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アルファ違い


 【link】

「ワレYouTube発見セリ」:Project 705/705K ALFA class Russian Submarine


 【質問】
 アルファ級は他の潜水艦と用途がどう違うんですか?

 【回答】
 アルファ級はアメリカの空母機動部隊を迎撃する高速攻撃原潜として建造された.
 最大水中速力は約40ktで,この速力を生かして敵に向かって接近し,魚雷を発射したらダッシュで逃げるという作戦だった.
 この時高速で激しい三次元機動を行うために大きな水圧がかかる.
 普通の原潜よりも大きく安全航行深度を取る必要があり,そのためにチタニウム船殻を採用した.
 当初の構想では20年ごとにオーバーホールを行って装備を更新し,100年使用することを考えていた.

 以上,世界の艦船別冊の『ソ連/ロシア原潜建造史』より要約.
 この本はソ連の原潜に関するすごい話からトホホな話までを網羅した名著.
 某ラノベ/アニメに登場するスーパー潜水艦の元ネタになった強襲揚陸原潜なんていうゲテモノまで紹介してるので,書店で見かけたら買い.

 あとチタンに関しては価格だけでなく工作にも高い技術力が要求される.
 アルファ級も完成後に溶接部分に亀裂や気泡が発生している.
 最終的には原子炉の信頼性に問題があったために,建造された7隻は全艦十数年で退役している.

軍事板


 【質問】
 アルファ型(705/705K型)の原子炉はどのようなものか?

 【回答】
 アルファ型では高速力が求められたため,コンパクトな高出力エンジンが必要となったので,液体金属冷却炉が選択された.

 705型にはゴルキー市の設計局のアフリカントフ主任設計官の設計によるOK-550型液体金属冷却炉が搭載されたが,2番艦以降はギドロブレス設計局のステコルニコフ主任設計官の設計によるBM-40A型が採用され,プロイェクト名も705Kと変更された.
 705K型では,液体金属冷却炉は原子炉起動時に必要なエネルギーが,加圧水型炉よりも大幅に少ないという645型(ノヴェンバー改型)の運用データも反映して,電池搭載量が4分の1とされた.
 BM-40A型炉は1次冷却材に鉛ビスマス合金を用いており,OK-7K型蒸気タービンと,400ボルト/400ヘルツの三相交流同期発電機2基の動力源となった.

 コンパクトな液体金属冷却炉の採用により,全長が従来艦より短くなり,高速力発揮に貢献している.
 また,アルファ型の高速力と運動性は,新しい対潜兵器を米海軍に開発させるほどインパクトのあるものだったが,これは液体金属冷却炉の出力レスポンスによるところが大きかった.
 しかし,新しい金属冷却炉の信頼性は低く,新型機材の宿命として様々なトラブルが発生した.
 乗員は,この気まぐれな金属冷却炉に手を焼いたという.

 【参考ページ】
『ソ連/ロシア原潜建造史』(A.V.ポルトフ著,海人社,2005.11.15),p.38-42

>新型機材の宿命として様々なトラブルが発生した.

 もし日本で原潜を建造したら,トラブルが起きるごとに叩かれまくるだろうなあ……

【ぐんじさんぎょう】,2009/5/11 22:30
に加筆・修正

 今日は液体金属冷却炉の話.

 この炉はВ研究所(後に物理エネルギー研究所(ФЭИ)となる)で研究されてきたものです.
 В研究所は,1946年にドイツ人専門家の「協力」も得て,一連の原子核物理学の実験的研究の為に設立されたもので,当初はベリリウム乃至その酸化物から成る減速材を持つ原子炉の開発,リング陽子加速器の製作,核融合爆発と大気中での核爆発の光学的現象に関わる研究などを担当していました.

 液体金属冷却炉はレイブンスキーが一貫して指導してきた研究開発テーマですが,その過程で1954年,1962年,1966年,1977年と4回事故を起こし,最初の事故ではレイブンスキー自身も被害者となって居ます.

