Colombia,FARC)」と数百万ドル規模の武器取引契約を結ぶ予定だったという.
【参考文献】
「AFP」:ロシアの「死の商人」,ボウト容疑者の横顔
◆戦略
【質問】
プーチンの対外戦略は?
【回答】
アメリカ一極支配の阻止.
特にMDの阻止.
以下引用.
プーチン大統領は,2000年ロシア外交の基本概念を発表しました.
そこでは,エリツィン時代に期待した西側との平等なパートナーシップは実現されなかったと述べられています.
その上で,アメリカの一極支配の傾向が強まっていることを,ロシアの安全保障に対する重大な脅威としています.
そしてロシアの利益を最大限擁護する,平等なパートナーシップに基く世界秩序の構築を目指す,周辺諸国との善隣関係を築き,紛争を予防するなどを重点として挙げています.
国力が落ちているロシアではあるが,アメリカの一極支配を阻止しつつ,国内の整備に専念して,強国に復帰したいとの気持ちが込められています.
中でもプーチン大統領が最大の力点を置いているのは,アメリカのミサイル防衛構想の阻止です.
現在のロシアにとって唯一,アメリカとの間で力の均衡を保っていると言えるのは,戦略核兵器の分野だけです.
アメリカ本土を戦略ミサイルから防衛するこの構想は,この均衡を壊し,戦略核の分野でもアメリカの圧倒的な優位を達成することになると,ロシアは恐れています.
2000年のロシア外交は,このアメリカの構想を打破することに集中したと言っても過言ではありません.
プーチン大統領はヨーロッパ諸国を訪問,そしてサミット前に中国,北朝鮮を訪問して,NMD反対の包囲網を築いた上で沖縄サミットに参加しました.
プーチン大統領は若さを活かして,プーチン番の記者が「気が狂いそうになる」と述べるほどの積極的な外交を展開したのです.
アメリカのクリントン大統領は,NMD構想について決定を先送りしましたが,ブッシュ新大統領は,NMD構想を断固推進すると述べています.
小林和男著『ロシアのしくみ』(中経出版,2001/7/9),p.132-133
とはいっても,着実にMD構想は進んでいたりするのですが,…….

【質問】
西側はロシアに対しては,どのような戦略で臨むべきか?
【回答】
ロデリック・ラインらによれば,ロシアは他のサミット参加国から仲間外れにされたり罰を受けていると感じれば,ますます西側に顔を向けなくなるだろうし,それはロシアのナショナリズム勢力の思う壺だろうという.
ロシアも西側も,ゼロサム的なモノの見方を変える必要があるし,西側の一部に見られる,やたらにロシアと敵対したがる偏った考え方も改めねばならないという.
そしてEUなどは,ロシアと結びつくことが可能な,共通の利益になる関係について,前向きの長期ビジョンを打ち出す必要がある,と彼らは述べている.
詳しくはロデリック・ライン他著『プーチンのロシア』(日本経済新聞社,2006/11/17),第5章,第7章,および終章を参照されたし.
【質問】
NATOはロシアをどのように観察しているのか?
【回答】
NATOの東方拡大,BMDの東欧配備等の問題がロシアを神経質にし,その対外行動に変化を与えているとされますが,NATO軍事トップとしてNATOーロシア協定交渉に尽力した元ドイツ連邦軍総監のナウマン大将は,『ナウマン大将回顧録』のなかで,ロシアについて以下のような趣旨の指摘をされています.
・ロシアは世界第二位の大国でありたいとの願望を一度たりとも放棄したことはない.
プーチン氏はこれまでの選挙を通じて,その印象をロシア人に与えてきた.
だから,ロシアの前方地域である欧州の安保は,ロシアの同意によってのみ交渉可能という古くて新しい要求を掲げている.
それが東欧におけるBMD配備非難につながっている.
・ロシアは欧州におけるロシア前方地域とともにソ連が崩壊したことを信じていない
・ロシアは東欧諸国からの尊敬と友情を獲得していない
・ロシアはソ連崩壊後,西側,特に米から欺かれたと信じている
・ロシアはNATOとの交渉で常に実現不可能な願望を抱いていた.
それは,あらゆるNATOの決定に対する一方的な拒否権だった.
・ロシアは欧州における支配的地位を得るため,欧州のエネルギー依存,EUの国際社会での控えめな態度,欧州で広がっている反米主義を「利用すべきチャンス」と捉えている.
それに成功すればロシアは世界舞台に復帰でき,政策がワシントンで真剣に受け取られる機会を得るだろう.
そのためプーチン氏は昨年より米に対する直接的挑戦をはじめている.
・プーチン氏は新冷戦をはじめたいのではない.
ロシアにそんな力がないことは彼が一番よく知っている.
彼は,ウクライナのNATO加盟といった,ロシアの戦略的選択肢に大きな影響を与える可能性がある,将来の危険の目を摘もうとしている.
自分はこれがミサイル問題の本質と考える.
東欧のミサイルとレーダー基地は,この将棋ゲームにおける最初の「歩」にすぎない.
・欧米はロシアとの対話をめぐり厳しい時代が続くであろう.
国家とは友情ではなく,ただ利益のみ追求する存在である事実を,冷静に受け止めなければならない.
・欧州とロシアのかかわりで忘れてはならない視点がある.
1.ソ連時代に軍事力で西側に影響を与えようとし,それが失敗したこと
1.ロシアは資源供給国として必要だが,ロシアは二重の意味で欧州を必要としていること.
欧州は資源輸出の顧客であると同時に最新技術の供給者である.
1.欧州の大多数が米との緊密かつ永続的な関係構築を結ぶことを決定していること.
その理由は,われわれの同盟基盤が民族的なものであることに価値を見出すからである.
米との同盟にある一定の利益を見出すからである.
更に米は世界唯一の国際政治における主役だからである.
こうして欧州の方針は決定された.
そのため欧州は団結しなければならない.
1.ロシアは欧州にとって米と同様多くの問題に関して協力すべきパートナーであるが,ひとつのパートナーよりも同盟の意見のほうが重要である.
