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◆◆組織改革
<◆軍事組織
ロシアFAQ目次

2ポケ版のСколカラー新型戦闘服


 【link】

「PANZER」 2011年 6月号

 ちと遅いが読了.
 特集の,ロシア軍の軍改革記事が面白かった.

 部隊数をガッツリ減らして,定数充足を目指す(スケルトン師団の解体),師団を旅団に改編する,指揮系統を統合して効率化を図る,兵器・システムを近代化するetc・・・
 流れとしては,『即応化』のキーワードでくくれると思う.

 てか,改革前がひでぇ.
 ソ連崩壊のぐだぐだがあるにせよ,1次チェチェン時の自動車化歩兵師団の小隊長の大半が,大学生の促成栽培だったとか,戦車兵の50%が実弾を撃ったことがないとか,指揮系統が16コに分かれてるとか.
 そのざまを見てれば,グルジアも喧嘩を売るわな.

 あと,グルジア国境に集結するロシア軍って写真の戦車がT-55,歩兵の装備がAKMで,切ない気分になった.

――――――軍事板,2011/08/07(日)

「Strategy Page」◆(2013/04/15) LEADERSHIP: The Snow Job
 ロシア軍の汚職問題

「Strategy Page」◆(2013/08/04) FORCES: Russia Stumbles Over the Secret SAP
 軍近代化へのSAP提言は,実効性無し

「Strategy Page」◆(2013/08/16) LEADERSHIP: Russia Struggles With Its Army Of Amateurs

「Togetter」◆(2013/03/11) ロシア前国防相のセルジュコフ氏周辺をめぐる詐欺事件

「VOR」◆(2012/02/20) 軍の将来と国家安全保障

「VOR」◆(2012/11/06)ロシア防衛相が更迭
「VOR」◆(2012/11/06)ロシア国防相に元非常事態相
「VOR」◆(2012/11/06)露首相,「セルジュコフ前国防相は効果的な人物」

「VOR」◆(2012/11/17)ロシア内務省 国防相の汚職捜査で150万ドル以上の横領を発見

「くろいあめ、あかいほし」M2★(2011/10/26)拙著『ロシア軍は生まれ変われるか』発売

「くろいあめ,あかいほしM2」★(2013/04/01) 『赤星通信』第35号 抜き打ち検閲第2弾その他


 【質問】
 ロシア軍の改革は進んでいるのか?

 【回答】
 進んでいない.
 小手先の修繕が行われたに過ぎない.

 以下引用.

 近代的で豊かなロシア国家には,近代的な軍を持つためにも,徹底した改革が必要とされる.
 職業軍人で構成され,装備は充実し,低強度紛争や国内の暴動から平和維持活動まで,様々な任務がこなせる軍でなければならない.
 ところがこれまで行われてきたのは,改革ではなく小手先の修繕に過ぎない.
 陸軍は今もなお徴兵制に固執し,国民総動員のドクトリンに立つ.
 徴兵者の大部分は入隊を拒み,実際に入隊した若者は酷い虐待を受けたり,建設現場(なかには将校の別荘も)で働かされたり,同様の軍とは無関係の任務に就かされたりする.
 ロシアの人口動態を見ると,徴兵対象者が今後10年で急減する可能性がある.
 職業軍人を増員する努力は,今のところあまり成果を生んでいない.
 一方,装備の多くは時代遅れで使いものにならない.
 最近,連邦軍物資調達庁局の局長は,2000-04年に配備された戦車はたった15台,2005年には17台に過ぎないと発言した.
 最大の問題は「予算がしばしば無駄に使われるか,横領されている」ことだ.

 大統領もなんとか軍の改革を推し進める努力は重ねているようで,2006年の教書演説でも,この問題に相当部分を割いている.
 プーチンは,「大規模な軍事物資の調達」がすでに再開されたと言い,職業軍人の増員,施設の改善,給与の増額,装備の充実,徴兵制度への依存の軽減などに向け,一連の措置を講じると発表した.
 続くセルゲイ・イワーノフ国防相の発表でも,3年以内に職業軍人が70%を占める体制を実現するため,一層の改革が約束された.
 以前の計画は失敗に終わったが,この最新の計画は果たして成功するかどうかは,時間が証明するだろう.
 その必要性については疑う余地はないのだが.

ロデリック・ライン他著『プーチンのロシア』(日本経済新聞社,2006/11/17),p.80-81

 アンナ・ポリトコフスカヤ著『プーチニズム』(日本放送出版協会,2005/6/25)には,兵士に対する虐待,軍の腐敗などの問題が,具体的に実例を挙げて述べられている.

