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(画像掲示板より引用)


 【link】

「六課」ACS◆(2013/02/10) ロシアの新たな非大気依存発電装置(AIP)は2013年6月に国家試験を行なう


 【質問】
 ソ連における動力用原子炉開発の始まりは?

 【回答】
 ソ連にて,1947年3月24日,「第1総管理部科学技術協議会」の会議の席上,同協議会学術書記のポズドニャコフは,「核反応による動力装置」と言う表題の大きな報告を読み上げました.
 この報告の第4部では,輸送機関への利用の可能性が検討されていました.
 その内容は以下のようなものでした.

1. 20kgのウランの原子核分裂で4万馬力のエンジンを60昼夜に亘って動かすことが出来る.
  これは舶用機関であれば航行距離が9万kmに相当する.
2. そうした機関を搭載すれば,実際上無制限の行動範囲を持つ潜水艦を建造することが出来る.
3. 舶用機関の場合,周囲の水を遮蔽物とすることで,放射線防護は十分可能である.
4. 防護壁等の重量を除くと,動力装置全体の重さは5〜50tとなる.
5. 燃料には濃縮ウランを利用する.
6. 核反応の熱によって蒸気またはガス・タービンを動かす.

 また,この報告の第7部では,適切なタービン出力を3万馬力を想定していました.
 とは言え,未だ原子爆弾すら出来ていない状況では,この報告は未だ何らの行動も生み出す事はありませんでした.

 1949年10月3日,上記協議会の席上で,クルチャートフとフェインベルグが実験炉Малютка(赤ん坊)の開発計画を報告していますが,同実験炉は燃料に濃縮ウランと減速材兼冷却剤に純水を用いるものとされていました.
 この報告中,フェインベルグの「工業目的の原子力」と題する報告では,
「我々にとって最優先の課題は,原子力機関を積んだ潜水艦隊の創設である」
と述べ,明確に原子力機関の潜水艦への応用を想定していました.

 具体的提案として,科学アカデミー測定機器研究所(ЛИПАН…最初期の核開発研究センターであった第2研究所の後身)と,同じく科学アカデミー物理問題研究所(ИФП)が共同で,1951年前半でМалюткаの概略設計を終え,1951年後半から1952年中にその原子炉を搭載した潜水艦の設計,建造,進水式を行う事を計画していました.
 同時に,フェインベルグは冷却材として軽水の他,ガスや液体金属も考えられるとしています.

 とは言え,こんな時期から潜水艦用原子炉開発が構想されていたのでなく,それより遙か以前に構想されていたと言われています.
 当初は,グルヴィチ設計の原子炉をモスクワ市内のレーニン丘(現在のヴォロヴィヨーヴィ=ゴールイ)近くのモスクワ河岸に建設する計画を練っていましたが,クルチャートフは危険すぎるとしてこれに承認を与えませんでした.
 また,政府の特別委員会(通称ベリヤ委員会…軍事目的の核開発に関する政策決定を行う政府の委員会)も,潜水艦用の原子炉開発を「全く時宜に叶っていない」として,その計画の中止を申し渡しました.
 つまり政府の狙いとしては,米国の原子爆弾に対抗する為のプルトニウム生産が先決であり,動力装置の開発は後回しにしようとした訳です.

 原子爆弾が実現し,米国のアドバンテージが少なくなってきた時点で,ソ連政府としても余裕が出て来て,動力用原子炉の開発が第1総管理部から政府特別委員会への報告として提言されています.

 此処で挙げられていたのは,次の3種類の原子炉でした.

 1つ目は,10%濃縮ウランを利用する1万kW出力の黒鉛減速・水冷却炉(クルチャートフを中心にЛИПАНが開発して実験炉МРとして実現する)
 2つ目は,3%濃縮ウランを用いて,圧縮ヘリウムガスで冷却する黒鉛減速炉(アレクサンドロフを中心にИФПが開発し,実験炉ШГとして実現する.)
 3つ目が,小出力の補助装置用にベリリウム減速・ガス冷却炉(レイプンスキーを中心に1947年に設立されたВ研究所で担当したが,実現せず.因みにこれは航空機用を想定)
 此処ではМалюткаに関する言及はありませんが,研究は継続され,中性子減速の70%が黒鉛,30%を軽水で実現する中間的な実験炉РФТが誕生しています.

 1950年1月7日付で第1総管理部次官サヴェニャーギンと同じくエメリヤーノフ,クルチャートフ,化学工業相ペルヴーヒン,炉工学専門家のドレジャーリが連名で政府特別委員会にメモを送付しました.
 このメモには,以下の課題が設定されていました.
1. 天然ウラン利用のウラン−黒鉛原子炉で,冷却水温度の上昇により,プルトニウム生産と共にその熱を電力生産に利用出来るものの設計と開発
2. 濃縮ウランを利用する船舶,就中潜水艦用の原子力熱発生装置の設計・開発

 これに基づき,1950年2月11日,第1総管理部長官ヴァンニコフは会議を招集し,ドレジャーリから,化学機械製作科学研究所(НИИХИММАШ)で濃縮ウランによる蒸気タービン出力2.5万kWの舶用機関に応用する為の高出力炉の概略設計を行った旨の報告を受けました.
 また,それは黒鉛ブロックの中に水冷却式の冷却管が通り,その管の更に中に濃縮ウランが包まれている構造を持つ炉型を提案しました.
 その際,彼の計算では,熱出力15万kW,動力出力を2.5万kW,3%濃縮ウランの量を700〜800kg,炉心の黒鉛重量3t,炉心直径1.5m,炉心高1.5m,水の消費量750m^3/h,冷却水圧100気圧と想定していました.
 討議の結果,この内の指標の幾つか,例えば,熱出力は3万kWにタービン出力は5,000kWに,ウランの濃縮度を3〜5%とし,その重量を300kgに修正した後,これをАМ装置と命名して,第1総管理部で開発を進める事になりました.

 もう1つ,第1総管理部に対抗する形で,1950年3月28日に発表された,国民経済への原子力利用に関する活動計画で,ザヴェニャーギン,ポズドニャコフ連名の提案では,ウラン235,プルトニウム1kgの燃焼で2,000tの石油に匹敵する熱量が生まれるとして,その利点を強調しつつ,蒸気タービン出力0.5〜1万kWの最も単純な黒鉛減速・加圧水冷却炉だと最高で3%にまで濃縮したウランが300〜600kg必要で,この様な炉の総重量は40〜60tになると言う具体的な数値を示し,既に概略設計が完了し,1950年には5,000kWタービンを持つ装置が試作目的でВ研究所で建設予定であるとぶち上げています.

 こうして,ソ連の原子炉研究は,ЛИПАН,ИФП,НИИХИММАШそしてВ研究所と4つ巴の争いになってしまいました.

 1950年5月16日付ソ連邦閣僚会議布告2030-788「平和目的原子力研究に関する科学研究・設計・実験活動について」の中で,こうした方針はオーサライズされ,7月29日付閣僚会議布告3333-1399で具体的な国家的支援とその為の組織的措置が決定されました.

 第1総管理部には定員20名の第5課が,新たにポズドニャコフを課長として設置されました.
 新タイプの原子力による動力装置の開発に関する活動の指導者にはドレジャーリ,その物理問題担当次席にブロヒンツェフ,エンジニアリング担当次席にはショルコヴィチが任命すると共に,НИИХИММАШを所管する機械・計測制御機器製作省に命じ,НИИХИММАШの第9課,第10課を基礎に新たにドレジャーリを中心とする第5特別設計ビューロー(СКБ-5)を設置しています.

 先ず,船舶用原子炉としてソ連はウラン−黒鉛炉を想定していました.
 当時,米国ではノーチラスの建造が進んでいたのですが,この建造には極めて厳しい機密保持体制が敷かれ,ソ連の諜報網にその情報は引っかかってきませんでした.
 従って,ソ連側はその構造的特性や動力装置のタイプについての情報が殆ど無かったと言われます.
 ドレジャーリは,液状の炉に由来するかも知れない諸現象を排除しようとすれば,固形の減速材を使わざるを得ないと頭から信じていましたから,黒鉛炉に帰結するのも当然のことでした.

 しかし,クルチャートフやアレクサンドロフは,このウラン−黒鉛炉が船舶用には適さないことを結論づけることになりました.
 ウラン−黒鉛炉は余りにも巨大,かつ重すぎて潜水艦の推進機関としては不合理であるとされた訳です.
 こうして,このウラン−黒鉛炉АМ装置は船舶用とすることを諦め,目的を発電設備用に切り替えた上で,1954年に世界初の原子力発電所であるオブニンスク発電所に設置されることとなりました.

 これが挫折した為,アレクサンドロフの指導の下で,ЛИПАНでは一旦放棄されていた軽水炉の計画を再検討し,1951年末に案が出来上がりました.

 ただ,この間,В研究所では,冷却材としての液体金属を研究しており,これは炉内の圧力が低くて済み,より高温が得られることに着目し,高速中性子による増殖炉へのこの冷却材利用の可能性を想定して,第1総管理部に於て,もう一つの潜水艦用原子炉ВТ装置を並行して設計・開発することになります.

眠い人 ◆gQikaJHtf2,2009/05/11 22:19


 【質問】
 ソ連における原潜用原子炉開発の始まりは?

 【回答】
 ウラン−黒鉛炉АМ装置は潜水艦の推進機関としては落第の印を押されてしまいました.

 ЛИПАНではアレクサンドロフの指導の下,再度計画を練り直し,前に検討して一旦計画を放棄していた軽水炉を再び俎上に上げることになりました.
 最終的に,彼等が軽水炉を物理学的に見て実現可能であることを確信し,案として纏めたのは1951年も末になってからです.
 この軽水炉は,密封した鋼製容器の中に炉心を置く構造と冷却材に加圧した純水を利用するもので,計画出力は76,000kWを想定していました.