 液体金属冷却の利点は,冷却材の一次回路に於ける気圧が20〜40気圧と低くて済むことにありました.
 また,炉心単位面積当りの冷却能が加圧水と比べものにならないくらい高く,その為炉を可成り小さくする事が可能でした.
 この液体金属冷却の素材としては,ナトリウム,ナトリウム−カリウム合金,鉛−ビスマス合金などが比較検討され,最終的に鉛−ビスマス合金をВ研究所は選択します.
 これは,ナトリウムやナトリウム−カリウム合金と違い,蒸気発生器に冷却材漏れまたは水漏れが万一生じた場合でも,それが水と反応しない点にありました.
 ナトリウム,ナトリウム−カリウム合金は水と急激に反応し,屡々火災を起こす欠陥があった為です.

 1952年9月,液体金属冷却方式蒸気発生装置群の設計が,ポドリスクにある油圧プレス特殊設計ビューロー(ОКБ Гидропресс)ショルコヴィチ所長の下で2段階に分けて行われました.
 第1段階は,ОКБ ГидропрессとВ研究所の協同で研究・実験を進めながら,地上発電装置用原子炉と原子力潜水艦プロイェークト627と同サイズの原子炉の設計を同時並行で進め,12月,第1総管理部で設計確認レビューが行われた結果,このタイプの原子炉は,輸送機関の動力装置,即ち,原子力潜水艦用の原子炉(ВТ炉)として設計されることになりました.
 概略設計が完了した後,1955年10月22日の閣僚会議布告により,ВТ炉を中心とした新たな装置の開発が決定します.
 これはプロイェークト645と命名され,このВТ炉は第2段階へと突き進んでいきます.

 10月31日の重機械・運輸機械製作工業省の命令により,技術設計の完了は2ヶ月後の12月までとされますが,当然日程に余裕のないものだったりします.

 潜水艦本体の設計は第143特別設計ビューローで行われ,当初ペレグゥドフ,後にナザーロフが主任設計技師として設計が進められていきました.
 プロイェークト645には,液体金属冷却炉を中心とした装置の製作をオルジョニキーゼ記念ポドリスク工場,燃料棒の構成と製作法の開発をНИИ-9,燃料棒の製作が第12工場,一次冷却材回路用ポンプの設計がОКБ Гидропресс,その製作がカリーニン記念モスクワ・ポンプ工場,10〜220mm径の特殊ベロー電機子の設計が電機子中央設計ビューロー,管状減圧器,ポンプ用パイプの設計と製作にはエコノマイザー工場,鋼材,溶接法と溶接温度のコントロール法開発にはЦНИИ-48,自動熱管理システムの開発にはЦНИИ-45,自動管理チャートの開発には第12計測制御機器設計ビューローなどが関わり,他にОКБ Гидропрессの課題解決には,ЦАГИ,重機械中央化学研究所が関わっています.

 プロイェークト645の技術設計は,当初予定から約1年遅れの1957年1月,中型機械製作省によって承認されます.
 プロイェークト645はプロイェークト627と同じく原子炉を2つ並べた形で,それぞれの出力は7.3万kWが予定されていました.

 この炉はВТ-1と命名され,燃料は90%濃縮ウラン,減速材にはベリリウムが用いられています.
 一次冷却材には,先述の鉛−ビスマス共融混合物を用い,二次冷却回路の冷却材は水で,蒸気発生器は両舷側に配置されており,1時間に90t,40気圧,350〜380度の蒸気生産能力を有していました.
 このВТ-1炉の特徴は,融点125度の液体金属冷却材を絶えず140度以上に保つ加熱器とその付帯設備を有していたことです.
 この加熱器の熱には蒸気発生装置群から発する表面の熱を利用しています.
 この為,極めて複雑な形状の管状蒸気加熱器が開発されました.
 因みに,共融混合物の容積は7.3m^3とされています.

 もう一つ,困難だったのは蒸気発生器МП-1の設計でした.
 艦の両舷に3箇所の渦巻管部が装備され,それぞれの渦巻管部にはエコノマイザー,蒸気分離器,過熱部をU字形管に配置したものから構成されていました.