 ・ヴォルゴグラードの兵士が,軍用車輛を盗み出したという濡れ衣を着せられて拷問を受け,集団脱走した例.(p.43-49)

 ・歯舞諸島秋勇留(あきゆり)島(ロシア側名称:アヌーチン島)駐屯の兵士が,体に腫れ物ができて重病になってからも,厨房を担当させられ,死亡した例.
 病理学者が彼の死体を解剖しようとしたところ,体にメスが触れた途端,死体がはじけてしまったという.(p.50-51)

 ・将校が報酬を受け取って,部下の兵士を工事現場でタダ働きさせたところ,事故で生き埋めになり,死亡した例(p.51-52)

 ・古参兵が「盗んででもウォッカを調達して来い」と,通りすがりの兵士に命令.これを拒んだ兵士を虐待,自殺に追い込んだ例(p.52-53)

 ・将校が兵士からカツ上げしようとし,拒否した兵士を「上官への反抗・不服従」のかどで営倉に入れ,最期には銃撃を浴びせかけたらしき例(p.54-55)

 ポリトコフスカヤは,ロシア軍の現状を以下のように評する.

[quote]
 ロシア軍は常に国家の根幹をなす柱だった.
 だがそこは,今も昔もまさに有刺鉄線に囲まれた強制収容所そのものだ.
 ここでは,若者たちは裁判もなく投獄され,将校たちが気まぐれに決めた刑務所並みの規則がまかり通る.
 ロシア軍の教育の基本的な方法は,「肥溜めにぶちこんで徹底的にやる」ことだ.
 ちなみにこの言葉を初めて公の場で使ったのはプーチンだ.

[quote]
 ――同書,p.56

 ただし,末端兵士が酷い待遇を受けているからといって,それをして安易にロシア軍を弱兵と判断してはならない.
 ドミリク・リーベンも述べているように,帝政ロシア時代も兵士の待遇は大して変わらないものだったが,にもかかわらず,ロシア兵は粘り強く戦ったことを忘れてはならない.

 また,連邦軍物資調達庁局長発言は,誇張があるようにも考えられる.
 2006年度のロシア軍の取得装備については,別項を参照されたし(もちろんこれが書類上だけの数字である可能性も否定しないが)

セルゲイ・イワーノフ


 【質問】
 ロシア軍でもアウトソーシングが進んでいるの?

 【回答】
 CCCP1917氏 Twitterより.

<blockquoteゴレンブルグがロシアの補給体制改革について書いてます.兵站と装備が統一されたことは前にも紹介しましたが,給食等のアウトソーシングが進んでいるという指摘が面白い.http://bit.ly/araAEK&gt;

Russia's new model army
 BBCによる,第76親衛空挺師団の取材.
 05:40辺りに食堂の様子が映し出されていますが,オバちゃん達が厨房で働いております.

 また,画像に貼り付けましたが,「軍事演習 東2010」の太平洋艦隊所属の海軍歩兵の食堂模様でも,民間人が働いております.

 こうした給食等のアウトソーシングは,着実に進んでおります.



CRS@空挺軍 in mixi,2010年07月28日00:18

 ロシアの食堂(スタローバヤ)には,こういうおばちゃんがスタンバっていて,こっちの頼んだものをよそってくれるんですが,この前は暑かったので
「スープはいらない」
と言ったら,
「どうしてスープもとらないの!」
と怒られました.

CCCP1917 in mixi,2010年07月28日 00:46

 なお,『軍事研究』誌,2010年12月号に,より詳細な記事が載る予定だとか.


 【質問】
 ロシアの軍管区制廃止案について教えてください.

 【回答】
待遇改善に努力していているようです 軍改革の次なる一手 管区制廃止も検討
ですが,ここにも注目すべき.

――――――
 軍管区制の行方は別として,国防省は大胆な改革を幾つも繰り出している.
 例えば,現役兵に対する週休2日制の導入などは,実現が難しいだろうが,人道的な観点からいえば議論の余地などない.
 軍隊特有の閉鎖性,陰湿さを取り除くべきなのは明白だ.
――――――

軍管区・艦隊を統廃合?
 あの爺さんの発案でしたのね.

CRS@空挺軍 in mixi,2010年05月03日10:14


 【質問】
 クワシニン参謀総長ら「チェチェン組」将校解任について教えられたし.

 【回答】
 04年7月にプーチン大統領(当時)は,クワシニン参謀総長を含む,“チェチェン組”と渾名されるロシア軍将校達数人の一斉解任に踏み切りました.
 表の理由は「イングーシ事件」の不手際の責任をとらせるというのでしたが,本心はシビリアンコントロールに反対し,軍改革に反対する高級将校を粛清する目的でした.