 1952年6月12日付で,ЛИПАНの資料に基づいて,ヴァンニコフ,ザヴェニャーギン,マルィシェフ,パヴロフ,ポズドニャコフが連名で政府に閣僚会議布告草案を送り,船舶用軽水炉開発とそれを装備した原子力潜水艦建造計画の承認を求めました.
 意外なのは普通,こうした新兵器は軍側の要求にて発注されるものですが,原子力潜水艦は,科学者側のアプローチで建造が決まった点です.
 この草案は政府が取上げる所となり,1952年9月12日付で布告「祖国の原子力潜水艦建造に関する活動の展開について」にスターリンが署名して,正式に原子力潜水艦プロイェークト627が動き始めました.

 この布告では,原子力潜水艦の設計と研究・試験設計活動のオーガナイザー,原子力潜水艦建造に関する全ての活動のコーディネーターとして第1総管理部が任命すること.
 第1総管理部科学技術協議会に原子力潜水艦建造に関する科学・技術問題検討セクション(第8セクション)を設置すること.
 第1総管理部に化学機械製作研究所の設計関連部門の幾つかを基礎に動力炉開発に関する特別の設計事務所(第8科学研究所:НИИ-8)を設置すること.
 計画全体の学術指導者にアレクサンドロフ,蒸気発生装置の主任設計技師にドレジャーリ,潜水艦の主任設計技師に造船工業省第143設計ビューロー所属のペレグゥドフを任命しました.

 アレクサンドロフは,ウラン−黒鉛炉開発の研究と海軍との戦時中のコネクションがモノを言った起用であり,ペレグゥドフ率いる第143設計ビューローは潜水艦設計の専門集団でした.
 しかし奇妙なことに,以前から軽水炉研究に従事していたフェインベルグやグレーヴィチは責任在る地位に登用されず,しかも当時,アレクサンドロフは病床に伏しており,ドレジャーリも休暇から帰って初めて自分が主任設計技師に任命されたことを知る始末でした.
 これは永遠の謎です.

 1952年11月25日付の布告では更に,
燃料棒の研究と製造を担当するボチヴァル率いる第9科学研究所(НИИ-9),
蒸気タービン設備の開発を担当するカザーク率いるレニングラード・キーロフ工場のСКБ/ЛКЗ,
一次冷却水回路の循環ポンプなどの開発を担当するシニョフ率いる同工場のОКБ/ЛКЗ,
蒸気発生装置の開発を担当するガザーノフ率いるセルゴ・オルジョニキーゼ記念バルト造船工場のСКБК,
潜水艦船体用鋼材の研究を担当するカプィリン率いる冶金・溶接中央研究所(第48科学研究所:НИИ-48),
生命維持装置関係の研究を担当するシュパーク率いる国立応用化学研究所(ГИПХ),
潜水艦搭載電子機器の開発にはエルレール率いる第1機械科学研究所(МНИИ-1),
水測装置の開発にはアラドゥシュキン率いる第3科学研究所(НИИ-3)
と各研究所がプロジェクトに動員されました.
 また,
モザリェフスキーが工場長を務めるエレクトロシーラ工場では電力設備を製作し,
モロトフスク市(現セヴェロドヴィンスク市)にある造船工業省402工場では潜水艦の建造を担当,
蒸気発生装置群(ППУ)と27/ВМ試作機の作業詳細設計を担当したのはアフリカントフ率いるОКБМ,
マクシーメンコ率いるゴーリキー機械製作工場では蒸気発生装置群の製造を担当する
など,設計ビューロー20箇所,研究所35箇所,工場約80箇所の合計136の組織が動員されています.

 627潜水艦は,2つの原子炉で蒸気を発生させ,そこから発生した蒸気をタービンに導き,17,500馬力のタービンを2基動かす構造になって居ました.
 2つのタービンにはどちらの炉からも蒸気が送られるようになっており,熱出力7万kWの原子炉を持つ蒸気発生装置からの蒸気発生能力は1基当り毎時90tと見積もられていました.
 また,原子炉の能力はフル稼働状態で1,500時間の運転を持続することが求められていました.

 蒸気発生装置群は,それぞれ原子炉,制御装置類,蒸気発生器,一次冷却水回路の循環ポンプ,加圧器,それらを繋ぐパイプ群,一連の計測制御機器類などからなり,6.8m×12mの区画に配置され,この区画には生物学的防護手段と,放射能を帯びた冷却水を扱う手段も備えられていました.

 設計によると,熱出力14万kWの蒸気発生装置群2基を設置する区画の総容積は435m^3であり,オブニンスク原発のАМ炉(出力3万kW)の1,568m^3に比べると1m^3当りのエネルギー効率は17倍となるものでした.

 同時に開発を迫られた課題としては,高熱に耐える燃料棒,鍛造・高硬度炭素鋼製で薄い耐食性皮膜を持つ炉の容器,ユニフロー式蒸気発生器の構造,無塩素素材によるポンプと電機子,生物学的防護壁を組込んだ蒸気発生装置群の設計,一次冷却水回路に於ける冷却水管の熱膨張からの自動復元メカニズム,防錆鋼,動力区画を作業空間と人が立ち入らない空間とに厳密に区分することなどが挙げられています.

 燃料棒については,ボチヴァルの指導の下,特別研究室でサモイロフ等がこれを担当し,直径5〜6mmの筒状の容器に二酸化ウランを装填する構造が選ばれました.
 二酸化ウランは高熱に耐え,中性子照射にも強く,水に対する耐食性を持つと言う特性を評価されたもの.

 燃料棒へ燃料装填方法は,2種類の検討が為されました.
 1つは,二酸化ウランと鉛−ビスマス合金との共融混合物を粉末にして防錆管に充填するНИИ-9提案の方法で,もう1つは,二酸化ウランを筒状のタブレットにして管に充填するЛИПАН改め原子力研究所(現在のクルチャートフ研究所)提案の方法です.
 その評価の為,9個の燃料を縦に繋いだ200mmの燃料棒を作り,それをЛИПАНの実験炉МР炉に装填して行われました.
 最終的には前者の改良案が採用され,ウラン−珪素−アルミニウム合金を利用した燃料充填方法が採用されています.

 生物学的防護手段については,鉛,鉄,水,硼素カーバイド,黒鉛と硼素カーバイドから作られたカーボライトをりようした遮蔽物が開発されています.

 一次冷却水回路を動かす気密・無塩素素材製ポンプの開発は最も難しい課題の一つであり,特に放射線に良く耐え,注油の不要なベアリングの開発が最も難しいものでした.
 80種類の素材が検討された結果,黒鉛を基礎にベークライト・ラッカーと蓖麻子油を雲母と焼結したプレス素材К-4が選択されました.
 これは250度・200気圧の加圧水を扱っても極めて耐久性の高い素材でした.
 一次冷却水ポンプとそれを動かす三相交流同期式電動機をひとまとめにブロック化した区画の設計図は,アレクサンドロフとドレジャーリの承認を受け,1954年に設計図が完成しました.

 ガザーノフが設計した蒸気発生器は数多くの蛇行を重ねた蛇管で,ユニフロー式の原理を実現したコンパクトなものでした.
 1つの原子炉毎に8つの蒸気発生室をマニホールドで一つに纏める形で防錆鋼で作成されており,蒸気発生装置群の区画の鉛で板張りした側板上に設置されていました.
 同時に,200気圧・350度の高温・高圧・高放射能の条件下でも正確性を失わない計測機器の作成も急務とされました.

 こうして,蒸気発生装置群とその地上用試験台27/ВМの技術設計は1955年に完了し,地上試験台はオブニンスクにあったВ研究所に組上げられる予定でした.

 一方,船体の設計は困難を極めています.

 今回の原潜ブログについては,『原子力工業』の第35巻第5号,第6号(1990年5月〜6月),1999年3月号の軍事研究が大元になって居ます.
 やっぱり原子力関係の語彙が不足していますねぇ.

眠い人 ◆gQikaJHtf2,2009/05/12 22:51


 【質問】
 ソ連/ロシア海軍原潜の,原子炉の変遷を教えられたし.

 【回答】
 ソ連/ロシア海軍の原子力潜水艦は,世代別に見ると,第1〜第4世代に分類されます.
 そして,同世代の原潜には,基本的には,同型の原子炉が搭載されています.

●第1世代
 1950年代末から建造されたソ連/ロシアの第1世代原潜は,この3タイプです.

・プロジェクト627/627A攻撃原潜(ノヴェンバー級)
・プロジェクト658/658M戦略原潜(ホテルI/II級)
・プロジェクト659/675巡航ミサイル原潜(エコーI/II級)

 この世代の原潜には,VM-A(ВМ-А)と呼ばれる原子炉が搭載されました.
 熱出力は1基あたり70メガワットです.

 第1世代原子炉は技術的にも未熟だった為,頻繁に事故を起こしました.
 代表例としては,ハリソン・フォード主演で映画化された,1961年7月のホテル級K-19の原子炉事故が挙げられます.

●第2世代
 1960年代末から建造された第2世代原潜には,以下のタイプが有ります.

・プロジェクト667A戦略原潜(ヤンキー級)
・プロジェクト667B/667BD/667BDR/667BDRM戦略原潜(デルタI/II/III/IV級)
・プロジェクト661巡航ミサイル原潜(パパ級)
・プロジェクト670/670M巡航ミサイル原潜(チャーリーI/II級)
・プロジェクト671/671RT/671RTM攻撃原潜(ヴィクターI/II/III級)

 この世代の原潜には,VM-4(ВМ-4)と呼ばれる原子炉が搭載されました.
 熱出力は,1基あたり90メガワットです.

 VM-4は,細かく分けると以下のタイプが有ります.

・VM-4-2(ВМ-4-2):プロジェクト667A
・VM-4B(ВМ-4Б):プロジェクト667B/667BD
・VM-4S(ВМ-4С):プロジェクト667BDR
・VM-4SG(ВМ-4СГ):プロジェクト667BDRM
・VM-4-1(ВМ-4-1):プロジェクト670/670M
・VM-4(ВМ-4):プロジェクト671/671RT
・VM-4A(ВМ-4А):プロジェクト671RTM

 ただしプロジェクト661だけは,V-5P(В-5П)というタイプを搭載しました.
(熱出力は約90メガワット)

 第2世代原子炉は,第1世代の教訓を踏まえて様々な改善が行なわれた為,信頼性と安全性は高まりました.

 しかし,急速に拡大していくソ連原潜艦隊に対し,乗員の養成が追いつかず,人的ミスによる事故を無くす事は出来ませんでした.