したがって欧州諸国にとって「ロシア第一」の選択はないし,あってはならない.
1.プーチン大統領が提言したのは,必然的に米と「欧州を含むロシア」の協力となる新しい政策の推進である.このような提言に膝を屈してはならない.
次のロシア政府と交渉するにあたって欧州が,このような提言には二〇〇九年以降の米政府との合意が必要であるというように行動すれば時間の余裕を獲得できる.
時間の余裕はこのゲームを平穏に収めるために活用されなければならない.
そうすれば東欧におけるBMD配備に関する対立点の真の次元を把握することが可能となり,ロシア政府に西側はゲームを読みきっており脅しに屈することはなく,協力相手は欲しているが誰も支配者とは認めないということに気がつくことであろう.
・欧州は米なしに進むことはできず,ロシアとの協力を必要としているのだ.
⇒NATO加盟の欧州諸国が見るロシアは,誇大妄想癖があり人命や自由という価値観の面で共通点のない存在で,国の格としてはトルコ並みということのようです.
必要ではあるが同盟相手ではないということでしょうね.
一部国内報道では,ロシア新政権が「欧米との関係改善に意欲」との見解を示しているようですが,そんな単純な話で片付く課題ではないと思いますね.
おきらく軍事研究会,平成20年(2008年)5月12日
【質問】
なぜプーチン政権はイランとの関係を復活させたのか?
【回答】
江頭寛によれば,実利外交と,地政学的理由との2つがあるという.
ロシアのイランへの武器売却の動きは,2000/11/3,イランに対して通常兵器を売却しないことを約束した米露間の覚書の破棄をしたところから始まった.
イランでは期間25年の長期的軍備増強計画が策定されており,ロシアにとっては中国,インドに次ぐ第3のロシア兵器の買い手にイランがある見込みだった.
また,カスピ海資源開発を巡り,ロシアとイランはカスピ海の環境保護その他で立場が近かった.
詳しくは,江頭寛著『プーチンの帝国』(草思社,2004.6.22),p.155-156を参照されたし.



【質問】
2007年4月,ロシアが対北朝鮮債権放棄を発表したのは,何のためか?
【回答】
STRATFOR「ロシアの北東アジアへの,グランド戦略の再構築」
Geopolitical Diary: Russia's Grand Strategy
for the East
April 19, 2007 02 00 GMT
によれば,この動きは,ソヴィエト崩壊後に長らく放置されてきたロシアの,北東アジアに向けての戦略の再出発の現われと見られるという.
ロシアは伝統的に,モスクワの安全保障と欧州との関係を第一義にしており,ソヴィエト崩壊後は東アジアにむけての興味を失っていた.
ロシアの東アジアに向けての戦略の再構築は,シベリアなどの資源・エネルギー開発と中国,日本,韓国などの東アジア諸国との関係再検討の結果と見られる.
ロシアは,これとともに,長らく放置してきた極東の軍事力の再構築の計画を立て始めている.
しかし,その極東軍事力の再構築には数十年を必要とするだろう.
古い友好国である北朝鮮との関係改善は,その第一歩である.
This is not to say Russia cannot revamp its
military or build many of its planned energy
projects, but this would take decades and
a lot of cash.
Still, Russia's years of ignoring the Far
East are coming to an end. Moscow now sees
a small window in which to regain influence,
and its first target is North
Korea -- which currently acts as a pivot
around which the large regional powers rotate.
If Moscow can gain a stronger foothold in
Pyongyang, it can attain increased leverage
and undercut the other large powers. This
will allow Russia to overcome the first obstacle
to executing its grand strategy for the East.
ニュース極東板
【質問】
コソボ問題に関し,なぜロシアはセルビア寄りの姿勢を見せるのか?
【回答】
佐藤優によれば,グルジアやモルドヴァを牽制するためだという.
以下引用.
[quote]
7月20日,国連安全保障理事会は,現在,国連の暫定統治下にあるセルビア共和国のコソボ自治州の最終的地位を巡る協議を行なったが,ロシアのチュルキン国連大使が〈「決議案の支持も棄権もできない」と述べ,事実上の拒否権行使を突きつけた〉(7月22日読売新聞朝刊)ため,アメリカ,イギリス,フランスなどはコソボ独立決議案採択を断念した.
〔略〕
コソボ問題で,拒否権を行使してまでロシアがセルビアに配慮したのには思惑がある.
ロシアにとってはセルビアもコソボも死活的に重要な地域ではない.
今後,コソボが一方的に独立を宣言した場合,ロシアは,グルジアのアブハジア自治共和国と南オセチア自治州,更にモルドバの沿ドニエステル共和国の3地域に一方的な独立宣言をさせるように裏で働きかけるだろう.
〔略〕
そして,アメリカ,イギリス,ドイツがコソボに対して与えるのと同程度の便宜をロシアはアブハジア,南オセチア,沿ドニエステルに与えるのである.
グルジア,モルドバはロシアにとっては裏庭で,プーチン大統領はこの地域への影響力を虎視眈々と狙っているのだ.
[/quote]
―――『SAPIO』,2007/8/22・9/5号
この説には一応の説得力はあるが,残念ながら強い論拠に乏しいと愚考する.
【質問】
ロシアの対日戦略の基本姿勢は?
【回答】
極東・シベリアを発展させるべく,日本を戦略的パートナーとしたいというのがロシア・エリートの基本的な考え方であるという.
以下引用.
極東・シベリアを発展させてアジア太平洋地域への参加を果たし,ロシアを文字通り,その国章の「双頭の鷲」が示すように,ロシア〔「アジア」の誤記か?〕とヨーロッパにまたがる国にしたいというのが,ロシアのエリート達の願望です.
そこに,日本に向けるロシアの視線,期待があります.
北方領土問題はあるものの,その他極東アジアで,日本とロシアほど国益の一致する国はないというのがロシア側の考え方です.
専守防衛で領土拡大を拒否した戦後日本は,ロシアから見ると,その世界第2位の巨大な経済力と併せて,相互補完的な戦略的パートナーになり得るという考え方です.