 ただしプーチンはクワシニン参謀総長を簡単に首にするわけにはいきません.
 というのも同大統領は第二次チェチェン紛争に遂行に関して,クワシニン参謀総長を始めとするロシア軍高級将校達に“借りがあったのですが,今回の事件によってようやく“目の上のたんこぶ”を取り除くことができたのです.

 しかしプーチンは部下を解任させた際には,一度に完全失格させないという方式を採用しました.
 参謀総長を解任されたクワシニンには,シベリア連邦管区の大統領全権代表のポストを与えました.
 これによりクワシニンの面子を救い,また彼がプーチン政権指導部に対して怨恨感情を抱かないように配慮したわけです.

 同様のことがクワシニンの後任であるバルエフスキー元参謀総長にも適用されたわけです.
 彼も解任されたわけですが,安全保障会議副書記のポストを与えて面子を救いました.

 CCCP1917氏が指摘したように,安全保障会議というのが閉職というわけではないという話が広まりつつあるということですね.
 江畑氏が指摘しているように,安全保障会議は,軍・FSB・内務省などの武力組織の調整機関としての役目を果たし,バルエフスキー元参謀総長はロシア軍の代表としての軍の改革,他の武力機関の調整役に当たらせるという話も一理あるかもしれませんね.

 【参考文献】
『「新冷戦」の序曲か メドベージェフ・プーチン双頭政権の軍事戦略』(木村汎&名越健郎&布施裕之著,北星堂書店,2008.12)

CRS@空挺軍 in mixi,2009年01月01日18:08

▼ 【関連リンク】
CRS@空挺軍 in mixi◆(2010年09月26日)露大統領,シベリア全権代表を解任
http://sankei.jp.msn.com/world/europe/100909/erp1009092335008-n1.htm
 クワシニン君 君の時代は終わったのだよ byメドベージェフ▲


 【質問】
 ロシアの軍備再編の現況は?

 【回答】
 国防費にして対GDP比で約5%と高い割合で増強が進められているという.
 以下引用.

 ロシアは,BRICsの他の3カ国への兵器輸出を強化する一方で,国内の軍備増強にも力を入れている.
 01年に2190億ルーブル(約8541億円)だった国防費は,04年には5310億ルーブル(約2兆円)と倍増.対GDP比では約5%と高い割合を示している.

 ソ連崩壊後軍備の再編は遅れる傾向にあった.
 しかし,01年に発表された軍改革に関する大統領令では,兵員の削減を進める一方で,軍の近代化方針を打ち出しており,チェチェン問題などの影響が色濃く残り,また原油価格の高騰で外貨収入が増大するなかで,国防費は今後も増大を続けそうだ.

(黒川信雄 from Fuji Sankei Business i.,2005/9/10)

 強いロシア復活は国民的願望である様子.

 しかし一方,
「ノーボスチ通信」:輸出に回る軍の近代化設備
09:00/01/12/2007

によれば,好調な兵器輸出とは対照的に,ロシア軍に対しては新型装備が大して回ってきていないという.
 以下引用.
 なお,引用文は原文ママ.

[quote]

 現在,ロシアは戦車と自走車から成るタンクが陸上戦の攻撃力の主力を成している.
 最も楽観的な見方をしても,ロシアの軍隊は,1992年から製造が始まり,経済的理由で4年後に中止され2004年になってやっと復活した近代的タンクT-90は200台も持っていない.
 数多くの情報によれば,本当に先端技術,つまり,夜間照準として第2世代の赤外線造影装置が装備され,改良型動的保護と強力ディーゼル(1000馬力以上)のタンクを所有するのはわずか1大隊(31タンク)であり,それもその大隊の中で「代表的存在の」タマンスク自動走砲部隊だけが所有している.

 〔略〕

 偏見を持たない公平な統計を見ると,現在,インドの軍事力の編成にはT-90型のタンクが組入れられているとのデータがある.
 そのうち186台がロシアから納入され,140台はインドのライセンスで組立てられた.
 さらに,2001年に締結された協定では,インドはこの種のタンクをさらに1000台製造することになっている.
 すべてロシアからの輸出ライセンスで製造するのだ.

 さらに,ロシアは,2006年3月には多くのマスコミがT-90SA(ロシア語表記T-90CA)型タンク180台をアルジェリアに輸出すると発表した.
 今年には,リヴィア(契約台数は不明)やモロッコとも契約を結び,インドからロシアライセンスのタンク330台が追加注文される.
 イランやシリアにも輸出するとの情報も伝わってくる.

 〔略〕
 ステルス(カムフラージュ)能力を低下させるシステム(つまりカムフラージュを見破るシステム)とアメリカのMDシステムの防空能力を打ち砕く近代的なシステムが搭載された地上軍「イスカンダル(Iscandar)」に装備された機動的戦術が可能な高精度ミサイル装置についても,輸出する状況は同じである.