 1989年6月26日,デルタIII級のK-129は,一次冷却水漏出事故を起こし,乗員10名が被曝しました.
 現在までのところ,これが,ソ連/ロシア原潜が起こした最後の被曝事故です.

●液体金属原子炉(第1,第2世代)
 第1,第2世代原潜と並行し,液体金属冷却型原子炉を搭載した原潜も,少数が建造されました.

・プロジェクト645(ノヴェンバー級):第1世代相当
・プロジェクト705/705A(アルファ級):第2世代相当

 原子炉は,
ノヴェンバー級がVT-1(ВТ-1)[熱出力73メガワット],
プロジェクト705はOK-550(ОК-550),
705AはMB-40A(МБ-40А)[熱出力155メガワット]です.

 液体金属原子炉は取り扱いが難しく,トラブル続発で,信頼性と安全性は高いとは言えませんでした.

 唯一のプロジェクト645原潜であるK-27は,1968年5月,就役前の航海試験中に原子炉が制御不能になり,乗員142名が被爆.
 うち6名は艦内で死亡,帰還後,更に4名が死亡する有様でした.

●第3世代
 1980年代から建造された第3世代原潜には,以下のタイプが有ります.

・プロジェクト941戦略原潜(タイフーン級)
・プロジェクト949/949A巡航ミサイル原潜(オスカーI/II級)
・プロジェクト685攻撃原潜(マイク級)
・プロジェクト945/945A多用途原潜(シエラI/II級)
・プロジェクト971多用途原潜(アクラ級)

 この世代の原潜には,OK-650(ОК-650)と呼ばれる原子炉が搭載されました.
 熱出力は,1基あたり190メガワットです.

 OK-650は,細かく分けると以下のタイプが有ります.

・OK-650A(ОК-650А):プロジェクト945
・OK-650B(ОК-650Б):プロジェクト949,プロジェクト971,プロジェクト945A
・OK-650B-3(ОК-650Б-3):プロジェクト685
・OK-650VV(ОК-650ВВ):プロジェクト941
・OK-650V(ОК-650В):プロジェクト949A

 第1,第2世代原子炉の経験を経て開発された第3世代原子炉は,更に信頼性と安全性が向上し,これまでのところ,原子炉の事故は報告されていません.

 しかし,原子炉とは全く関係の無い火災あるいは魚雷爆発により,第3世代原潜は,2隻が沈没しています.
(1989年に沈没したマイク級「コムソモーレッツ」と2000年に沈没したオスカーII級「クルスク」)

●第4世代
 ソ連邦解体後に建造が開始された第4世代原潜は,この2タイプです.

・プロジェクト955戦略原潜(ボレイ級)
・プロジェクト885多用途原潜(ヤーセン級)

 長年に渡って建造され続けてきた巡航ミサイル原潜は無くなり,攻撃原潜と統合されました.

 この世代の原潜は,少なくとも設計の上では"моноблочный реактор типа КПМ"
(単一ブロック型原子炉「KPM」型)
を搭載する事になっています.
 熱出力は,1基あたり200メガワットです.

 KPMは,核燃料の寿命が30年に延長され,「単一ブロック」の名の通り,炉心や冷却系統が全て一体化されており,信頼性と安全性は,更に向上しています.

 しかし,ボレイ級の1,2番艦だけは,第3世代原子炉OK-650系列を搭載しているようです.

『コメルサント』2009年7月27日
[(ロシアが)計画中・建造中の艦艇]
http://www.kommersant.ru/doc-rss.aspx?DocsID=1208914

 この記事によると,ボレイ型は,1番艦と2番艦がOK-650BあるいはOK-650V,3番艦以降が第4世代のKPMを搭載するとの事です.

 ボレイ級の1,2番艦は,建造中止になったオスカーII級1隻とアクラ級2隻のパーツを流用しているので,オスカーII級用のOK-650V,アクラ級用のOK-650B原子炉を流用しているかもしれません.

 昨年(2008年)12月末,ボレイ級1番艦「ユーリー・ドルゴルーキー」は,原子炉の設置に関する問題点があると報じられました.
http://blogs.yahoo.co.jp/rybachii/36337057.html

 これは,設計と異なり,原子炉(KPMの代わりにOK-650BあるいはOK-650V)を搭載した為だとも考えられます.

 ヤーセン級は,第4世代のKPMを搭載しています.

 ただ,日本というか西側では,第4世代のKPMと第3世代のOK-650を混同している者も多いようです.
 酷いのになると,OK-650B(KPM)などど書いているのも有ります.
http://www.eurus.dti.ne.jp/~freedom3/severodvinsk.htm

 むろん,OK-650BとKPMは,全くの別物です.

 この他,キリル文字(ロシア語)の"В"とアルファベットの"B"を混同している例も見られます.
 キリル文字の"В"は,アルファベットに転写すると"V"です.

 【参考画像】
627型(ノヴェンバー型)原潜内部図解

「ロシア・ソ連海軍報道・情報管理部機動六課」
2009/12/30(水) 午前 0:39

青文字:加筆改修部分

――――――
多用途潜水艦の1番艦「セヴェロドヴィンスク」は5月7日に進水する
モスクワ,3月15日(ロシア通信社ノーボスチ)


 多用途原子力潜水艦の1番艦セヴェロドヴィンスク(プロジェクト855「ヤーセン」級)は,工場「セヴマシュプレドプリャーチェ」(セヴェロドヴィンスク市)の船台から,5月7日に進水する.
 月曜日,同社の公式代理人は,ロシア通信社ノーボスチに伝えた.
 〔略〕
 艦にも,最新の通信・航海システムと,根本的に新しい原子力パワープラントが装備されている.
――――――

 「根本的に新しい原子力パワープラント」は,"моноблочный реактор типа КПМ"(単一ブロック原子炉「KPM」型)を指しています.
http://blogs.yahoo.co.jp/rybachii/40630650.html

 セヴェロドヴィンスクには,OK-650B型原子炉(第3世代原子炉)が搭載されているなどと書いている資料も有りますが,もしもOK-650Bならば,"принципиально новой"(根本的に新しい)などという表現は使われません.

「ロシア・ソ連海軍報道・情報管理部機動六課」
2010/3/15(月) 午後 8:21

 1点指摘させていただくとすれば
> ・新型の単一モジュラー原子炉の名称は「KPM」型
> нового моноблочный реактор типа КПМ
は,英語翻訳が正しければ「monobloc type reactor PCF」となります.
 この場合,日本語訳としては「単一モジュラー原子炉」ではなく,今までに伺った情報を加味すると,「(蒸気発生器等)一体型(構造)原子炉」と訳すべきでしょう.※
 「モジュラー」とは便利な言葉ですが,原子力業界の中で原子炉周りに「モジュラー」という用語を使った場合,
「工場での大量生産前提の小規模な原子炉」
を意味します
(何も説明を受けなかった場合,私個人は無条件でその意味に受け取ります).
 つまり「KPM」型の先進性を示す,肝心要の「一体型」とのニュアンスは非常に薄くなるため(おまけ程度です),「モジュラー」という用語の使用には十分に注意が必要です.

へぼ担当 in mixi,2009年12月29日 07:35

※ 指摘を受けて既に修正済み


 【質問】
 原潜用原子炉の性能諸元は?

 【回答】
 『ソ連/ロシア原潜建造史』(A.V.ポルトフ著,海人社,2005.11.15),133によれば,以下の如し.

世代 第1世代 第2世代 第3世代
原子炉
タイプ
VM-A
(VM-2AG) 
OK-300
(VM-4AM) 
OK-350
(VM-4AM-1) 
OK-650
/OK-700A
(VM-11SKGK) 
KH-3
(VM-16SKGK)
出力(MW) 17 17.6 22 46 74
核燃料棒(本) 180 224 280 199 349
核燃料材料 U(ALSi)3 U(ALSi)3 U(ALSi)3 UAL3 UAL3
U-235の量(kg) 40 70 80 160 354
U-235の割当(%)  21 17〜21 17〜21 36〜45 36〜45

 なお,上記表中の「出力」は,電気出力のほうであると思われる.
 なお,上記表中の「出力」は,軸出力(換算)のほうであると思われる.
 熱出力のほうだと解釈すると低すぎるので.

消印所沢

「電気出力」→「軸出力(換算)」
への修正が必要です.
 真実はどうか分かりませんが,伝えられる情報ではロシアの原潜では原子力ターボエレクトリック推進
(蒸気タービンで発電機を回し,その電力で推進用電動機を回す方式)
を採用していない模様ですので,「電気出力」は不適かと考えます.
 ただ,ロシアの場合原子炉を2基積んで1軸推進という事例がありますので,その場合の原子炉出力を「軸出力」で表現すると,少しおかしな事になってしまいます.
(2基1セットとの注釈なら構いませんが)
 そのため「軸出力(換算)」として,「換算」を付けることを推奨します.

 【追伸】
 A.V.ポルトフ氏の著作の中で,上記表だけが本当かどうか自信が持てません.
 技術的には破綻しているところはありませんが,各種原子炉の名称や,出力などのスペックに間違いがないか,シア氏に査読していただき,指導いただくのが一番かと思います.
(他の資料と付き合わせてチェックが出来ないところですので)
 また,技術的な進展としては,U(ALSi)3とUAL3が逆なようにも思います.
 ただ,これは各種特性など核燃料の設計にも関わるところですので,どちらが正なのか(少なくとも双方とも用いられてもおかしくない)クロスチェックが必要と考えます.

 因みに,西側諸国において研究炉のウラン濃縮度の低減(90%→20%以下など)に,上記技術が使われたところですが,詳細は軍事情報や機微情報ともなりかねませんので,一旦伏せることとします.

へぼ担当 in mixi,2010年01月31日 17:58


 【質問】
 VM-A型潜水艦用実験原子炉とは?

 【回答】
 当時のソ連の核技術研究の中心地だったオブニンスク(モスクワ近郊)に,1951〜56年の5年間を費やして建造された,潜水艦搭載用原子炉開発のための原子炉.
 強制収容所の囚人たちが,ウォッカ1本と引き換えに,危険な作業に従事したとされ,また,完成後もトラブルは140件を数え,原子炉のカバーや蒸気発生器などの改設計が必要になったという.
 また,原子炉の実物大模型も造られ,潜水艦乗員たちはこれを使って訓練を行ったという.