 地上試験用の27/ВТ試験台の技術設計は1955年2月までに概ね完了し,1958年11月,試験台に炉心部が装備され,年末までには試験台上への設備の据付が完了しました.
 1959年3月,一次回路に鉛−ビスマス共融混合物が充填され,計画出力の10%で原子炉を稼働させてみて,最終的に1960年4月8日に計画出力を達成しました.
 最初に充填した核燃料は,1960年12月に尽き,1961年2〜3月にかけて燃料棒の取外しと設備の点検を実施しましたが,此処で大きな問題が発覚しました.
 と言うのも,内部にスラグ,マグネシウム酸化物,鉄と鉛が原子炉容器の内部で大量に発見されたからです.

 ところが,この課題は徹底した解明が為される前に,地上試験関係者は別の課題に忙殺されることになります.
 1961年8月,中型機械製作省は次期原子力潜水艦プロイェークト705用の新しい液体金属冷却式原子炉ОК-550の開発を決定したからです.
 このОК-550は,アフリカントフの指導の下,機械製作特殊設計ビューローが担当し,蒸気発生器の設計は油圧プレス特殊設計ビューローが担当しました.

 この決定の為,27/ВТ試験台は改修されて,1965年末には27/ВТ-5試験台として再び実験が行われるようになりました.
 1966年11月末,ОК-550は先ず30〜75%の出力で実験が開始されましたが,この装置は1975年まで実験が続けられました.
 しかし,その間,冷却材のスラグ化,合金の酸化,蒸気発生器からの冷却材漏れなどが続出し,事態は改善しない為,遂に試験継続は放棄されてしまいます.

 炉と並行して,前述のように液体金属を液状に保つ加熱装置が開発されています.
 1953年の段階では,1万kWの重油ボイラーを搭載した液体金属加熱装置モデルが設計されましたが,検討の結果,重油ボイラーは容積が大きいこと,金属を多用して重くなったこと,水力学的に複雑なことが分かり,1954年には出力1,500kWの管状電炉に切り替えられました.
 この部分は「試験台1500」と名付けられ,公式には1956年8月の完成ですが,実際には据付は1957年に入ってからの完成です.

 この装置で,液体金属用200mmバルブの実験,液体金属の酸化を防ぐ為のフィルターの熱力学的特性とその作業特性の研究,酸化防止技術の改良,蒸気発生装置群冷却のために並行して連結された5本の冷却水管の実験,蒸気や電力による液体金属加熱装置の実験などが行われました.

 ところが,案に相違してこうした装置をゴテゴテと取り付けた結果,ВТ炉を用いた装置は627Аのそれより13.5%重くなってしまいました.
 また,主タービンや動力伝達装置群の大きさは同じでも,高出力化によりタービン発電設備は4倍も重くなり,プロイェークト627艦に比べ20%も重くなってしまいました.
 この為,627艦が装備していた予備ディーゼル発電機を削減するなど,軽量化が大きな課題と成りました.

 1958年7月15日,造船工業省は645艦の起工式を挙行し,1962年4月1日に進水式を行い,8月11日には蒸気発生装置群を含めた原子炉部分が据え付けられ,完成しました.
 12月5日には工場のボイラーから発せられる蒸気の力を借りて,液体金属加熱装置が起動し,蒸気発生装置群が稼働開始しました.

 並行して,潜水艦が建造されていた職区の沿岸に隣接して特別な建屋371が建設され,そこに鉛−ビスマス共融混合物が準備されていました.
 一次回路に冷却材を充填する作業は12月7日にレイブンスキーの指導で行われ,循環ポンプЦН-14の装備も完了し,12月27日に2つの原子炉が計画出力の20%で初めて稼働しました.
 以後,繋留実験が行われ,それは1963年7月まで,中型機械製作省エネルギー管理部長ニコラエフの監督の下で行われています.
 続く洋上公試は,ホロスチャコフ海軍中将を長とする国家委員会によって行われますが,この試験は原子炉フル稼働状態に於て,同艦が示すべき性能に対する「技術的・戦略的要求(ТТЗ)」を確定しました.
 これはソ連どころか西側世界を含めても高い性能を誇っています.