 ところがロシア軍を見回すと,現時点でこれらのミサイルを編成しているのは12の発射装置を持つ北カフカスに1部隊あるだけである.
 しかし,シリーズ生産は現在では困難に直面しており,近代化する時期は何回も変更されている.

 実際,産業エネルギー省の軍産合同部長ユーリー・コプチェフの昨年1月の発表によると,ロシアの国防企業の主要基金の80%以上が完全に償却,つまり,使い切られ老朽化しているので,このロシアの部隊を改善させるという困難を克服することが出来ない状態だ.
 今は,ウーゴ・チャベスが我々の「カラシニコフ」を買ってくれるという彼の寛容精神はこの困難を補うのに丁度良い時だ.
 しかし,どう見ても,輸出で得る金は,それらがきちんと払われても,国防業者の貯金箱には入らず,他の部門やプロジェクトに流れてしまう.

[/quote]

 この点は,同じ軍産複合体でも,まだ中国のほうが軍近代化に寄与しているだけマシ.

消印所沢

▼ 【追記】
Moscow Military District dumps all obsolete weaponry - commander
BMP-3歩兵戦闘車,T-90Aはモスクワ軍管区への配備はほぼ完了した

БМП-3 поступят в бригаду морской пехоты Тихоокеанского флота
 BMP-3&T-90が配備されるのは太平洋艦隊海軍歩兵 第155独立海軍歩兵旅団

 同旅団はウラジオストクに駐屯しております.
 同旅団には偵察車輌も配備が予定されており,この改編にて70%の装備が更新されます.
 全装備の更新完了は,今年末の予定とのこと.

CRS@空挺軍 in mixi,2010年05月08日00:35


 【質問】
 セルゲイ・イワノフ国防相による国防法改正の意味は?

 【回答】
 ここ最近影が薄い気がしなくでもないセルゲイ・イワノフですが(失礼?),国防相時代でもあんま成果を出していないようにも思われて,ある一定の成果を出してはいるようです.

 ロシア連邦軍初の文民国防相という面もありますが,国防法改正によって参謀本部の権限を縮小させました.

 06年6月29日付に国防法 第13条2項 が改正されました.
 この「第13条2項」というのが重大な意味を持つものでした.

>第13条2項(改正前)
> ロシア連邦の軍事力の管理は,国防省経由で国防相および,
>軍事力の主要運営管理機関であるロシア連邦軍参謀総長が行う

でしたが,これをこのように改正しました.

>第13条2項(改正後)
> ロシア連邦の軍事力の管理は,ロシア連邦国防省を通じて国防大臣が行う.

 改正前では,国防の責任がイワノフ国防相とクワシニン参謀総長に分離しており,権限緒所在が不明確でしたが,改正後は明確に国防相の優位が示されております.
 これによってクワシニン参謀総長はプーチン大統領に解任され,イワノフ国防相の権限が強化され,同時にシビリアン・コントロールも強化されたわけです.
 これはイワノフ国防相が成し遂げた,一定の成果だと言われている所以です.

 ですから,ここ最近のセルジェコフ国防相が推進している軍改革のアクレッシブさも,この法改正の影響が大きいのは,間違いないと考えます.

参考文献;
『ネオKGB帝国―ロシアの闇に迫る』(塩原俊彦著,東洋書店,2008.10)

 【余談】
 軍事専門家によるアネクドート
「ロジオノフ元国防相は国防省理事会でのスピーチに際して,最初から最後まで用意された草稿を読むだけだった.
 イワノフ前国防相になると,原稿から脱線したが,公式会合での喫煙は認められていないのに,会場は機関車の煙に包まれたような状況になった.
 セルジェコフ国防相の場合,注意深く報告書を勉強し,それに関するノートに言及せずに話すが,しばしばテーマから脱線し,さまざま問題を課し,レポートを課す」

CRS@空挺軍 in mixi,2008年12月01日17:29


 【質問】
 ロシア軍における志願制移行は,どのように進んでいるのですか?

 【回答】
 2001年11月21日にプーチン大統領(当時)が,徴兵から部分的な志願兵への変更に着手することを決定しました.
 この決定に従い,国防省がプスコフに駐屯する第76親衛空挺師団を選びまして,2002年から契約制(志願制)のモデル部隊になりました.

Российско-Казахстанские учения ≪Взаимодействие-2008≫
カザフスタンとロシアの空挺部隊による合同軍事演習

 現空挺軍最高司令官であるワレリー・エフトゥホヴィッチ中将も,視察に訪れたようです.