 ちなみに蒸気発生器は,初期のソ連原潜の悩みの種だったようで,ノヴェンバー型やエコー型は何度かここが破損して,1次冷却水が漏れ,汚染というパターンでの事故を起こしているとか.

 【参考ページ】
『ソ連/ロシア原潜建造史』(A.V.ポルトフ著,海人社,2005.11.15),p.16-17

【ぐんじさんぎょう】,2009/4/11 22:00
に加筆

▼ さて,船体の設計も出来た所で,化学機械製作研究所では,潜水艦区画の原寸大模型を木で作り,設備の据付,取外し,再据付の可能性を調査していました.
 また,バルト造船工場でも,蒸気発生室の設備と据付の条件を点検する為,矢張り木製模型を利用していました.
 しかし,最も重要な原子炉や蒸気発生装置群を地上試験に付す為には試験台が必要であり,オブニンスクのВ研究所に,「27試験台」と言う名称で設置されることになりました.
 「27試験台」は2つの試験台の総称であり,片方は軽水炉に関する実験施設である27/ВМ試験台,もう片方は液体金属冷却炉用の実験施設である27/ВТ試験台です.
 前者に関しては,ゴーリキー機械製作工場が準備し,据付には第402造船工場の専門家が機械・計測制御機器製造省の特殊化学設備の専門家と共に担当して,1956年3月までに完了しました.

 1956年3月8日,試験台上で原子炉を0.3%の出力で稼働させ,4月初旬に初めて蒸気発生に成功し,4月21日には蒸気タービンの回転に成功しました.
 6月に計画出力の25%,9月には68%に達しました.

眠い人 ◆gQikaJHtf2,2009/05/13 23:04

 ついでに,最初期の潜水艦用原子炉計画では,ソ連独自の例のウラン−黒鉛炉が想定されていたそうな.
 他にも,ヘリウム・ガス冷却炉,液体金属冷却炉,ウラン−ベリリウム炉の設計・開発も….

眠い人 ◆gQikaJHtf2 in mixi,2009年04月10日 23:40

> ソ連/ロシア原潜建造史

 普通,軍事系趣味誌の原子力・核兵器に関する記載の信頼性は酷い物ばかりですが,当該図書は精読しても
「これと言って特筆するような誤りがない」ことがある意味驚異的であり,A.V.ポルトフ氏の並外れた力量を物語っているように考えます.
 そのため,上記記載においても細かな点(分かりやすくする点)以外,私の方からは特にコメントはなく,ご安心くだされば幸いです.

 願わくば,本書の水準を日本国内の軍事系ライター諸氏にも是非見習って欲しいところなのですが.
 少なくとも原子力系従事者の簡単なレビューで容易に,かつ多数指摘できるような間違いは避けて欲しいのですが.

> 原子炉のカバー

 専門用語で言うなら「原子炉容器上蓋」の部分に該当するものと愚考します.
 単純な原子炉を覆うカバー(原子炉格納容器)の場合,よほど下手な設計をしなければ問題を起こすケースはまれ(ちなみに「むつ」の放射線漏れ事故は遮蔽の問題)です

 一方,PWR(加圧水型原子炉)の原子炉容器には,原子炉内で原子炉水が沸騰しないように高い圧力をかけます.
 もちろん,その上蓋部分にも圧力がかかるわけですが,PWRでは制御棒を原子炉の上から出し入れしますので,高い圧力がかかる中での貫通部が存在することになり,非常に高い信頼性が求められるため,技術的にも製作にも困難なものとなります.

 ちなみに商用のPWRの原子力発電所でも,運転開始から年月が経った物についてはメンテナンスの問題や,信頼性の問題が発生するリスクを回避するために,「原子炉容器上蓋」のみを新製交換するケースがあります.
 この分野の三菱重工業の技術力・信頼性は非常に高く,交換用蒸気発生器とともに日本国内だけではなく輸出例も多く存在します.

> 蒸気発生器

 PWRではもっとも技術的に困難と言われている部分であり,日本国内の原子力発電所でも,かつて関西電力美浜原子力発電所にて振動防止用の金具(振れ止め金具)が適切に入っていなかったために,蒸気発生器の伝熱用細管が振動して破断する事故が発生しています.
 これは美浜原子力発電所の建設当時には,それだけの重要性に対する認識が甘かったことも原因の一つであり,この他にも様々な困難を幾多の改良を経て克服し,三菱重工業が現在の高い信頼性を誇る蒸気発生器製作を実現するに至っています.

 ちなみに,このような困難は諸外国でも同様に経験しており,蒸気発生器のトラブルは特に「初期のソ連原潜」に特有の事象ではないこと
(ただし横置き他に起因する,設計のまずさなどの程度問題はあり)
には注意が必要です.

へぼ担当 in mixi,2009年04月11日 01:36

> ソ連独自の例のウラン−黒鉛炉が想定

 当該文献を直接あたったわけではないので確実なことは言えませんが,旧ソ連の原子炉開発の歴史から考えれば,正確にはチェルノブイリに代表される「黒鉛減速軽水冷却圧力管型原子炉」であったものと考えられます.
 ただ,沸騰軽水冷却(チェルノブイリのRBMK炉はこちら)か,加圧軽水冷却を想定していたのかは,私には分かりません.
 ちなみに,「黒鉛減速軽水冷却圧力管型原子炉」が原子力潜水艦に採用されなかったのは,ひとえにその大きさ ――同じ出力のPWRに対して,黒鉛減速炉では原子炉の特性に因る制約(黒鉛は中性子の減速に水以上の体積をが必要なため)から馬鹿でかい物となってしまい,コンパクトさが求められる原子力潜水艦用には不適 ――に因ります.

 一方,地上設置の原子力発電所の場合,大きさに対する制限はさほど厳しい物とはならず,逆に原子炉容器の製作・輸送限界(輸送面は資材を鉄道輸送に頼る旧ソ連特有の条件)に縛られるPWRより,単純に黒鉛と核燃料を内蔵する圧力管を増やせばよいRBMKの方が大出力の物を作りやすいため,旧ソ連ではPWR(VVER)とRBMKの両方の建設が進められた経緯があります.

> 液体金属冷却炉

 ご承知のこととは考えますが,実は米海軍の原子力潜水艦でも適用例があります.
 液体ナトリウムを冷却剤に採用したSSN-575 Seawolfがそれにあたりますが,保守整備が難しいなど米海軍ですら手に余る有様であり,所要のデータを得た後,PWRに換装されたのは広く知られている事例です.
参考文献 『ソ連/ロシア原潜建造史』(A.V.ポルトフ著,海人社,2005.11.15),p.22

 以上,ご参考まで.

へぼ担当 in mixi,2009年04月11日 09:09


 【質問】
 ロシアの潜水艦のスクリュー静音化に東芝の技術が使われたのは知っているのですが,カセット・テープで有名なTDKがステルスの技術に貢献したのは本当ですか?

 【回答】
 東芝の自動工作器械がロシア(当時ソビエト)に輸出された.
 で,それが潜水艦スクリューの加工に使われた疑いを持たれたことがある.
 電波吸収剤としてフェライトを使う上で,TDKの持ってる特許で関係しそうなのは,バインダーの中に均等に分散させる技術.

 しかし,実際にTDKのフェライト技術がステルスに貢献したことはない.
 フェライトがレーダー波反射抑制目的で航空機に使われたのは,50年代末から60年代初めにかけてのこと.
 SR-71なんかは効果が薄いことがわかって,早々に使用を止めている.
 それに,フェライト分散の電波吸収剤で十分なステルス性を得ようとすると重くなり過ぎる.

 それから「ロシアの潜水艦のスクリュー静音化に東芝の3軸自動旋盤が貢献」も事実でないことが,90年代初めのソ連崩壊による情報公開で明らかになっている
 それによれば,旧ソ連の潜水艦のスクリュー音の静穏化は,アメリカの探知能力をソ連が誤認していたことをソ連の情報機関が確認したので改善した,という.
 東芝うんぬんは一切記述されいない.
 旋盤の納入先も明らかになっていて,スクリューとは無関係な部署であることもはっきりしてる.

青文字:加筆改修部分

▼ ココム違反事件ですが,東芝が工作機械本体を輸出したのは1982〜1983年.
 翌1984年,修正ソフトを輸出しているので,ソ連が東芝製工作機械をマトモに使えるようになるのは,早くても1984年末か1985年初頭あたり.

 「静粛性が向上した」と言われるソ連原潜(第3世代)は,それ以前に(スクリューを含め)設計を終え,建造を開始しているので,スケジュール的に間に合わないでしょう(笑)

 ちなみに,671RTM型1番艦K-524は,1977年12月28日に就役しています.

Небесный бытьネベスニィ・ビィチ〜ロシア・ソ連海軍〜(コメント欄)
2008/5/6(火) 午後 11:10


 【質問】
 ロシア原潜から発生した放射性廃棄物は,どのように処理されたのか?

 【回答】
 原潜等の修理工場等では低・中レベル固体廃棄物が発生しているが,通常はこれらは金属製コンテナに詰めた状態で,北極海や極東海域(日本海を含む)へ海洋投棄された.
 ロンドン条約が旧ソ連で発効した1976年以降は,条約との整合を図ろうとする動きも多少あったが,本質的な改善措置はとられず,条約発効後も条約を無視した投棄が続けられた.
 ロシア海軍は,原潜運行の支援機能の一部として,放射性廃液貯蔵・移送用のタンカーを何隻も持っており,放射性廃液は,港湾の施設からの放出のほかに,これらのタンカーから洋上で恒常的に海中に投棄されていた.

 【参考ページ】
http://www.rist.or.jp/atomica/data/dat_detail.php?Title_No=01-08-01-20

【ぐんじさんぎょう】,2010/02/15 23:04
に加筆改修


 【質問】
 ロシアの老朽原潜廃棄の現状は?