そこには,世界唯一の超大国となったアメリカ,台頭し始めた中国に対する潜在的な警戒感があります.
日本との経済協力で投資や極東・シベリアを発展させ,また,防衛面でも協力を深めたいというのがロシアの考え方です.
小林和男著『ロシアのしくみ』(中経出版,2001/7/9),p.136-137
ロシア側には,発展する中国に対する根強い警戒感があります.
ロシア側の警戒感は,資源が膨大(その天然ガスの埋蔵量は世界最大といわれています)でありながら,人口が希薄なシベリアに対して,人口が稠密でしかも経済発展著しい中国が,領土的な野心を抱くのではないかという潜在的な恐怖心です.
一方,中国のほうも,数世紀に渡るロシアの領土拡大によって領土を削られた側だけに,その対露感情は単純ではないと思われます.
現在の良好な中露関係は,こうした両国の警戒感は別として,対アメリカでの思惑の一致がもたらしたものと言えましょう.
〔略〕
またロシア側から言うと,現在の経済状況で米中の対立に巻き込まれると,再び膨大な軍事費を投じて,中露国境に軍隊を配備しなければならない.
それは経済再建の願いを完全に破壊する,という現実的な読みもあります.
小林和男著『ロシアのしくみ』(中経出版,2001/7/9),p.
【質問】
日露関係を劇的に改善する方策はあるか?
【回答】
両国のトップとツウツウの民間人を見つけることだ,とする主張がある.
以下引用.
〔略〕
日本は,石油の約90%を不安定な中東に依存しています.
依存度を減らすには,隣国のロシアから買えばいいに決まっている.
だから,東シベリア〜極東ナホトカ・パイプラインを作ったほうがいい.
これはロシアにとっても同じ.
中国にパイプラインを引くと,中国一国にしか売れず,価格の主導権をむこうに取られてしまう.
ナホトカまで引けば,日本・韓国・中国・東南アジア・アメリカ・カナダ等々どこへでも輸出することが可能なります.
どう考えても日ロの利害は一致している.
しかし,まとまりませんね〜
これは,「信頼がないから利害が一致していても話がまとまらない」例.
話を日中関係に戻します.
公式ルートで信頼を醸成するというのは,案外難しいのですね.
日本の首相や外務大臣が中国のトップに会って,
「アメリカは,自国の利益のために日中を戦わせようとしているが,私たちは断固反対です!」
とはいえないですね.
まず,報道されちゃうでしょうし,報道されなくても必ずアメリカに伝わるからです.
ですから,日本の首相や首相の側近と,中国のトップをつなぐ見えないパイプが必要です.
これはどういうことかというと,その人が日本の首相の本音を中国側につたえても一切報道されない.
しかし,日本側も中国側も信頼できるパイプ.
考えてみると,幕末薩摩と長州は犬猿の仲でした.
で,両藩の仲を取り持ったのは,坂本龍馬と中岡慎太郎.
二人とも土佐脱藩浪人.
今の時代,日本と中国両国のトップとツウツウの民間人がいれば,非常にありがたいですね.
本にも書いてありますが,中国で儲けている経済人が一番いいのです.
彼らだって,「戦争になったら,商売あがったりだよ!」と思えばやる気もでてくるでしょう.
でも,アメリカにバレないようこっそりやる.
そのパイプ役の経済人を「首相特命大使」とかに任命したらすぐバレルからダメ.
名利を超越したしっかりした人物にこっそり動いてもらう必要があります.
日ロに関していえば,02年03年はこういうパイプがあり,両国関係は劇的に改善されました.
しかし,03年末にそのパイプが切れたので,関係は元どおりになっています.
〔略〕
ロシア政治経済ジャーナルNo.414 2006/9/5号
ただし,上述の意見は,各国の諜報能力を軽視している傾向がある.
幕末時代ならともかく,現代ではそのような「坂本竜馬」はたちどころに探知され,各国諜報機関からマークされるだろう.
ゆえに,関係改善を阻止したい有力国があれば,そのための行動に出るのは竜馬暗殺よりも簡単だろう.
【質問】
ロシアは意図的に資源を戦略兵器として使っているのか?
【回答】
実態は,
「単なる,不当に安く売りすぎていたから,適正価格に戻すよ,という話だったはずが……」
ということ.
以下引用.
〔略〕
〔そんな見方をされる〕理由は,ウクライナが値上げ交渉に応じず,ロシアが今年1月1日から同国へのガス供給をストップしたこと.
しかし,ロシアはウクライナに今まで,市場価格の5分の1(!)でガスを供給していました.
ですから,ロシアの要求は,例えば「原油バレル70ドルを350ドルにします」というような無茶な要求ではありません.
今までバレル14ドルで売っていたのを,他の国と同様70ドル払ってくださいとう話.
しかも,ガスプロムは値上交渉を10ヶ月も前からつづけていました.
さらにいえば,ロシアはCIS諸国への供給価格(ベラルーシ以外)をウクライナと同時期に引き上げています.
ですから,「ロシアは資源を武器として使った」というのが正しいのか...
正確にいうと,「ロシアはウクライナへのガス供給価格を市場価格並にひきあげるよう10ヶ月前から交渉をつづけていたが,ウクライナが条件に同意しなかったため,供給を停止した」となります.
ところが,ライスさんやチェイニーさんが,繰り返し繰り返し同じことをいっていると,世界中の人が
「ロシアはなんて危険な国なんだ!」
となっちゃうのです.
これは私がロシアに住んでいるからフォローしているわけではありません.
事実関係をきっちり調べるとこういうことになるのです.
アメリカの例ばかりをあげましたが,それは,この国が世論誘導にもっとも長けているから.
ロシア・中国・イラン等々は,この方面が甘く,常に悪役に仕立てられています.
〔略〕
ロシア政治経済ジャーナルNo.407,2006/7/21号
これの信頼性だが,事実に裏打ちされている以上,特に疑う理由はないと愚考する.
【質問】
サハリン2とは?
【回答】
将来世界生産の10%を占めるようになると予想される大型ガス田.
戦略的に極めて重要.