 プスコフ(第76親衛空挺師団)空挺部隊は,ロシア空挺軍の中でも特に優秀な部隊として,2年連続に渡って評価されました.
Десантники из Пскова второй год подряд стали лучшими в России

第76親衛空挺師団公式サイト

 プスコフはエストニア共和国&ラトビア共和国の国境に近い都市です.

CRS@空挺軍 in mixi,2008年11月29日17:51

▼ 続報.
 プスコフに駐屯している第76親衛空挺師団は,志願制(契約兵)への移行を試すモデル部隊として認定されましたが,この志願制移行実験に反対する将校達の抵抗によって難航しているようです

 同師団が必要とする人数の4570人のうち,約30%(1100人)の契約兵しか集まらず,しかもその6割が元失業者だったそうです.
 当初,住宅支給が約束されていましたが,結局住宅は支給されず,兵舎住まいを強いられました.
 他にも国民の平均賃金に低い給料というのも難点だったようです.

 このように第76親衛空挺師団の「実験の大失敗」を目の当たりにして,
「わすか一部隊ですら契約制へと移行しえないのか」
と批判が巻き起こりました.
 だがこれは,志願制反対派の狙いであることは明白で,彼らは同師団に上記のような貧弱な待遇を故意にあたえることで,「志願制」のテストケースを失敗に終わらせることで,「志願制」を潰そうと目論んだとのこと.

 上記の話は2003年~2004年頃の話であるので,現在(2008年)はどうなのかわかりません.
 しかし今のところ第76親衛空挺師団が,志願制をやめるという話は聞いていないので,同師団はこれからも志願制(契約兵)への移行を試すモデル部隊としての役目を全うするでしょう

 それと現空挺軍最高司令官が
「空挺軍は志願制への移行を考えている」
と論文に発表しているので,空挺軍に関しては志願制に移行するという考えはあるようです.

 【参考文献】
『「新冷戦」の序曲か メドベージェフ・プーチン双頭政権の軍事戦略』(木村汎&名越健郎&布施裕之著,北星堂書店,2008.12)

CRS@空挺軍 in mixi,2008年12月30日11:16

▼ また,『軍事研究』 2009年一月号 連載:『ロシア軍の再興と実力(2)』 ロシア軍・国防省改革の現状 (江畑謙介) によれば,職業軍人(志願兵)の数は当面では10万人が目標であったが,2006年では5万5000人しか集まらず,チェチェンに展開しているロシア軍合計4万7000人の内,職業兵士(士官,下士官以下の兵)の月給は最高クラスで600米ドル程度でしかなかったという.
 同氏によれば,2003年時点での国防省の計画では,戦闘即応部隊に配備される職業軍人の数は,当時の14万7738人から27万7500人に増加することが目標とされた.
 海軍と空軍では2005年の時点で,職業軍人の比率が50%を超えている.
 これに伴う経費は2003~2007年の5年間で800億ルーブル(約28億5000万ドル)と試算され,その大半は給料の引き上げと前線部隊施設の改善に投じられる事になり,さらに軍服も一新し,軍人用住宅の建設計画にも着手された*1

 志願兵給与の引き上げ率は,2004年が40%,2005年20%であるが,それでも民間と比べるとかなり低く,このためロシア国防省は貧しいCIS諸国から,3年間の兵役でロシアの市民権を与える条件を掲示して,志願兵の募集を行っている.
 しかし家族には市民権が与えられない,ロシア国民なら得られるはずの各種手当てが貰えないといった,恩典の非付与のため,実効性は上がっていないと言われる.

 ロシア連邦軍以外にも志願制への移行が進んでおり,連邦保安局(FSB)の信号情報収集部隊8個,国境警備隊10個,内務省の治安部隊,連邦建設部隊の4個が志願兵編成となった.

 2005年1月,イワノフ国防相はチェチェンに配備されている第42自動車化狙撃師団は,全て志願兵で構成され,今後チェチェンやタジキスタンには徴兵は配備されていないと発表した.

※1 軍人用住宅についての問題に触れておくと,平成13年10月の(財)平和・安全保障研究所「プーチン政権下のロシアの軍事力の今後の方向」によれば,将校・准尉の間で深刻な住宅問題が広がっており,慢性的な住宅不足に陥っているという.
 また,住宅を保有している軍人でも問題を抱えており,数々の問題が山済みな家々で暮らさざるをえない状況であるという.
 しかも転勤もあるので,家族は次の転勤地でも安心して暮らせることができるのか?という心配をしながら暮らさなければならないとのこと.

 将校・准尉の間でこのザマだから,下士官・兵士はというと言わなくても理解できましょう.