 【回答】
 ▼ソ連時代は基本,埠頭に係留するままだったという.
 G8諸国の協力により,一時の危機的状況に比べ,事態は大幅に進展しているが,2004年の段階で,なお,100隻もの処分が今後必要とされているという.
 その後,G8諸国の協力により,一時の危機的状況に比べ,事態は大幅に進展しているが,2004年の段階で,なお,100隻もの処分が今後必要とされたという.▲
 その後,2006年中頃の報道では,最低でも支援国各国の不満が出ていない程度には,解体は順調に進んでいる模様.
 また,2006年末の報道では,約4分の3の解体を終えたという.

***

▼ ソ連時代は基本,埠頭に係留するままだったという.

―――――
 旧ソ連時代には老朽原潜の具体的解体計画はなく,そのまま長年にわたり十分な管理がなされないまま埠頭に繋留しており,〔2004年〕現在でもその状況は大きくは改善されていない.
 陸上での使用済燃料貯蔵能力が極端に不足しているため,ほとんどの退役原潜は燃料を取り出すことができず,炉心に燃料を装荷したままで繋留されている.

 〔略〕
 原子炉事故を起こした幾つかの原潜については,原子炉搭載部分を切り離し,燃料を搭載したままノバヤゼムリヤ島東岸のフィヨルドに投棄した例がある.長期繋留されている老朽原潜の中には,腐食などハルへの浸水で沈没の危険のあるものもあり,これらについては沈没防止のため,圧縮空気のハル内への連続注入や,船底の溶接修理などの応急措置が取られているほか,ハル内へのポリスチロール注入も試みられている.
 また,原子炉系からの放射性廃液漏洩の危険性も高く,原子炉内へのシール剤注入なども行われている.
 ロシアで退役した原潜の総数は2003年5月で約192隻と報告されており,そのうち116隻が北極海域に,また約76隻が極東海域にあり,原子炉の燃料抜き取りが済んでいるのはそのうちの1/3に満たない.
 1990年前後から一部の基地の港湾で解体が始められたが,設備が旧式でほとんど手作業に近く,作業で発生する放射性廃液処理能力も不十分なことに加え,ソ連崩壊後の経済混乱による厳しい資金不足で,実際の解体は遅々として進まない状況が続いた.


―――――「ATOMICA」:ロシアの原子力潜水艦の解体 (05-02-04-03)

 ▼G8諸国の協力により,一時の危機的状況に比べ,事態は大幅に進展しているが,2004年の段階で,なお,100隻もの処分が今後必要とされているという.
 その後,G8諸国の協力により,一時の危機的状況に比べ,事態は大幅に進展しているが,2004年の段階で,なお,100隻もの処分が今後必要とされたという.▲
 以下引用.

 ロシアの国情は,国家体制が大きく変化したとはいえ,冷戦時代に建造された大量の老朽化した原潜を,自力で安全・適切に処理することが,国力の面から難しくなっている.
 この事態が国際的に明らかになったのは,1993年に,財政難に陥ったロシア海軍太平洋艦隊が,大量の放射性廃棄物を日本海に投棄していたことが発覚した時点からで,90年代末には,海洋核汚染に繋がる国際的な大問題の一つとなった.

 結局,この冷戦時代の後始末には,我が国やアメリカ・イギリスなど西側主要国がロシアに協力せざるをえなくなり,2002年のカナナスキス・サミットで,ロシアを含むG8諸国が10年間で200億ドル余りの拠出を行うことで,前進の運びとなった.
 おかげで退役原潜の解体処理は大幅に進み,極東地域だけでも解体待ち原潜の数は,70隻余りから約40隻に減った.
 しかし,ロシア海軍全体で見ると,今後の6年間で後100隻は処分しなければならない.
 どこまで続く泥濘ぞ.

(宇垣大成 from 「世界の艦船」2004年10月号,p.103)

 その後,2006年中頃の報道では,最低でも支援国各国の不満が出ていない程度には,解体は順調に進んでいる模様.
 以下引用.

【ロシアは,国際的プログラム下で137隻の原子力潜水艦を解体した】
モスクワ,2006年7月12日(RIAノーボスチ)

「ロシアは,国際的なプログラムの元に197隻の除籍された原子力潜水艦のうち,137隻を解体した」
とロシア連邦原子力省は発表した.
 ロシアは,アメリカ,ブリテン,カナダ,日本,イタリア,ノルウェーと除籍原潜の処分に関する協力協定を結んだ.
 この計画は,総計で20億ドル以上が必要と見積もられ,2005年までにロシアには8億5,000万ドルが割り当てられた.

「処分プログラムは順調に進んでいる」と連邦原子力省のアンドレイ・マリシェフは語った. 「2006年の第二四半期までに,我々は総計137隻の除籍原潜を解体し,更に,22隻の解体工事が進行中である.これらに加えて38隻の解体を計画している」
 彼は,ロシアは原潜処分プログラムの履行中,外国のパートナーに対する不満は持っていなかったとも語った.
 マリシェフは,北洋方面ムルマンスク地域の解体された原潜の原子炉用の長期貯蔵施設が7月18日から稼動するだろう,と語った.
 貯蔵施設は,「グローバル・パートナーシップ・プログラム」の元,ドイツから割り当てられた資金によって建造された.
 この施設の建造は,カナダにおいて先進8カ国(G8)首脳会議で署名された後,2003年にスタートした.
 ドイツは,ロシア北方の核貯蔵施設建設の為に,計3億ユーロ(3億8,200万ドル以上)を拠出した.

Grobal Security, 2006/7/12
翻訳:シア・クァンファ

 また,2006年末の報道では,約4分の3の解体を終えたという.
 以下引用.

【ロシアは,除籍原子力潜水艦197隻のうち148隻を解体し終えた】

 ロシア連邦原子力省幹部は,12月27日水曜日に
「我が国は,除籍された旧ソ連時代の原子力潜水艦197隻のうちの148隻を解体し終えた」
と発表した.

 ヴィクトル・アフーノフは「197隻の原子力潜水艦の内,148隻は解体された」と語った.

 ロシアは,アメリカ,英国,カナダ,日本,イタリア及びノルウェーと,除籍された原子力潜水艦の処分についての協定を結んだ.

 アフーノフは,ロシアは,毎年18隻の原子力潜水艦を解体していると言い,原子力潜水艦の解体には,約700万ドルの費用が掛かる,と付け加えた.

 解体の過程において,使用済み核燃料は,潜水艦の原子炉から取り除かれ,貯蔵施設に送られる.
 船体は3つの区画に切断され,完全に破壊される.
 原子炉区画は密閉され,貯蔵施設に送られる.

 ロシア原子力省長官セルゲイ・キリエンコは,11月に
「我々は,2010年までに除籍原子力潜水艦を全て解体できるだろう」
と発言している.

解体中の原潜

モスクワ,12月27日(RIAノーボスチ)
仮訳:Морские Силы〜ロシア・ソ連海軍〜

faq39m00s.gif
(http://www.rist.or.jp/atomica/data/pict/05/05020403/02.gifより引用)

 【関連リンク】
「ロシア・ソ連海軍」:ロシア北洋方面の除籍原潜の解体は,2010年に完了する


 【質問】
 ロシアはエネルギー景気に乗って潜水艦を新造したりしていますが,そんなお金があるのなら,日本が金を出している廃棄原潜の解体費用等に当てようとは思わないんでしょうか?

▼ 【回答】
 潜水艦新造をやらないとロシアの核戦略がテラヤバスなので,止めるに止められない.

 でも廃棄原潜のほうは放置してても,ロシアは(現地住民を除けば)短期・中期的には困らない.
「長期的影響? なんとかなるさ」

 そんなわけで,ロシアに任せておくといつまでたっても解体が始まらないので,しょうがないので日本や欧米がケツ拭くことにしましたとさ.

軍事板
青文字:加筆改修部分

 日本では,旧ソ連除籍原潜は,全て外国(日本を含む)の金で解体されていると思っている人が多いようです.
 さて,事実はと言うと・・・・

 ノーボスチ・ロシア通信社(RIAノーボスチ)日本語版より

――――――
【核潜水艦保管地域でも生活は安全】

 ロスアトムは,過去の6年間で,外国のパートナーによる資金で26隻の核潜水艦が完全に廃棄処理され,さらに14隻が待機中であると報告している.
 しかし,いずれにせよ,大部分の費用は,その費用で70隻を廃棄するロシアが負担することになる.
――――――

 というわけで,実際には,ロシアも金を出しています.
 上記の数字を見ても,外国の負担より,ロシアの負担の方が多い事が分かるでしょう.

 むしろ,日本の軍オタ(2ちゃんねらー)の(ロシアに関する)無知ぶりの方が「テラヤバス」でしょう.

 ちなみに,「外国のパートナー」の内,日本が金を出しているのは,5隻です.

ロシア退役原潜解体協力事業「希望の星」

 だいたい,外国が旧ソ連除籍原潜解体に金を出すようになったのは,1990年末くらいからだけど,それ以前の,1990年代前半から,ロシアは除籍原潜解体に着手しているんですけどね.

 ロシアが最初に手を付けたのは,ヤンキー型戦略原潜でした.
 1995年までに,極東方面だけで,4隻が解体されています.

 「解体が始まらなかった」わけでは無く,解体のペースが遅かったのです.

Небесный бытьネベスニィ・ビィチ〜ロシア・ソ連海軍〜,
2008/12/19(金) 午前 7:15


 【質問】
 解体原潜の原子炉区画はどこに保管されているのか?

 【回答】
 〔ウラジオストクから南東数十キロの〕ラズボイニク湾ですが,〔略〕,解体された旧ソ連退役原潜の原子炉区画の一時保管場所としても使われております.

 写真では,29隻分の密閉原子炉区画(原潜の船体中央部分)が確認できます.

 その近くには,原子炉区画の陸上保管施設が建設中です.
http://www21.tok2.com/home/tokorozawa/faq/faq39m07q02.jpg
http://www21.tok2.com/home/tokorozawa/faq/faq39m07q02b.jpg

Морские Силы〜ロシア・ソ連海軍〜
2007/4/14(土) 午前 9:03

 また例えば,解体された重原子力海中巡洋艦ТК-202(「アクラ」計画艦・建造番号712)の原子炉区画は,一時貯蔵施設へ曳航するために準備されているという.