外資とサハリン・エナジーの合弁会社で開発を進めている.
以下引用.
サハリン2には油田とガス田があります.
石油埋蔵量は推定10億バレル,天然ガスは4080億立方メートル.
事業主体は,サハリンエナジー.
ロイヤルダッチシェル・三井物産・三菱商事の合弁会社.
出資比率は,シェル55%・三井25%・三菱20%.
1995年にロシア政府とサハリンエナジーは生産物分与(PS)契約を結んでいます.
サハリン2の際立った特徴は,液化天然ガス(LNG).
皆さんこれから,「燃料電池の時代だ!」なんて考えていませんか?
実はそうではないのですね.
これから数十年間は天然ガスの時代になるのです.
米エネルギー省によると,2000年の時点で世界のエネルギー需要に占める割合がもっとも多かったのが石油(39%).
これが,2020年には37%になる.
天然ガスは,2000年の22%から,2020年には29%まで増加します.
サハリン2の特徴はLNG.
将来世界生産の10%を占めるようになる.
LNGは年間960万トン生産される予定で,既に東京電力・東京ガス・九州電力・東邦ガスなんかが,購入契約をしています.
ロシア政治経済ジャーナルNo.418,2006/9/26号
【質問】
ロシア天然資源省が2006年9月18日,サハリン2プロジェクトについて,03年に出された同事業第2段階への事業許可承認を取消す決定を下したのは,本当に環境破壊が原因なのか?
【回答】
ロシア事情に通じたメール・マガジンによれば,それは口実でしかないという.
同誌によれば,
・ガスプロムを事業主体とさせようと,ロシア政府が画策していること
・事業予算超過により,ロシアの分け前が減るのを嫌がっていること
が要因であり,その背景には
・エネルギーの石油⇒天然ガス・シフト
・米露新冷戦
がからむという.
以下引用
あるロシア人がコメントしていました.
「新興財閥はみんな脱税していたよね?
でもつかまったのは,プーチンに反逆した(ユコス社長の)ホドロコフスキーだけだった.
環境破壊も同じさ.
皆,多かれ少なかれ環境を破壊している.
でもサハリン2が狙われたのには,他の理由があるってことさ!」
どんな理由があるのでしょうか?
▼サハリン2に入りたいガスプロム
既述のように,世界は天然ガスの時代に入ります.
で,サハリン2は世界のLNG生産の10%を占める.
ここを外国企業が牛耳っている.
これは全く合法ですが,ロシアとしてはムカつきますね.
天然ガス世界最大手ガスプロムのミレル社長は,プーチンさんのお友達.
それで,プーチンはミレルさんに命令しました.
「サハリン2に参加しろ!」
ガスプロムはシェルと,「資産スワップ」に関する交渉を開始しました.
で,05年7月に基本合意します.
ガスプロムは,シェルからサハリン・エナジー株25%を取得.
シェルは,ガスプロムから西シベリア・ザポリャルノエ・ガス田の権益を得る.
こういう合意だったのですが,ガスプロムは9月19日,「サハリン2の先行きに不透明感が高まった」ことを理由に,交渉打ち切りを発表しています.
「25%ではイヤです,もっとください」ということでしょうか?
この点,ちゃっかり者のロシュコフ駐日ロシア大使がいっています.
ロシュコフさんは9月20日,東京で記者会見しました.
曰く「ガスプロムは政府系の会社で,政府系の会社が参加すればプロジェクトが早く実施できるかもしれないね〜」.(^▽^)
同じ記者会見で
「ロシア政府は何かをたくらんでいるわけではない」
「ロシア政府が誰かを追い出すつもりはない.サハリン2のプロジェクトは実施されて完了される」
と自己フォローしましたが...
これが一つ目の理由.
▼事業予算とPS契約の問題
もう一つの問題は,事業予算と契約に関する問題.
サハリンエナジーは当初,事業予算を100億ドル(約1兆1500億円)としていた.
それが後に,120億ドル(1兆3800億円)まで増えた.
ところが,05年の秋に「200億ドル(2兆3000億ドル)まで増やす必要がある」と発表.
「別にどっちでもいいじゃないか? どうせ払うのはサハリンエナジーなわけだし」
と思うでしょ?
そうじゃないんですよね.
契約によると,サハリンエナジーはかかった費用を,石油・ガスの取り分として回収できることになっているのです.
事業予算が100億(1兆1500億円)増えたということは,ロシア側の取り分がそれだけ減るということになります.
1兆1500億円...
結構なお金です.
この点トルトネフ天然資源相がブツブツいっています.
「ロシア,サハリン2停止求める提訴は超過コストが原因と主張
[モスクワ 12日 ロイター]
(中略)
シェルは昨年,サハリン2の事業コストを当初の2倍に相当する200億ドルに修正.
サハリン2は生産分与契約に基づいているため,コスト高はロシアにも影響を与える.
トルトネフ天然資源相は「シェルの意図が実現すれば,ロシア連邦は100億ドルを失うことになる.合意内容は双方を拘束している.ロシアは自国の利益を守らざるをえない」と述べた.」
(ロイター)-9月13日10時16分更新
もう一つ,ロシアのPS法.
PS法というのは,国が投資家に対して一定の鉱区開発・生産の排他的権利を与え,採取物(生産物)が投資家と国で分与される制度.
ロシアのPS法は,経済がどん底だった1995年末,外資導入のために作られた.
ところがここ数年の石油高で,オイルマネーが洪水のように流れ込み,別に外資を呼び込む必要がなくなってきた.
それで,「サハリン2のPS法の条件を,ロシアが儲かるように改定しよう」という活動が活発化しています.
今回の出来事も,そういった圧力の一環でしょう.
三井・三菱としては,「今さらそんなこと言われてもね〜」(怒)というところでしょう.
▼もっと本質的な理由
ここまで,サハリン2にかぎった話をしてきました.
しかしもっと本質的な理由は,世界的潮流です.
つまり,石油枯渇時代が近づいていること,
米一極主義対多極主義.
もう一つ米ロ冷戦.