 1963年10月30日,プロイェークト645艦は正式に海軍に引き渡され,К-27と命名されました.
 潜航深度は300m(但し,航行可能深度は270m),潜航時最大速力30.2kts/h,連続潜航期間50日と言う性能を持つК-27は,1964年4〜5月,初の海軍での航行試験で51昼夜連続潜航の記録を作り,7〜9月にドック入りして再整備の後,1965年7〜9月には洋上航海に出て地中海に進出,帰還後2年間に亘って改修と設備の近代化が行われ,その後3度目の洋上航海に出ますが,1968年5月24日,左舷原子炉で液体金属のスラグ付着とそれによる炉心に於ける冷却材通路の閉塞を原因とする事故が発生.
 過熱した核燃料が一次冷却回路の一部などの上に落ちてしまい,炉心は破壊され,乗組員の多くが被曝して,両炉は停止の已むなきに至りました.
 この為,冷却材は固まり,艦は曳航されて帰還すると其の儘退役処分となりました.
 他に同型艦は,1981年に深度50mで冷却剤が固まる事故を起こしています.

 К-3の時と同じく,プロイェークト645の時も,試作艦が航海を初める前の1960年6月,党中央委員会と閣僚会議は特別布告を出し,ОК-550型機関を2基搭載した原子力潜水艦プロイェークト705が発動されましたが,К-27の事故を受けて1971年,1972年,1975年の3回に渡り設計に見直しが実施されます.
 しかし,建造は継続され,1970年9月に完成し,10月から第1艦の公試が始まりました.
 ところが,これも海軍に配備された直後の1972年2月,事故により退役しています.
 それでも,このプロイェークト705艦の同型艦は1981年まで3隻が建造されています.

 つくづく,社会主義ってやつぁ〜って感じですね.

眠い人 ◆gQikaJHtf2,2009/05/14 22:19


 【質問】
 Atomicaの中を液体金属冷却炉で検索してみたのですが,鉛・ビスマスを冷却材としたものについての記述が殆ど見当たらないようです.
(ぐぐり方が悪いのかもしれませんが)

 もしかして現在ではそのような原子炉は使われていないのでしょうか?

消印所沢 in 「軍事板常見問題 mixi支隊」

 【回答】
 Pb-Biは使ってるうちに,強放射性のPo-210が生じて保守上問題になるので西側ではあんまり検討されず,多分ソ連でもアルファ級のBM-40Aぐらいでしか実用化されてないはずです.
 研究・実験炉なら,ロシアの原子炉科学研究所のMIR炉実験炉には,鉛ビスマスループが2ループあるようですが.

D.B. in 「軍事板常見問題 mixi支隊」

 旧ソ連諸国まわりで「高速炉・高速増殖炉」で検索をかけてみては如何でしょうか.
 少なくとも旧西側諸国では例がありません.

 物性的にはD.B.さんが指摘されたとおり,強放射性のPo-210の生成が最大のネックです.

 また,当たり前の話ですが,鉛・ビスマスは水やナトリウムより遙かに重いため,配管にかかる重量負荷が半端な物ではなく,配管の中に「鉄アレイより重い物が詰まっている」のと同様といえば,その設計(特に耐震設計)や扱いが困難なことは,容易に理解していただけるかと思います.

 そのため旧ソ連でも,アルファ級,及び,その原型となった改ノヴェンバー型(645型)の各原潜の存在が知られている程度であり,現在でも鉛ビスマスループを用いた研究がなされているようですが,商用発電炉での実用例は聞いたことがありません.

 ただ,液体金属冷却にて高速増殖炉を実現するためには,ナトリウムの扱いの困難さとどちらがマシか,という比較問題であり,ことある事にロシアなどから鉛・ビスマス炉の提案がなされるところ.
<ちなみに旧ソ連諸国ではナトリウム冷却の高速炉も存在します.>

 一方,鉛・ビスマス冷却材の研究・取り扱い実績は,ほとんどが旧ソ連におけるもので,工学的規模での試験実績や各種ノウハウは旧ソ連諸国が独占している状態です.