[quote]

 取締役A.A.オルロフによれば,「第6区画部」は,6月末にムルマンスク地域へ移送される計画である.
 排水量8000トン以上の構造物の輸送は容易な仕事ではない.しかしそれは,企業の専門家の努力により7月には解決されるだろう.

 解体作業は最終段階に入った.
 原子炉区画は,夏期の中頃,ムルマンスク地域で新しい場所を得るだろう.

[/quote]
アナスタシア・ニキーチンスカヤ
(FSUE・PO"セヴマシュ"報道サービス)
2007-06-06 14:54:37

 TK-202は,「タイフーン」型のコード名で知られるプロジェクト941「アクラ」型戦略原潜の2番艦で1983年就役.
 2005年にセヴマシュで解体されました.

faq39m941t.jpg

Морские Силы〜ロシア・ソ連海軍〜
2007/6/7(木) 午後 11:37


 【質問】
 EWN社について教えられたし.

 【回答】
 2009年現在,ドイツ国内で原子炉廃止措置を担当する最大の企業であり,社員は約1000名.
 ドイツ連邦政府が出資している.
 統一ドイツは,旧ソ連型原子炉をEU水準に合わないという理由で,すべて停止することを1990年に決定,それによって旧東ドイツのグライフスヴァルト発電所を解体するために設立された.
 同社は,解体事業で開発した技術(ノウハウ,工具・装置など)を基に,ロシア原潜の解体の受注をうけ,今後160隻の解体を行う他,EU各国の廃炉ビジネスに進出し,さらに中国とも技術提携を進めている.

 【参考ページ】
「原子力委員会メールマガジン」第44号(2009.12.11)


 【質問】
 オストロヴノイ市とは?

 【回答】
 ムルマンスク州にある旧秘密都市であり,人口5132人.
 私書箱番号,ムルマンスク140.
 退役した第1世代原潜の,最大の系留地であり,原潜解体企業「SevRAO (放射性廃棄物取扱北方企業)」の活動拠点.

 【参考ページ】
片桐俊浩『ロシアの旧秘密都市』(東洋書店,2010.6.20),p.14

【ぐんじさんぎょう】,2012/02/03 20:40
を加筆改修


 【質問】
 ズヴェズドーチカ造船所の原潜解体ビジネスとは?

 【回答】
 ズヴェズドーチカ造船所は,自国の原潜の解体で得たノウハウを活かし,世界の廃棄原潜の解体を請け負うビジネスを始める模様.
 以下引用.

――――――
ロシアは,英国の原子力潜水艦解体を支援できる
サンクト・ペテルブルク,6月16日(RIAノーボスチ)

 バレンツ海のセヴェロドヴィンスクに在るロシアのズヴェズドーチカ造船所は,イギリスの除籍された原子力潜水艦を解体するかもしれない.
 同社の関係者は,月曜日,こう語った.

 現在,イギリスには,少なくとも11隻の除籍された艦に搭載されたまま残されている原子炉区画を再処理する設備が無く,潜水艦は浮上したまま無期限に保管することを強いられている.

 廃棄された原子炉区画の再処理を専門とするロシアの会社は,AMEC(Arctic Military Environmental Cooperation,北極圏における軍事に関連する環境上の協力)プログラムの下で,イギリスの問題の解決を支援できる.
 1996年,北極圏地域で軍事に関連する環境問題に取り組む事を共同研究するAMECの宣言が,ロシア,ノルウェーおよびアメリカによって署名され,プログラムは制定された.
 イギリスは,2003年にプログラムへ参加した.
「私達は,潜水艦から原子炉及び2ヶ所の隣接した区画を切断し,それらを密閉して封印し,ロシアの外の永久保管施設へ移動させる事が出来ます」
と情報筋は語った.

 情報筋は,現在,ズヴェズドーチカ造船所は,1年当たり約2隻の割合で,ロシアの潜水艦だけを解体していると言った.
 しかし2012〜2015年には,同社は,外国の注文を取るのに十分な受け入れ能力が有る.

 ロシアは最近,同国を訪れたイギリス海軍将校と,この問題についての予備会談を行った.

 さらに「ズヴェズドーチカ」スポークスマンによれば,フランスは,同国の除籍された潜水艦の解体について,同社と協力する事に興味を示した.
(2008年6月16日17時04分)
――――――

 本文中のイギリスの「少なくとも11隻」の除籍原子力潜水艦というのは,
おそらく,以下の艦を指していると思われます.

S22「レゾリューション」
S23「レパルス」
S24「レナウン」
S27「リヴェンジ」
S101「ドレッドノート」
S102「ヴァリアント」
S103「ウォースパイト」
S47「チャーチル」
S48「コンカラー」
S49「カレイジャス」
S126「スウィフトシュア」

 S101「ドレッドノート」は,1963年4月に就役し,1982年に除籍されたイギリス初の原子力潜水艦です.

 イギリスには,これらの除籍原潜を解体する施設が無く,デヴォンポート港(プリマス市)やロシス港などに係留されたまま置かれています.

 これに,ロシアの除籍原潜を解体しているズヴェズドーチカ造船所が,新たなビジネスチャンスとして目を付けたようです.

 言い換えれば,「次の仕事を物色」できるほどに,旧ソ連除籍原潜の解体作業は進んでいる,という事です.

 あと,文末で,フランスの除籍原潜についても少し触れられていますが,フランスには,除籍されたル・ルドゥタブル級原潜5隻が保管されています.

Небесный бытьネベスニィ・ビィチ〜ロシア・ソ連海軍〜
2008/6/17(火) 午後 7:12

青文字:加筆改修部分


 【質問】
 スネジノゴルスク市とは?

 【回答】
 ムルマンスク州にある旧秘密都市であり,原潜修理・廃棄場.
 人口 12,737人.
 旧名=私書箱名,ムルマンスク60.
 船舶修理工場「ネルパ」の所在地であり,原潜解体も行われている.

 【参考ページ】
片桐俊浩『ロシアの旧秘密都市』(東洋書店,2010.6.20),p.14

【ぐんじさんぎょう】,2012/02/05 20:50
を加筆改修


 【質問】
 ロシアの原子炉解体技術は,どの程度の水準にあるのか?

 【回答】
 詳しくはシア氏などの先達の教えを請うしかありませんが,以下のようなニュースもヒントになります.

----
原潜解体支援の鉄道完成
NHK 国際 2009/08/21


 ロシア極東で,日本などが進めてきた原子力潜水艦の解体を支援する事業では,輸送手段がなかったため,使用済み核燃料がたまる一方でしたが,核燃料を運び出す鉄道が20日,ようやく完成し,最終的な処理に向かうことになりました.

 完成した鉄道は,ロシア海軍の原子力潜水艦の解体作業が進められている,ウラジオストク近郊の造船所からシベリア鉄道につながる27キロの区間で,20日,支援にあたってきた日本やカナダなど各国の代表が出席して開通式が行われました.
 ロシア極東では,ソビエト崩壊後の資金難で,退役した原子力潜水艦が放置されたままとなり,核物質の拡散や日本海への環境汚染のおそれが高まったことから,90年代から日本など先進国が巨額の費用を負担して解体を支援する事業に取り組んできました.
 ところが,取り出された使用済み核燃料はたまる一方で,容量も限界に達していたことから,鉄道を建設する必要性が出ていました.
 今回の鉄道の完成で,ウラル地方の再処理施設に輸送することが可能になります.
 鉄道の建設費を負担したカナダのリシシン・ロシア大使は,
「冷戦時代の負の遺産を抱えるロシアを支援することが,われわれが優先すべきことの1つだ」
と述べ,その意義を強調しました.
 ロシア極東に放置されていた80隻近くの原子力潜水艦は,日本やオーストラリアなどの支援で来年までにすべて解体が終わる見通しです.
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放射性廃棄物の輸送鉄道,再建工事が完了 ロシア極東
朝日 国際 2009/08/21


 【モスクワ=副島英樹】ロシア極東で主要8カ国(G8)などが進めるロシアの原子力潜水艦の解体事業の一環として,解体工場から放射性廃棄物を輸送する鉄道の再建工事が完了し,ウラジオストク近郊で20日,開通式典が開かれた.
 鉄道の老朽化で廃棄物を搬出できず,保管問題が深刻化していたが,鉄道再建により迅速な輸送が可能になると期待されている.

 インタファクス通信によると,式典は原潜解体工場「ズベズダ」のあるボリショイカーメニで開かれ,カナダや日本の関係者も参加した.
 再建された鉄道はスモリャニノボまでの約9キロで,シベリア鉄道の支線にあたる.
 カナダが2億9千万ルーブル(約8億6千万円)を拠出した.
 今後はウラル地方チェリャビンスク州の処理施設「マヤック」までの輸送が可能になる.
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とのこと.

 朝日新聞の報道では「放射性廃棄物」とざっくりした書き方になっておらず,「ウラル地方チェリャビンスク州の処理施設「マヤック」までの輸送」との記載で,ロシアの原子力事情に通じる者であれば,ようやく「使用済核燃料を再処理にて処分する」ことが推測できます.
 一方,NHKの報道ではずばり「使用済み核燃料」の「ウラル地方の再処理施設」への輸送と目的が明記されており,朝日新聞とNHKの取材・分析力の差を感じるところです.

 なお,この報道は一見流し読みをしそうなものですが,軍事機密がちがちの軍用舶用炉の使用済核燃料の処理・処分のあり方について,かなり示唆に富むものと言えます.
 というのは以下の点が明らかになったことが指摘できるためです.

1.軍用舶用炉でも,米国名でRCOH,もしくは廃棄時に当然ながら使用済核燃料は発生する.

2.使用済核燃料を直接地中に埋設処分する方法もあるが,少なくとも使用済核燃料をいつまでもその状態で保管することは出来ないため,埋設処分なり再処理なり何らかの形での処理・処分が必要である.

3.一方,軍用舶用炉の場合,その特性上から一般の商業用軽水炉の使用済核燃料より,残留しているU-235の比率が高いのは必至と推測される.