つまり,ホドロコフスキー逮捕→グルジア・ウクライナ・キルギスのカラー革命→上海協力機構強化による反革命運動・ベラルーシでの革命阻止・ウクライナでの親ロ政権復活→ロシア石油のルーブル取引を開始.
今回の出来事も,この流れの一環と見るべきでしょう.(シェルは米系ではないが...)
つまりどういう結論か?
サハリン2だけでなく,他の油田でも問題が起こってくるということです.
この手の問題について触れる機会が,これから増えることでしょう.(涙)
(おわり)
ロシア政治経済ジャーナルNo.418,2006/9/26号
というわけで,サハリン2.
予想どおり,ロシアの国営・天然ガス世界最大手ガスプロムが,サハリン2の事業主体「サハリン・エナジー」の過半数株を取得しました.
ガスプロム・ロイヤル・ダッチ・シェル,三井物産・三菱商事は12月21日,株式売買に関して最終合意,文書に署名しました.
取引額は74億5000万ドル(8720億円).
この取引の結果,同社への出資比率は,ガスプロム50%プラス1株・シェル27.5%・三井12.5%・三菱10%となります.
「ふざけるな!」(怒)
気持ちわかります.
しかし,怒っても状況は変わりません.
怒りつつ,「なんでこんなことするのだろう?」と考える必要があるでしょう.
【ロシア政治経済ジャーナル】NO432,2006/12/25号
ただし,このメール・マガジン,イラク戦争石油陰謀論などに悪影響されている面もあるので,その情報には慎重な扱いが必要.
本サイトでも,特に疑問の生じない部分(,かつ重複でない部分)だけを抜粋した.
まあ,ロシアは現在もまだ法治主義ではなく人治主義の傾向が強いそうなので,この程度の「ロシアの方針変更」に対して一々怒っても始まらない,という点において,上述の記述は納得できる.
【質問】
以下の記事だが,なぜロシアはガスプロムを優遇するのか?
サハリン1のガス独占狙う ロシア,一括売却を要求
【共同通信 2007/4/28】
【モスクワ28日共同】ロシアが,日本政府,日本商社などが出資し,開発を進めるロシア極東サハリン沖の石油・天然ガス事業「サハリン1」で生産される天然ガスを,政府系独占企業ガスプロムに一括売却させ,ガスの輸出独占を狙っていることが明らかになった.
ガスプロムのメドベージェフ副社長が27日,共同通信に明らかにした.
(後略)
【回答】
これはユコス石油の国有化のときから明確な,共産主義政権の資源国有化の動きなのだけれどSTRATFORが,プーチンの資源国有化に走る背景を解説した記事を書いている;
Global Market Brief: Gazprom's Moves to Stay
Above 'E' April 26, 2007 19 09 GMT
この記事の中に2020年までのGazpromの油田別の生産見通しのグラフがあって,生産量は下降に向かう.
このデータはIEAのものを使っているので信用できると思える.
単純に,ロシアはGazpromに新たなガス田を追加しない限り現在の収入を維持できない.
ロシアは欧州その他への天然ガス供給基地になる計画をもつので,資源確保は必須;
Gazpromは供給源,パイプライン其他を独占し,価格支配権を獲得しようとしている.
また,ロシアは国内電力を原子力発電に切り替え,天然ガスの国内価格を上げて輸出用供給の確保を図ろうとしている.
Gazprom's problem is simple. Its investment
into bringing new fields on line is absolutely
abysmal. As of 2000, only three major fields
in Western Siberia --
Urengoy, Yamburg and Medvezhye, with reserves
of 16 trillion cubic meters of natural gas
among them -- accounted for about 70 percent
of Gazprom's total natural gas production.
All are past maturity, and efforts to replace
them are middling and lagging
このSTRATFORの記事は,国内メディアの書いていないような,Gazpromの天然ガス事業の基本的な問題点を指摘していて,参考になる.
(むしろ,こういう基本的なデータをおさえずに分析,解説記事を書くほうが無責任と思える)
ロシアは欧州などに天然ガス供給基地になる戦略を打ち出しているが,Gazpromの新規油田開発はまったく上手くいっておらず,古いガス田は次第に枯渇しつつある.
新規ガス田の探索や開発におけるGazpromの技術には疑問がある.
さらにロシアの天然ガス販売は,国内用の政府補助金による安価なものが全体の三分の二を占め,これはGazpromの利益にならない.
Gazpromにとっては新規供給の確保,国内利用削減が緊急の課題である等;
ニュース極東板

【質問】
ロシアの資源戦略上の陥穽は?
【回答】
ロデリック・ラインによれば,国営部門を拡大する現在の戦略は,資源探査,生産,輸出能力改善の点で,十分な投資を呼ぶことができないでいるという.
2001-2004年,石油の90%を独立系の民間企業が生産していた時代には,多くの多国籍企業がロシアの民間企業や国営企業と提携して,石油市場に投資し,最優良の民間石油会社は生産量を9割も増やしたが,同時期の国営石油会社のそれは2割弱の増加に過ぎなかった.
国営部門拡大方針転換後,2005年の原油生産の増加率は2.5%に過ぎなかった.
ガスプロムは自らの独占的支配力を利用して,他の企業の進出を妨げてきたという.
独立系のガス会社は相当な埋蔵量を持っていても,パイプライン使用権がないため,市場にそれを出せず,漏れ出すガスをその場で燃やすことしかできないでいるという.
また,ガスプロムは施設維持・改良に必要な投資をしてこなかったため,パイプラインは老朽化して劣悪な状況にあり,ガス漏れが報告されているという.
国内の供給網さえ,非効率で頻繁に故障しているという.
さらに,輸出契約をこなす能力も,ガスプロムには明らかに不足しているという.
その上,経営形態も非効率で無能の烙印を,専門家によって押されているという.
他方,IAEA推計によれば,ロシアのエネルギー産業を維持するだけで,2030年までに1兆ドル弱の投資を必要としているという…….
詳しくはロデリック・ライン他著『プーチンのロシア』(日本経済新聞社,2006/11/17),p.99-107を参照されたし.