 『ネオKGB帝国―ロシアの闇に迫る』の著者,塩原俊彦氏によれば,2008年2月に軍人の住宅を担当する最高責任者であるヴラゾフ大将が自殺.
 これは,軍人用住宅建設がうまくいっていないことを,セルジェコフ国防相に問い詰められた結果との見方があるとのこと.

CRS@空挺軍 in mixi, 2009年01月28日07:33

▼ その後の話ですが,第76親衛空挺師団の志願制(契約制)のテスト部隊で当初の実験は,“不成功”と言わざるをえない有様でした.

 この志願制(契約制)の移行に伴い,地元プスコフでも勧誘を行いましたが,地元の若者は殆ど応募しなかったようです.
 そのため軍の採用担当者は,他の部隊の兵士を説得してプスコフに回し,徴募兵なのに契約兵に仕立て上げて,ノルマ達成への努力する有様だったようです.
 また,こうして募集という名の徴募兵達は,質が悪く,士気もないという評判が出回りました.
(以前指摘したように,契約兵に反対するグループの仕業というのもありますが,成功というには程遠いありさまでした)

 現在ロシア連邦軍においては,志願制(契約制)への移行を進めておりますが,徴募兵で問題になっている「いじめ」や待遇の低さは改善されておらず,不満続出.
 徴募兵から契約兵になれ!と上官に脅されたという話もあり,このような背景もあってか,徴募兵から契約兵になる書類にサインしない兵士は増えているとのこと.

参考文献
現代ロシアの深層 (単行本) 小田 健 (著)  P158

注) 上記の話は02年~04年の話であり,08年に勃発した南オセチア紛争で,同師団は真っ先に派遣され,ツィンバリ攻防戦にも参戦しております.
 少なくとも精鋭部隊の一つとして認識されています.
 批判を受けて,それなりの改善策を打ったのでしょう.
 なお国内軍や国境軍に関しては,資料無しのため判断不能.

CRS@空挺軍 in mixi,2010年05月23日20:31


 【質問】
 ロシアでポピュラーな徴兵逃れの方法は? また,その動機は?

 【回答】
 裏金などを払って,兵役免除のある大学へ入学するという方法がある.
 チェチェン紛争やいじめ問題が,その動機になっているという.

 以下引用.

―――――――
 ロシアでは春と秋の年2回,満17歳の若者を対象に徴兵検査が行われ,健康が確認されれば,2年間の兵役に就く事になっている.
 しかし,チェチェン紛争や部隊内のいじめ問題などで徴兵拒否者が相次いでいる.
 軍事教練がある大学の学生は徴兵が免除されるため,高額の入学金や教員への心づけを払って入学する学生も多い.

―――――――小林和男著「ロシアのしくみ」(中経出版,2001/7/9),p.42

 いじめ問題だが,アメリカのように,酒場で大暴れして発散,というわけにはいかないのだろうか.


 【質問】
 エリツィン時代の軍部改革は,どんなものだったのですか?

 【回答】
 ソ連時代に絶大な権威を誇った軍部と軍需産業は,ソ連崩壊直後,未曽有の危機にあった.

 ソ連時代にあった軍管区16区の中で,ロシア領内に残った軍管区8は,ソ連時代には二線級の区であり,その施設の拡充が必要とされた.
 それに加え,東欧諸国に駐屯していた部隊がロシア国内に撤収したため,兵士たちは文字通り住む場所もない状態に置かれた.

 また,経済改革による国家財政悪化を受け,軍は予算執行の遅滞に悩まされ,軍需産業も国家からの注文が激減して苦境に立たされた.
 たとえば1993年初めには,太平洋艦隊のウラジオストク基地港外の訓練地ルースキー島で,新兵数十人(実際は200人程度だった模様)が栄養失調で入院し,4人が死亡する事件が報じられた.
 また例えば,電力料金不払いで送電を停止されたコラ半島原潜基地では,北方艦隊司令部が海兵隊を電力会社に派遣,武力で電力供給を再開させる事件も起きた.

 しかし,1992~1995年までは,軍の改革は遅々として進まなかった.
 エリツィンは国際関係改善を理由に軍の縮小を図ろうとしたが,軍の中堅以上には,依然としてアメリカの脅威を説くものが多く,水面下で両者の対立が続いていたためである.

 大統領選挙が目前に迫った1996年,若者の間で不人気だった徴兵制について,エリツィン大統領は,兵員の補充の一部に契約雇用制を導入する案を示した.
 しかし,このために要する多額な費用の財源は不明なままだった.