4.軍用舶用炉では,もちろんその行動能力(就役期間)を秘匿する必要性などから,初期のウラン濃縮度は軍事機密とされるのが一般的であり,ほとんど外部には情報が現れないし,秘匿するのは常識的ではある.
 それでも,昨今インドで建造されている原子力潜水艦アリハントでは,40%濃縮ウラン使用との情報がある.

<ただし信頼できる情報か判断は避ける.
 しかし,少なくとも現在の新規民生用原子炉のほぼ上限である20%(過去のものは除き,新規のものでこれを超えるウラン濃縮度を必要とするケースは極端に少ない)と比較しても,ある一定以上のものであることは確か.>

 一方,舶用炉としては長期にわたる運転目的以外にも,原子炉の小型化のためにも,少なくとも商業用軽水炉におけるウラン濃縮度(現在のところ商業用軽水炉における上限はほぼ世界共通で5%)と同等,もしくは高いもの,と推測するのが妥当である.

5.そのため,合理的に可能な限りU-235を燃やし尽くすのは,技術的な常識の範疇であるが,燃え残りとも言える使用済核燃料に残留するU-235は,上記4.他の理由により,3.との推測に落ち着く.

6.この場合,臨界安全上の問題や発熱,放射線量他の問題より,一般論として商業用軽水炉の使用済核燃料より,軍用舶用炉の使用済核燃料の再処理他処分は難しくなる.
 そのため,軍用舶用炉の使用済核燃料の処分においては,再処理による燃え残りのU-235や生成されたPuなどの回収価値もさることながら,そのまま埋設処分(直接処分)するのが得策か,困難は承知の上で再処理他を行うか,その技術的・設備的能力を分析できる極めて重要な判断材料と言える.
 そのため,他の軍用舶用炉所有国(事実上,原子力潜水艦保有国と同義)の動向と併せ,注視すべきものと言える.

7.以上より,今回ロシアの場合で明らかとなった「再処理による処分の選択」とのニュースは,極めて示唆に富むものであり,ロシアの持つ再処理・回収ウラン再濃縮能力他のポテンシャル(技術的・設備的能力)の高さを実証しているものと言える.

 今後とも動向にも注目すべきところであり,目が離せないものと愚考します.
 以上,ご参考まで.

へぼ担当 in mixi,2009年08月21日23:34


 【質問】
 この話は本当ですか?
「2ちゃんねる実況中継」:原子力潜水艦で停電が起こった原因

 【回答】
 私が昔聞いた話では,岸壁に係留されてる原潜(確か退役してる奴)は冬は放っておくと冷却水(詳細は不明)が凍っちゃうから,それを防ぐために外部から温水を送り込んでたんだけど電力会社が止めたとかそう言う話だった気がするんですよね.
 あと,戦略ミサイル軍の基地でも似たような話あったりして,そう言うのがごっちゃになっておかしな都市伝説化してるように思います.

D.B.,2010年02月06日 19:24

 原潜の元記事ありました.
 毎日新聞です.

――――――
あわや炉心溶融 料金滞納で送電止められ−−ロシア原潜基地
1995.09.22 東京夕刊 1頁 1面 (全389字) 

 【モスクワ22日大木俊治】タス通信によると,ロシア北部ムルマンスクの原子力潜水艦基地で21日,料金滞納を理由に電力供給が突然カットされた.
 このため原潜の原子炉冷却装置が作動しなくなり,一時は炉心溶融による大事故が懸念される騒ぎとなった.

 同通信が目撃者の情報として伝えたところでは,同基地には解体を待つ老朽化した原潜数隻が原子炉の運転を続けたまま停泊しているが,突然の停電と同時に1隻の潜水艦の原子炉冷却装置が作動しなくなり,炉心が過熱し始めた.
 停電は地元の電力公社が電気料金の滞納を理由に送電を止めたのが原因.
 同基地は炉心溶融の恐れがあると警告,まもなく送電は再開され,事故は未然に防がれた.

 同基地の滞納額は不明だが,ロシア軍全体では財政の窮乏から200億ルーブル(約4億円)以上の電気料金が未払いとなっているとされ,各地で自治体の電力供給公社が送電カットの実力行使に出ている.
――――――

ぴぴ,2010年02月06日 20:46

 タスを転電した共同が,第一報だったようです.

――――――
ロシア原潜の原子炉が異常過熱 料金滞納の送電停止が原因
1995.09.22 夕刊 海外 (全442字) 

 【モスクワ21日共同】ロシア北部コラ半島のムルマンスクにある北方艦隊基地で二十一日,電気料金の滞納を理由に基地への送電が停止されたたことが原因で,係留されている原子力潜水艦の原子炉が異常過熱する事故が起き,大惨事となる可能性もあったことが分かった.

 タス通信によると,地元電力会社のコラ電力が基地への送電を停止したため,原潜の原子炉の冷却装置が作動しなくなり,異常過熱が起きた.
 基地関係者の説得で,コラ電力が間もなく送電を再開,大惨事は免れたという.

 同通信は
「基地が電気代を払わなければ,コラ電力はいつでも送電を止める権利があり,基地に係留されている数十隻の原潜で大事故が起きる危険が常にある」
と警告している.

 ロシアでは最近,各地で公共料金の滞納を理由に会社側が電気,ガスの供給を一方的に止めるケースが相次いでいる.

 国防省も,電気料金二百億ルーブル(約四億五千万円)を滞納しており,戦略核兵器が配備されている北部アルハンゲリスク州プレセツクのロケット発射基地が送電を停止された.
――――――

ぴぴ,2010年02月07日 10:09

 産経が詳しいかな?

――――――
ロシア北方艦隊の原潜 料金滞納で電力ストップされ… 原子炉あわや溶融
1995.09.22 東京夕刊 1頁 総合1面 (全566字) 

 【モスクワ21日=内藤泰朗】ロシア北部のコラ半島にある原子力潜水艦基地で二十一日,地元の電力会社が料金未払いを理由に基地への電力供給を停止したところ,危うく潜水艦の原子炉が融解する大惨事に発展するところだった−.イタル・タス通信が同日伝えた.

 電力がカットされたのは,モスクワの北約一千五百キロにあるムルマンスク近くのロシア北方艦隊の潜水艦基地.基地には退役し解体を待つ原潜が複数停泊していた.
 これらの潜水艦は退役はしたものの,原子炉はなお稼働中で,潜水艦は外部からの電力供給がストップしたため,艦内発電に切り替えようとしたが失敗.
 原子炉を冷却するシステムの電源が切れた状態になった.
 結局,軍側が電力会社側に潜水艦が「危険な状態になりつつある」ことを説明し,電力供給を再開するよう説得したという.

 北方艦隊は,ロシア軍の他の部隊同様に,数十億ルーブル(数千万から数億円)の電力料金の未払いがあった.
 北部のプレセツクにある戦略ミサイル試験場でも先週,電力供給停止措置がとられたばかりだった.

 エリツィン大統領の環境問題顧問のヤブロコフ氏は,ロシアの退役原子力潜水艦の多くが爆発する危険がある「浮いたチェルノブイリ」と言及.
 約五十隻の退役原潜が核燃料廃棄物の保管施設の不足で,核燃料を搭載したままの危険な状態にある,と警告していた.
――――――

ぴぴ,2010年02月07日 10:12

 NHKもやってた.
 「銃で脅し」って,おま(笑)

――――――
料金滞納のロシア海軍基地 銃で電力会社脅し電気供給再開
1995.09.23 NHKニュース (全427字) 

 ロシア北西部のムルマンスクで二十二日,海軍基地が電気料金を滞納して電気を止められたため原子力潜水艦の原子炉が制御できなくなり,軍の兵士が電力会社を銃で威嚇して,電気の供給を再開させる事態となりました.
 この海軍基地は,フィンランドやノルウェーと国境を接するコラ半島のムルマンスクのロシア北方艦隊基地で,四億四千万円余りの電気料金を滞納したため二十一日,地元の電力会社から送電を止められました.
 このため,基地に係留していた十数隻の原子力潜水艦で原子炉の冷却装置を制御できなくなり,過熱するおそれが出たことから,北方艦隊司令部の兵士が二十二日,送電所に急行し,銃を突きつけて無理やり送電を再開させました.

 今回の事態について北方艦隊のスポークスマンは
「電気代はそのうち払えるようになる.
 ほとんどの国営機関は借金を抱えている」
と電力会社の措置を非難しました.

 ロシアでは今月初めにも,西部のミサイル基地で電気料金の滞納を理由に数日間電気を止められています.
――――――

ぴぴ,2010年02月07日 10:14

 これでおしまい.
 産経の最後の記事.

――――――
露北方艦隊 原潜基地電力回復へ武力 部隊派遣し供給強要
1995.09.23 東京朝刊 4頁 国際2面 (全860字) 

 【モスクワ22日=内藤泰朗】ロシア北部の原子力潜水艦基地で,地元の電力会社が料金滞納を理由に基地への電力供給を停止した問題で,ロシア北方艦隊は二十二日,事件が発生したコラ半島の原潜基地に実戦部隊を派遣し,電力会社から基地を防衛する命令を出した.
 〔略〕
 北方艦隊の報道部が発表した声明によると,同艦隊司令部は現地司令官に対し,
「必要であれば武力を行使して,電力,ならびに暖房供給が再度,停止されないように」
と命令した.

 イタル・タス通信によると,兵士らは二十一日,電力の供給が停止された直後に派遣されたが,その後,電力会社の技師らに電力供給を再開するよう“武力”による強要をとり続けている.

 事件は二十一日,モスクワの北約千五百キロにあるムルマンスク近くの基地への電力供給が停止されたのが発端.
 基地に停泊中の退役原潜四隻への送電が止まり,うち一隻が自家発電に切り替えることができなかったため,原子炉の冷却システムの電源が切れた状態になり,原子炉が溶融する大惨事に発展するところだった.

 ロシア軍全体の資金不足は深刻な状況で,北方艦隊も二百億ルーブル(約四億四千万円)の電力料金の未払いがあった.

 先週,同じく電力供給停止措置がとられたばかりの北部プレセツクにある戦略ミサイル試験場でも,今後,電力供給がストップされないよう兵士による警備が二十二日導入されたばかり.
 これに反発した電力会社側が今度は地元住民への電力供給を停止,
「原因は軍にある」
と,あくまで対抗する強硬姿勢をみせている.