◆◆露中関係
【質問】
現在のロシアは親中ではないのか?
【回答】
「アメリカも中国も戦って滅んでしまえ!」がロシアの本音.
以下引用.
ロシアはアメリカのことを憎んでいますが,10倍の人口を抱える隣国中国を恐れているのです.
今は,アメリカが旧ソ連諸国でカラー革命を起こし,ロシアでも革命工作をしていることから,むかついて中国に接近しています.
しかし,本音は違うのです.
「アメリカも中国も戦って滅んでしまえ!」
これがロシアの本音.
ですから,ロシアは戦争なんてしたくありません.
中国に,さんざん武器と石油を売って大もうけし,その後で米中戦争が起こって,両国共に滅んでしまえばいい.
そうすれば,米中は没落し,多極世界はEUとロシアとインドが主導するようになるでしょう.
(あたかも,イギリスとドイツが戦って衰退し,米ソが浮上したように)
こんな温度差が,パイプライン問題に表れているのです.
日本としては,こういう両国の隙間をついて,仮想敵NO1中国とロシアを分断したらどうでしょうか?
まあ,毎度同じことをいって申し訳ないのですが...
北野幸伯 in ロシア政治経済ジャーナル No.388,2006/4/11号
一方,コンドリーサ・ライスがインタビューに答えて述べるところによれば,
「中国とロシアが関係強化に向かう可能性は高いとは思えない」
という.
以下,その言い分.
[quote]
A:
中国とロシアが関係強化に向かう可能性は高いとは思えません.
ロシアは大きな問題になるでしょうが,中露は互いに多くの問題も抱えているわけです.幾つかのポイントを指摘しておきたい.
まず,グローバルなイシューについて米露は比較的上手くやっていて,グローバルなテロに対する協調,グローバルな核拡散への対応の協調,あるいは北朝鮮問題での協調,さらにイラン問題でさえ協調の可能性があります.
ロシアは安保理での制裁決議にいつも反対してきたけれど,それでも二つの決議に賛成しています.
ロシアは戦術的にはいろいろな対応をするけれど,基本的に米露協調の可能性があります.
しかしNATOとワルシャワ条約機構との対立の問題のような安全保障については,彼等は依然としてゼロサム・ゲームの考え方をしていて,NATOの中央アジアへの展開に反対している.
ここでは対立があって,ロシアが領土的影響力の再興を狙っています.
それとは別の側面として,ロシアにとって石油資源は国内政治に深く結びついており,石油や天然ガス資源の国有化がクレムリンの権力集中に関係しているわけです.
この資源問題の展開に大きな関心があるのは,アメリカではなくてヨーロッパなのです.
ミサイル防衛問題やイランの制裁問題でロシアとやってゆくことは挑戦ではあります.
ロシアがイランの行動に疑いを持っていることに,疑問の余地はありません.
ロシアはそれに対して,何らかの対処が必要と考えていることも確かです.
ロシアの国内問題,石油や天然ガス資源の政治的な扱い方というのは困難な問題であって,ヨーロッパにとって大変厳しいものが有り,ヨーロッパがロシアにエネルギーを依存するかぎり(交渉の上で)厳しい状況が続くのでしょう.
[/quote]
―――"Interview With the Dallas Morning News
Editorial Board
Secretary Condoleezza Rice"
Dallas, Texas November 9, 2007
ニュース極東板
分断戦略やれば,シベリアの資源も日本は得られ易くなるし,マジお勧め.
【質問】
ロシア極東で中国系住民はどれだけ増加しているのか?
【回答】
異説もあるが,ロシア全体で,約10年間に約300万人増加.その4分の3以上がシベリアと極東に住んでいるという.
ただ,街中ではそんなに目立たないという.
以下引用.
ロシアの2002年の国勢調査によれば,ロシアの支那系住民は,1980年代末の5,000人から,326万人へと急増していることが分かりました.
この結果ロシアで,支那系は,ロシア系(1億410万人)・タタール系(720万人)・ウクライナ系(510万人)に次ぐ四番目の民族集団に浮上しました.
しかも,その四分の三以上が,シベリアと極東に住んでいます.
ロシアと中共は,4,300kmに及ぶ国境線を挟み,シベリア・極東の(これら支那系を含む)1,800万人・・極東だけなら(米国の面積の三分の二の所に)わずか700万人・・のロシア人が,旧満州地方等の2億5,000万人・・東北三省だけでも1億人・・の支那人と対峙している,という状況です.
〔略〕
支那人のこれ以上の流入を防ぐため,支那商人に対し一旦免除されていたビザを復活をしたり,支那人のロシア国籍取得を困難にしたりする動きがありますが,実効を挙げているとは言えません.
(以上,特に断っていない限り
http://www.worldpress.org/Asia/1651.cfm
及び
http://www.asiapacificms.com/articles/russia_triads/
による.)
〔略〕
太田述正コラム#1261(2006.5.28)
ここまで読んできた方は,シベリア・極東,特に極東では支那人や支那系の人々であふれている,と思われたかもしれません.
しかし,実際にはこれらの人々の姿はほとんど目に付きません.
というのは,ウラジオストックやハバロフスクやブラゴヴェチェンスク(Blagoveshchensk)などの都会では,彼らはロシアの排外主義的な若者達に襲撃されることを懼れて,自分達の工場や農場(後述),そしてホテルやレストランやカジノや支那人市場の中に閉じこもっているからです(注3).
(注3)もう一つの可能性は,言われているほど,極東における支那人ないし支那系の人口(定住人口)が多くないことだ.4〜5万しかいない,という説もある.
仮にこの説が正しいとしても,いずれの説によっても,1991年には支那人ないし支那系の定住人口はゼロだった,というのだから,急速に増えていることは間違いない.
特に彼らが多いのがアムール河(黒竜江)河畔のブラゴヴェチェンスクです.
支那側の黒河(Heihe)市との間をジェットフォイル艇が30分間隔で行き来し,支那の日用品を運んできます.この都市では,建設業も支那の一社がほぼ独占しており,現在極東一高いビルを建設中です.