 ちなみに日本国内では,東京工業大学での概念研究が関係者の間でよく知られていますが,その中心として活躍されていたのがロシア人だったというのも,鉛・ビスマス冷却材の難しさを示しているように考えます.

 以上,ご参考まで.

へぼ担当 in 「軍事板常見問題 mixi支隊」

 【追伸】
 鉛―ビスマス冷却材について

 実用化例があるのは先にお話ししたとおり,アルファ級などの旧ソ連原潜のみですが,全くそれ以外に研究が進んでいないか,と言うわけではありません.

 最新の研究では 鉛合金冷却炉が第4世代原子炉(Generation IV:GEN−IV)という次世代の原子炉概念の一つとして提案されています.

 また,未臨界原子炉における陽子ビームのターゲット及び未臨界炉心の冷却材として,鉛―ビスマス冷却材が研究されているところが有名です.

 ちなみに,日本国内でも著名なところとして,電力中央研究所にてナトリウム代替概念として要素技術研究がなされています.

 以上,追加となりますが,ご参考まで.

へぼ担当 in 「軍事板常見問題 mixi支隊」


 【質問】
 アルファ型原潜ではどんな原子炉事故が起こったのか?

 【回答】
 1972年,出港準備中のK-64の冷却材が突如,凝固し始めた.
 乗員や専門家はその凝固を止めることができず,原子炉を停止せざるをえなくなった.
 海軍司令部は同型艦建造工事を中断させ,事故原因解明に努めたが,結局K-64はセヴェロドヴィンスクのズベズドチカ原潜修理工場で解体された.

 1982/4/8,K-123は大西洋北部で放射能漏れ事故を起こし,ソ連原潜史最長の9年をかけて修理された.

 1989年,K-316はバレンツ海で原子炉の蒸気パイプが破裂,ディーゼル補機により帰港した.

 他の705K型も気まぐれな液体金属冷却炉には手を焼いたが,その事故のほとんどは1次冷却系が原因だったという.
 K-493では,冷却材1.5kgが原子炉室に漏れ,原子炉は1ヶ月間,使用不能となり,修理後の残存放射線レベルも基準値を超えたままだったという.

 【参考ページ】
『ソ連/ロシア原潜建造史』(A.V.ポルトフ著,海人社,2005.11.15),p.41-42

【ぐんじさんぎょう】,2009/5/17 23:10
に加筆


 【質問】
 鉛―ビスマス合金は,液体金属が配管の構造材の金属原子を取り込んだりして,配管が脆くなったりするようなことはあるのでしょうか?
 ハンダ付けで似たような現象に遭遇したことが・・・

クローム・ツァハル in 「軍事板常見問題 mixi支隊」

 【回答】
 厳密には多少異なりますが,ハンダ付けで経験することが多いですね.
 これら金属系材料の異種金属共存性などは真っ先に考慮すべきことであり,各種電位差や水素脆化などの問題などなど,放射線(放射能)を考えなくても良いコールドの段階
(放射線・放射能を用いるのをホット試験と言いますが,その対比語です)
で,完全に解決すべきことは山のようにあります.

 しかし,それらを当たり前のように解決していても,容易に解決できない問題が持ち上がるのが原子炉の世界.
 放射線の照射によって誘起された原子が,どのような挙動を示すのか,という問題は永遠のテーマといえるほどであり,物性を知り尽くしているはずの水を使った場合ですら,各種材料の挙動は経験工学の世界から出るものではないほどと言えば,如何に困難なことか理解していただけるかと思います.
 原子炉外・もしくは原子炉内でのループ試験が必須の物となっているのは,伊達ではありませんし,お金をどぶに捨てているわけでもありません.

 よって,答えとしては
「未知数・コールド試験では解決済みであっても,実際の原子炉等での使用において,今後どのような問題が発生しても驚かない」
というところであり,645改型等で酸化物やスライムの問題が発生したと聞いても,至極当然の結果であり,産みの苦しみの第一幕を味わったに過ぎないと考えるところです.