 エリツィンはまた,軍の抵抗を押して改革を進めるため,軍部の外に国防会議を設置した.
 軍の管理システム改善や軍の規模縮小を提言する国防会議は,国防相及び参謀本部と対立したが,エリツィンに反対した軍上層部は更迭された.
 結果,兵員の約6割に及ぶ削減が実行され,これまで聖域だった空挺軍の削減にも手が付けられた.
 また,軍種の再編が行われ,空軍と防空軍とが統合.
  軍管区も再編され,シベリア軍管区とザバイカル軍管区が統合され,新しいシベリア軍管区が誕生,7個軍管区制となった.
 なお,99年には沿ボルガ及びウラル両軍管区が統合されて沿ボルガ・ウラル軍管区となる予定のところ,エリツィン政権下では延び延びになっていた.

 同時にエリツィンは,給与未払い問題を解決することを約束し,軍の不満をかわそうとしたが,予算捻出は困難だった.
 それどころか,1998年夏に金融危機が発生したことで,軍改革は宙に浮いたまま,問題は次のプーチン大統領へと持ち越されることになったとさ.

 【参考ページ】
横手慎二『現代ロシア政治入門』(慶応義塾大学出版会,2005),p.119-121
http://www11.atpages.jp/te04811jp/page1-1-6-1.htm
http://www2.jiia.or.jp/pdf/russia_centre/h16_putin/06_kan.pdf
https://www2.jiia.or.jp/pdf/russia_centre/h13_inui.pdf

契約雇用制による徴募の図
(画像掲示板より引用)

mixi, 2016.10.22


 【質問】
 プーチン大統領による軍部改革は,どのようなものか?
Milyen van a haderőreform Putyin elnök?

 【回答】
 プーチンは,1998年8月にエリツィン大統領が承認した軍事ドクトリン「2005年までの時期の軍建設政策の基礎」を踏襲する軍事ドクトリンを,2000年春に承認.
 重複した業務を簡素化し,広い意味での軍事支出を倹約するため,国防省の管轄以外の準軍事組織――内務省軍,国境警備軍,鉄道部隊,連邦保安庁軍など――の活動を,軍が主体となって調整すると規定し,軍事組織の一元化に向けて動き出した.
 また,新軍事ドクトリンでは,兵器輸出促進も盛られていた.
 2001年には軍の組織改革も進展し,先に一体化した核ミサイル軍を,再び戦略ミサイル軍と宇宙軍に分離して兵科に格下げした.
 ヴォルガとウラルの軍管区は統合.
 これにより,指揮官を含む人員削減が可能となった.
 契約雇用制による人員の補充が,プスコフの空挺師団において実験的に導入された.
 しかし志願兵制への完全移行は多大の人件費(2.6 倍)を要することから,当分は徴兵制(兵役期間の短縮を検討)との混合を継続する模様.
 また,兵員不足を少しでも補うよう,CIS 諸国の若者がロシア軍に勤務できる規定に国籍法を改正した.

 軍政面では,これまでのように軍の問題は全て軍人に任せるのではなく,軍の行政については国防相に一任し,軍の作戦指導のみ参謀本部に任せるという分業が始まった.
 2007年には,ビジネス畑の人間であったセルジュコフを国防相に任命し,その経営能力を生かして,軍組織を作戦遂行能力のある組織に変えようとした.
 ただし,グルジア戦争では,ロシア軍は対外政策の道具として機能できる状態にあることを示したものの,種々の問題も露呈したという.

 軍改革の最大の目標である,ハイテク装備のコンパクトな近代軍への転換だが,財政難から研究・開発が停滞し,細々とした兵器調達しかできていない.
 2000年の国防費の使途の割合は28%が軍発展(研究)費用,72%が金銭給与と軍維持費であり,これを将来5:5 にして,装備の充実を図ろうとしているが,軍首脳の言では,陸海軍を完全に近代化できる時期は2020~25 年と遠い将来である.
 兵站支援も後方支援態勢を確立しようとしており,コンピューターに代表される高速処理のシステム化を可能にし,軍種,兵科にまたがる後方支援を可能とした.
 これに加え,効率化による経費削減を求め,武力省庁(準軍隊)をも含む統一後方支援を目指している.

 【参考ページ】
横手慎二『現代ロシア政治入門』(慶応義塾大学出版会,2005),p.121-124
http://www2.jiia.or.jp/pdf/russia_centre/h16_putin/06_kan.pdf
http://www.fsight.jp/4932
http://www001.upp.so-net.ne.jp/dewaruss/russian_army.htm
http://www.nids.go.jp/publication/east-asian/pdf/east-asian_j2004_06.pdf
http://www.nids.go.jp/publication/briefing/pdf/2013/briefing_172.pdf
https://jp.sputniknews.com/russia/201602271686397/