また,食糧についても,支那から輸入されるものと支那人がやみでロシア側で耕作している畑からとれるものが全部を占めています.
このブラゴヴェチェンスクのあるアムール州(Amurskyoblast)は363,700平方kmと日本の面積に匹敵しますが,人口は90万人しかありません.
ところが,対岸の黒竜江省(Heilongjiang)の人口は3,500万人にも達しています.
極東全体では,支那側から輸入される日用品や食糧の80%は密輸品であり,ロシア側から輸出される木材もほとんどがそうです.
(海産品の分野だけは,ロシアの漁船が活躍していますが,ロシアの税金や関税が高すぎるため,ロシアに水揚げされるものは少なく,大部分はこれまたヤミで日本の新潟や韓国の釜山に流れてしまっており,売上金も日本や韓国の銀行に預けられています.)
(以上,
http://www.atimes.com/atimes/Central_Asia/HE27Ag01.html
による.)
〔略〕
太田述正コラム#1265(2006.5.30)
中国人特別人頭税をかけたら,税収ががっぽがっぽと入るんじゃないか?
試してみてはいかかですか?,プーチン大統領閣下.
【質問】
シベリア・極東の中国人は,何故そんなに急増したのか?
【回答】
中露国境貿易が支那商人の独壇場となったため.
またその間,シベリア・極東の人口が何百万人のオーダーで減少したため.
以下引用.
ソ連崩壊後,両国の間で国境貿易が活発化しましたが,この貿易は支那商人の独壇場となり,それに伴って支那人がロシアに商用のため,あるいは常駐する形で,更には永住権をとったりロシア国籍をとったりする形で次々に進出して行ったのです.
この間,シベリア・極東の生活水準がロシア平均の約半分であること
(http://english.pravda.ru/russia/25-04-2003/2663-0.5月28日アクセス.以下同じ)
に加えて,ロシア全般の経済状況の悪化に伴う住民の西方への流出と,軍事基地の閉鎖・縮小,更にはロシア全般の出生率低下と死亡率上昇により,シベリア・極東の人口は何百万人のオーダーで減少したので,支那人の進出はなおさら目立ちました.
現在既に支那人は,極東の経済の30%から40%を支配しており,とりわけ軽工業は100%その支配下にある,という見方もあります(注1).
(注1)香港を拠点とする組織暴力団(triad=三合會)のシベリア・極東進出もめざましいものがある.彼らはロシア系の暴力団を駆逐ないし服属させ,支那・香港からヤミ送金したカネや,現地の支那系や支那人商人からせしめたみかじめ料を中華料理屋・カジノ・ホテル・ホステスバー・売春宿等に投資し経営しているほか,非合法木材伐採・漁労(中日韓に密輸出する)を行っており,極東の人口当たり犯罪発生件数はロシア一高くなっている.
なお,アフガニスタン産のヘロインを扱う麻薬稼業はタジク人・カザフ人・チェチェン人等の中央アジア系の暴力団が牛耳っており,三合會もこの分野にだけは食い込めていない.
中共に加えて,日本や韓国との経済的結びつきも強まっており(注2),シベリア東部以東のロシアの経済は,今やほとんどロシアの西方地区とは切り離された形で東北アジア経済圏に組み込まれるに至っています.
(注2)ウラジオストックやハバロフスクやイルクーツク(Irkutsk)では,現在,日本製の右ハンドルの車しか走っていないと言っても過言ではない.
太田述正コラム#1261(2006.5.28)
日本車のついでに,日本で導入された民間駐車取り締まり員制度も輸入して,いたずらに末端を混乱させてください.
【質問】
シベリア・極東での中国人急増に対し,ロシア人はどんな感情を抱いているのか?
【回答】
毛沢東やケ小平の発言もあって,戦々恐々としているという.
以下引用.
――――――
〔略〕
ロシアは,この支那人の攻勢に戦々恐々としています.
何せ,2010年までに,ロシア国内の支那系は1,000万人に達するだろうとも言われている一方,毛沢東やトウ小平が,ロシアは支那から領土を奪っており,ウラジオストック(Vladivostok)やハバロフスク(Khabarovsk)等は本来支那のものだ,と述べたことがあるからです.
〔略〕
(以上,特に断っていない限り
http://www.worldpress.org/Asia/1651.cfm
及び
http://www.asiapacificms.com/articles/russia_triads/
による.)
――――――太田述正コラム#1261(2006.5.28)
――――――
プーチンは2000年夏,極東を訪れたとき,
「このままでいくと,将来,ロシアの極東部では人々はロシア語より中国語,日本語,朝鮮語を話すようになってしまう」
と発言した.
これは極東でのロシア中央の影響力が低下していくという,ロシアの将来への深刻な懸念を彼が持っていることを示していた.
大統領府で地域問題を担当していたプーチンが,極東の状況を知らずにこのようなことを言うわけがなかった.
――――――江頭寛著『プーチンの帝国』(草思社,2004.6.22),p.106
▼
――――――
「中国人はいつかここを乗っ取る気なんだ.それが奴らの魂胆さ」
いささか誇大妄想的な話をハバロフスクの方々で聞いた.
それは一般市民の噂話にとどまらず,市当局の役人からも同じような懸念を何度も聞かされた.
冗談半分だとしても,ロシア人の中国人への根強い不信感が,極東一円で渦巻いているのは事実であろう.
――――――『コサックの旅路』(酒井裕著,朝日新聞社,1994.12),p.143
▲
なお2006/10/20には,下院において,外国人のロシアにおける不法就労に対する罰則を強化する法案が採択され,10/27に上院で承認された.
岩澤聡によれば,同法案説明書では,ロシア国内で合法的に就労している外国人70万人(2005年統計)に対し,不法移民の数は500万〜1500万人と推定されており,それによるロシアの損失額は年間80億ドルを超えると説明しているという.
その背景には不法就労により行政責任に問われた外国人の数が,ロシア全土で2004年度比3.5倍以上の5万人に達している状況があるという.
詳しくは『ジュリスト』2006/12/1号,p.119を参照されたし.