へぼ担当 in 「軍事板常見問題 mixi支隊」

 たとえば,鉛ビスマスは,従来使われてきたオーステナイト・ステンレスを腐食させます.
 ステンレス中のNiを溶出させるためです.
 Niを含まない他のステンレス(フェライト系など)は,現時点では,要求される強度に答えられないようです.

 あと,誰も書いてないのですが,鉛ビスマス冷却材の欠点のひとつに,一次冷却系に空気や酸素が侵入した場合,酸化鉛のスラグが発生し,量によってはループを閉塞させるというものがあります.
 旧ソ連原潜の事故の一つは,これによるものだそうです.

注目を集める鉛ビスマス冷却炉(pdf注意)
http://www.tgn.or.jp/trf-zaidan/pdf/16-sho-kondo.pdf

極東の名無し三等兵 in 「軍事板常見問題 mixi支隊」

> pdf

 どこかで読んだことのある論調だと考えていたら,何のことはない良く面識のある人間だったという罠...orz
 というわけで,私個人としては既に学会発表等で既知の内容であり,特に新しい知見はない物と感じています.
(この点からお仕事モードへ)

 もっとも枢要な材料との共存性についても,Niを排除したフェライト鋼が最終的な答えになるのか懐疑的です.
 強度の問題を指摘しているのは当然ですが,実際の原子炉の取り扱いについても,保護酸化層の形成が鍵となることは周知の事実.
 それ自体は新しいことでも何でもなく,問題は各種Niフリー材料において安定した保護酸化層を,如何に確実に構築するのか,環境条件(温度条件)など多数のパラメーターがある中で,1つの技術可能性が示されても,それで十分というわけではありません.
 軽水炉にしてもSUS304材で十分と考えられてきたのが,各種トラブルによって重要度の高い部分はSUS316材やL材,LTP材というように,どんどん改良(加工面含む)が重ねられてようやく現段階に到達したのであって,その点は一朝一夕になる物ではありません.
 また,酸化鉛のスラグの問題も,「もんじゅ」におけるナトリウムカバーガスの問題(+ガス巻き込みの問題など多数あり)とほぼ同様であり,革新的な炉系の構想は重要なのですが,それを支える地道な努力がなければ砂上の楼閣と貸すことは間違いなし.

 まあ,pdf筆者当人もその点の「実際の努力」に疎いことを,もっとも気にしていましたが.
 というわけで,知人と言うこともあり,また業務に絡むことでもあるため,お仕事モードの辛辣な評価となってしまいました.
 しかし,ひとたび私たちが技術的問題に際し,全力で課題解決に取り組む場合,表に出すことは滅多にありませんが,如何に厳しい問題提起をし,各種厳密な技術評価を短期間に下すことが要求されるかか,その一端を感じていただければ幸いです.

へぼ担当 in 「軍事板常見問題 mixi支隊」


 【質問】
 そこまでして,液体金属冷却にこだわるメリットはどんなものがあるのでしょうか?

ゆきかぜまる

 【回答】
 熱伝導性が水の何十倍もあるから.

http://slashdot.jp/hardware/08/05/21/079254.shtml
 太陽光発電の冷却に液体金属を使う案も出ています.

JSF

 簡単にまとめると以下の通りとなります.

 1.JSFさんご指摘の通り「熱伝導度」「熱伝達率」が高く,効率的に熱を輸送できるから.

 2.高温を得るには,水など他の物質では高圧を掛ける必要があり,配管や原子炉圧力容器をすさまじく頑丈な物にする必要がある.
 しかし液体金属の場合,液体金属を送り出すのに十分な圧力さえあれば良い上に,高温となっても沸騰点までに余裕があるため,超臨界圧火力並みの高温の水蒸気を作り出すことができ,小型で高出力を得やすい.

 3.冷却材として使われることの多い水構成原子より,質量数が大きいため,十分な冷却能力と中性子を減速させないことを両立できる.
 そのため,高速炉をより確実に構成しやすく,増殖炉の実現などのメリットがある.

 以上,ご参考まで.

へぼ担当

以上,「軍事板常見問題 mixi支隊」より


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