 さらに,カリーニングラードのバルト艦隊ではレーダー基地や通信施設,モスクワ郊外の防空ミサイル部隊でも電力停止措置がとられた〔略〕

 事件が発生した基地に隣接するノルウェーの放射線防護研究所のストランデン副所長は二十二日,イタル・タス通信に対し,
「信じられないような事件」
とロシアの核管理に懸念を表明.
 今後,ロシア側が事件に関する情報を完全に公開するよう求めた.
――――――

 以上,仮にこれが「転載」であっても著作権に抵触しないと考えられる,事実関係を記述した部分のみを引用した.

ぴぴ,2010年02月07日 10:15

 大体にして
「解体を待つ老朽化した原潜数隻が原子炉の運転を続けたまま停泊している」
とはいったい何の冗談かと.
 原子炉の運転を続けていれば,外部からの動力源なしでも自前で冷却できなければどうしようもないし,そもそも外部から動力源を依存する状態であれば,原子炉の運転は不要.

 当局が言う危険とは,
「原子炉を停止した後も発生する崩壊熱が除去できない場合」
であるが,そのような場合にどのような対処を行うのか,常識論で分からないのだろうか?
 考えればすぐ分かるように,航行途中の原潜でも同様のことが当てはまるが,どこからも外部電源を引かずしても,その危険はない(ないように設計されている)のは何故か?
 全く分かっていないとしか言いようがない.

 以上,とりあえずさわりの部分,必要最低限を指摘しておきましたが,果てさて.

 おまけで言うなら,日本国内でもその点を全く考えずに,パフォーマンスありきで馬鹿な命令を出して,早々に例外規定を設けた無能な某消防・役所もありますが.

へぼ担当,2010年02月06日 21:34

 多分,「ロシア海軍基地で料金不払いにより電力が止められて,原潜の維持管理に何らかのトラブルをきたした(あるいはその可能性があった)」と言うのが,何か適当に伝言ゲームで大げさになって,しかもその真偽を確認する能力がなかったか,する気がなかったと言う所なんでしょうか…

D.B.,2010年02月06日 22:56

 ああ,このロシア原潜の話は以前聞いたことがありますよ.
 退役して保管中のアルファ級だったと思います.
 液体金属冷却なので,温度が下がりすぎると凝固してしまい,循環が止まってしまうので,原子炉の廃熱以上に外部から熱を供給してやらないと冷却を続けられないという厄介なものだったそうで,そのための電気を止められて,原子炉に障害をきたしかねない状態だったとか何とか.
 バックアップ用のディーゼル発電機の燃料も少ししかなかったと聞いてます.

 明確なソースがなくてすみません.

Tamon,2010年02月07日 01:01

 705/705K型(アルファ型)の鉛ビスマス合金冷却炉のお話しですね.
 詳細は「アンドレイ V.ポルトフ氏著のソ連/ロシア原潜建造史」p.37,38,150を参照願います.
 仰るとおり,温度コントロールが難しく,アルファ級が配属された基地では,停泊時に「過熱蒸気」の供給が必要だったのですが,それが電気ボイラーで供給されていたかどうか他,シア氏の見解待ちですね.
 ちなみに必要とする熱量はヤワな物ではなく,日本の現在起動準備中の「もんじゅ」(液体ナトリウム冷却)でも,保温用電気ヒーターの電気代が馬鹿にならないところ.それと比較するのもアレなお話ですが,一般的に停泊している船舶に大電力を供給するのは,腐食懸念など様々な意味でそうそう簡単ではないところ.
 まあ,「メルトダウンの危機」とすれば,いくら電力料金を滞納したとしていても,恫喝としては最大級ですので有効なのでしょうが(汗).

へぼ担当,2010年02月07日 03:05

 あとはシア氏からのツッコミ待ち.

以上,「軍事板常見問題 mixi別館」より
青文字:加筆改修部分

▼>ロシア軍がドックで原潜の解体をしていたところ,突然の停電.

 「原潜の解体」は造船会社が行いますが何か?
 極東だと,沿海州ボリショイ・カーメニ市の極東工場「ズヴェズダー」だな.

同社公式サイト
http://fes-zvezda.ru/

 ついでに書くと,退役原潜の管理,解体などは,ロスアトム(旧ロシア原子力庁)の管轄であり,海軍は関係有りません.

>軍が電気料金を滞納し続けるために怒った電力会社

 仮に「軍が電気料金を滞納」しても,送電を止められるのは軍施設.
 極東工場「ズヴェズダー」自身が電気料金を滞納し続けない限り,同社(ドック)への送電が止められる事は有りません.

>後1時間遅かったらウラジオストックがふっとんでた.

 ソ連邦時代,ボリショイ・カーメニの近く(チャジマ湾)で,原潜が派手に原子炉事故を起こした事例が2件有りましたが,ウラジオストクには影響は有りませんでした.

 この発言者の無知ぶりにこそ呆れます.

 その極東工場「ズヴェズダー」は,ソ連邦時代に原子炉事故を起こし,解体作業どころか核燃料の撤去にすら着手できなかったエコーII型原潜K-116を,2006年初頭から「電気化学放射能除去作業」を3年半掛けて行ない,原子炉区画の放射能状態を大幅に改善した後,2009年10月末までに核燃料を撤去している事からも,電力不足に陥っているという事実は有りません.

――――――
核燃料取り出しは成功裡に実行された

<要約>
 この艦は,2004年10月にパブロフスク湾からズヴェズダー工場へ回航された.
 2006年初頭,ロシア科学アカデミー極東支部の科学協会の勧告に従い,原子炉区画の電気科学放射能除去作業が開始された.
 放射能除去作業の結果,原子炉区画の放射能状態は大幅に改善され,自然界の水準になった.
 これにより,原子炉からの核燃料撤去作業が可能となった.
 作業は,2009年9月9日から10月22日にかけて実施された.
(2009年11月10日配信)
――――――

 ・・・2010年2月初頭にもなって,こんなデタラメを平気で書く2ちゃんねらーの情弱ぶりの方が「恐ろしい」よ.

 更に,コメント欄のレベルの低さも,ここまで来ると「犯罪的」ですらある.

 例えば・・・

>(123965) Posted by ( ゚д゚ )
>いや,いや,,,,そんなことよりウラジオストック,カムチャッカ近海には
>40隻程度の未解体原潜がある方が問題だよ.

>恐ロシアの本当の恐ろしい所は,これほどの原潜を放置している事.
>これらのほとんどは,使用済み核燃料や原子炉を搭載したまま放置されている.

 いつの話をしている?
 「40隻程度の未解体原潜」が有ったのは,10年以上前の事だぞ.

 "Google Earth"で,未解体の除籍原潜係留所(上からルイバチー,パヴロフスク湾,ソヴィエツカヤ・ガヴァニ)を見ても,昨年の時点で10隻程度しか確認できないが.
 〔略〕

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「ロシア・ソ連海軍報道・情報管理部機動六課」
2010/2/17(水) 午前 0:02


 【質問】
 「非大気依存発電装置」とは?

 【回答】
 「非大気依存発電装置」とは,いわゆる非大気依存推進(Air-Independent Propulsion,AIP)の事です.
 以下の記事にて触れられています.

------------
【ロシアは潜水艦用の新しいエンジンの試験台におけるテストを完了した】
モスクワ,12月2日-ロシア通信社ノーボスチ,セルゲイ・サフロノフ

 ロシアは,非核動力潜水艦用の,根本的に新しいエンジン-非大気依存発電装置-の雛型の,試験台におけるテストを完了し,試作モデルを製作する準備をしている.
 「セヴマシュ」および海洋工学中央設計局「ルビーン」総取締役アンドレイ・ジャチコフは,ロシア通信社ノーボスチのインタビューで語った.

 以前,ロシア連邦海軍総司令部の高位の代理人は,ロシアが将来的には,根本的に新しい発電装置を有する潜水艦を建造すると,ロシア通信社ノーボスチに伝えた.
 現在,ロシアの非核動力潜水艦は,すべてディーゼルエンジンで動作している.
「ルビーンの大きな仕事は,電気化学発電による非大気依存発電装置の製作です.
 私たちは,雛型の試験台におけるテストを,ほぼ完璧に終了し,今年12月にインド代表団へ提示する予定です」
 ジャチコフは語った.
 彼によると,海洋工学中央設計局「ルビーン」の専門技術者は,潜水艦において直接水素を生成する,技術的な可能性を確認した.
「この方式は,ドイツのように潜水艦において水素を貯蔵するのではなく,艦内で生成する事が出来ます」
 「ルビーン」設計主任は述べた.

 更に彼によれば,有利な点として,ロシアの非大気依存発電装置は,標準的なディーゼル燃料の使用を可能にし,複雑な陸上の支援を必要としない.
「しかし,それは動く部品を持ちません.つまり,音響の分野で,我々は大きな利点を有しております」
ジャチコフは語った.

 彼はまた,そのような大規模なプロジェクトの為の非大気依存発電装置の製作には,連邦政府の将来開発プログラムが必要であると述べた.
「従いましてルビーンは,試作モデルは作りますが,それは非常に高価ですので,他の企業と共同で作業を実施する必要があります」
ジャチコフは言った.
(モスクワ時間2011年12月2日09時50分配信)
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 ロシアの「根本的に新しい非大気依存発電装置」ですが,艦内で水素を生成すると書かれている所から,新型の燃料電池のようです.

 記事中でドイツの事に触れられていますが,ドイツの潜水艦用燃料電池は,水素吸蔵合金(水素貯蔵合金)により水素を貯蔵する方式となっています.

 しかしロシアは,予め水素を貯蔵するのではなく,潜水艦内で生成する方式を開発したようです.

 試作モデルの製作というのは,要するに,実際に潜水艦に搭載して試験を行なうものを作るという事でしょう.
 「根本的に新しい非大気依存発電装置」試作モデルは,ラーダ級潜水艦「サンクトペテルブルク」あたりにでも搭載するのでしょうか・・・?

ロシア・ソ連海軍報道・情報管理部機動六課
2011/12/4(日) 午後 11:15

青文字:加筆改修部分


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