そんなに中国人急増が恐いなら,反魂の香でも使って,死んだロシア人をみんな甦らせればいいじゃない.
【質問】
アメリカにおける露中分断論者には,どのような人物がいるか?
【回答】
例えば,2000年の大統領選挙に共和党から出馬したパトリック・ブキャナン.
氏は現在,米国のTVネットワークの一つであるPBSで毎週土曜日の夜(日曜日の朝に再放送)に放送されている政治討論番組(番組名は「McLaughlin
Group」というものです)のレギュラー・コメンテーターだが,2006/5/12に放送された番組では,チェイニー米副大統領によるリトアニアでのロシアに関するスピーチに対し,
1,ロシアを露骨に敵視するような政策は米国としては間違いであるし,そうした米国の政策がロシアの反米姿勢(あるいは対中接近)を増長させている,
2.しかしそうした反米あるいは対中接近はロシアにとっても本来政策のミスのはず,
3,実際,中国は,中国人をウスリー,アムール両川からロシア領内に越境させていて,ロシアの東シベリア領への蚕食をすでに開始している,
4,ロシアは,東シベリアがいずれは中国領となってしまうことを懸念しているはず,
という主旨の論評をしている.
参考文献は北野幸伯メール・マガジン.
【質問】
シベリアにおける露中のエネルギー開発協力は,どの程度のものか?
【回答】
東シベリア-太平洋間の石油パイプライン体系では,石油送油量,年間8000万トンのうち,中国には3000万トンを送油する.
また,ロシアから中国へのガスの納入は2011年までに開始され,2020年までには,西ルートで300億立米,東ルートで380億立米まで納入を増大する予定になっている.
ロシアの電力を中国市場へ年間600億キロワット送電する契約も結ばれているという.
以下引用.
〔略〕
別の私たちの体系的なプロジェクトは,東シベリア-太平洋間の石油パイプライン体系の建設です.
数字で言えばこのパイプラインは年間8000万トンの石油を送油し,そのうち,中国には3000万トン送油します.
2008年までに終了予定のタイシェット-スコヴォロヂノ・ラインの最初の段階の建設が始まりました.
ロシアの大統領ウラジミル・プーチンが中国を公式訪問した際,「トランスネフチ」社と「KNNK」(中国国営石油ガス会社)はスコヴォロヂノ-中国国境間の石油パイプラインの設計と建設に関するプロトコール(議定書)に調印しました.
ロシアが中国とのエネルギーの分野での協力形態のレベルが上がっていることは,両国の会社の具体的協定の中に現れています.
本年3月には,ロシアと中国の指導者の立会いの下で,「ガスプロム」と「KNNK」はガスの分野での協力の拡大に関する協定に調印しました.
ロシアの天然ガスはロシアの統一供給体系から,伝統的なロシアのガス採掘地域である西ルートとサハリン島の採掘田から納入する東ルートの2つのルートを経由して中国に納入されることになります.
ガスの納入は2011年までに開始され,2020年までには,西ルートで300億立米,東ルートで380億立米まで納入を増大する予定です.
アルタイから中国へのガスパイプライン敷設プロジェクトについては,現在交渉中で,仕様と期限が決められているところです.
技術的にはプロジェクト自身は完全に実現可能です.
最重要協定の中には,ロシアの「ロスネフチ」社とKNNK社との間に結ばれた共同会社設立原理に関する協定があります.
単なる貿易と共同ビジネスは全く別の分野です.
「ロスネフチ」と「KNNK」との間の共同企業設立に関する協定は,より高いレヴェルの協力の形態です.
ロシアの機械製造企業も積極的に働いています.
株式会社「シラヴァヤ・マシーナ(動力機械)」は,中国の工場と共同で水力発電所「ツィピンプ」,「ヴァンミポ」そして「バイシ」にエネルギー装置の納入契約を遂行し,さらに,「ヴェイジャマオ」水力発電用にタービンと発電機を納入しています.
発電の分野での協力も進んでいます.
「ロシア統一電力」会社と「中国国営電力網会社」は,電力納入に関する長期契約に調印する両社の意向を確認する協定書に署名しました.
この契約書の調印は,ロシア領内に新しい発電設備及び送電網,中国領内には送電網設備の広範な建設するためのものです.
ロシアの電力を中国市場へ送電する契約送電量は年間600億キロワットに達する.
説明されたプロジェクトやサハリン大陸棚での採掘の開発を考慮しますと,ロシアの石油輸出の中でアジア太平洋地域諸国の割合が現在の3%から2020年には30%に(数量ベースで1億トン増),天然ガスは5%から最低でも25%まで(同650億立米増)増えることが予想されます.
〔略〕
ロシア連邦産業エネルギー相,ヴィクトル・フリスチェンコ
in ノーボスチ,2006/10/05/17:09
【質問】
ロシアと中国の,水資源に関しての関係は?
【回答】
けっして良いものではない.
例えばロシア環境庁は,中国がバイカル湖の水を買うことを環境保護の立場から強硬に反対し,中国のイルテェシ川からの取水計画に対し
「今10%の水を中国が取水しているが,2020年までに25%の水が消えてしまうことになる」
「シベリアのいくつかの地方が破局を迎える」
と報告しています.
また,そのほかにもカザフスタンと中国国境に建設中の「黒イルティシュ・カラマイ運河」計画は,ロシア側で100万人,カザフ側では250万人250万人もの地域住民が水不足の影響を受けるだろうと予測され,最悪カザフスタン首都のアスタナの飲料水でさえ確保できなくなると問題になっています.
現在カザフスタンには水不足を憂慮する団体が40近くあり,モスクワへ中国へ協同で圧力をかけるよう要請している.
一方の中国は,
木を切りつくした>砂漠化進行
農業,工業に水を使いすぎた>黄河消滅
さて,次は何が滅亡するのやら.
水もまた重要な戦略物資.
ロシアも,ガス田や石油の例のように出し惜しみして,自国に有利になるよう中国と交渉するだろう.
ロシャの資源外交はとっても狡猾.
支那相手にはちょうどいいが(笑)
軍事板
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