改革にまい進するプーチンの図
ptn111209.jpg
ptn150308.jpg
(画像掲示板より引用)

mixi, 2016.10.24


 【質問】

――――――
ロ軍,将校20万人削減へ 大規模改革に幹部ら猛反発2009/01/06 17:17 【共同通信】

 ロシアが将校20万人以上の削減を中心とする大規模な軍改革を進めようとしている.
 ソ連時代以来の旧式な組織構造を改め,コンパクトで機動的な軍に変ぼうさせるのが狙いだ.
 〔略〕
 改革案の中核は組織のスリム化.セルジュコフ国防相によると,現在113万人の総人員を2012年までに100万人に,特に35万5000人いる将校を15万人に削減.国防省の官僚計約2万2000人も8500人に減らす.
 指揮系統も現在の「軍管区,軍,師団,連隊」の4段階を「軍管区,軍,旅団」の 3段階に改め,旅団の作戦上の決定権を拡大する.
 軍改革の必要性は以前から叫ばれてきたが,ソ連崩壊後の財政難などから実行されないままだった.
 〔略〕
 節減した人件費を装備近代化に回すのが改革の基本構想だが,軍関係者からも
「人減らしありきで,改革の青写真が不明確」
などの批判が相次いでいる.

(モスクワ共同)
――――――

 本当にこんなに減らすの?

 【回答】
 今の所,100万人以下にする縮小するという話は聞いていません.
 この点に関して言えば,ロシア指導者達の大まかな合意があるとみられています.
 一応80万人体制でも十分じゃね?という声はあるようですが.

 他にも形骸化しつつある徴兵制や,進んでるとは言いがたい契約兵制(志願制),江畑氏も指摘しているように,金があっても使われ方に問題があれば意味ない住宅問題などなど・・・問題山積みなロシア連邦軍でしたとさ.

CRS@空挺軍 in 「軍事板常見問題 mixi支隊」

 ロシア軍における軍改革において,成功したと言ってもいい分野が,軍の規模縮小だろう.

 かつてのソ連軍は最盛期には約530万人の兵員数を誇っていたが,ロシア連邦に移り変わってからは,約288万人へと縮小した.
 そして08年現在の兵員数,約102万7千人で国防省に勤務する文民スタッフは87万6千人と推定されている.

 このように軍の規模縮小は,控えめではあるが改革は成功したと言ってもいいだろう.
 しかし量的な削減は,質的な改善を意味するものではなく,現在のロシア連邦軍はソビエト連邦軍が若干小振りになったものに過ぎないという批判も数多くあるようだ.
 またロシア軍はどうやら,100万人への削減が限度であり,もうそれ以上は削減されないのでは?という話もある.

 03年10月2日 イワノフ国防相が「ロシア連邦軍整備の緊急課題」を発表したさいに,プーチン大統領はロシア国防省に赴き,将校宛てのみずからの挨拶でこう述べた.
「1992年からはじめたロシア軍の削減は(今日)半分の規模にまで達した.
 (これで)十分である!
 われわれはバランスがとれ,防衛の要請に十分適合した定員構成をすでにもっていると思う.
 軍事力のさらなる大幅縮小をおこなうことを,われわれは計画していない.
 今日,削減プロセスは完全に終了した」

 この発言はロシア軍の規模縮小に関して,政治トップによる重要発言として注目すべきことであり,プーチン政権がロシア軍の削減をもうこれ以上行わないと解釈されるからである.

 実は,ロシア軍のさらなる削減計画の具体的な数字やスケジュールに関しては,ロシア指導者達が,政治状況次第で勝手気ままな数字を挙げている.
 それでもロシア軍が100万人体制とするのは,ほぼ間違いないようだ.
 2008年10月に,アナトリー・セルジェコフ国防相が過程をスピードアップさせて,2011年までには「100万人体制」へと持ってゆきたいと発言した.
 具体的な達成時期に関して言えば,若干の幅があるが,ロシア軍を100万人以下にするようなことはしない.
 この点に関して言えば,ロシア指導者間に大まかな合意があるようだ.

 しかし100万人という人員を支え続けるのは,ロシアにとって大きな財政的負担であるのは間違いないことである.

 ロシアの安保問題のリベラルな専門家達は,ロシアが必ずしも「100万人体制」にこだわる必要はないと考えている.
 アレクセイ・アルバートフ(前下院議員,現在ロシア科学アカデミー付属の世界経済国際関係研究所,安全保障センター長)は,ロシア軍はまず80万人へと減らすことからはじめ,結局は55万~60万人体制にまで削減すべしと主張する.
 ただしその場合,55万~60万人の兵士は科学技術の知識を備え,高度な訓練を受けた精鋭の契約兵(志願兵)である.

 【参考文献】
『「新冷戦」の序曲か メドベージェフ・プーチン双頭政権の軍事戦略』(木村汎&名越健郎&布施裕之著,北星堂書店,2008.12)

CRS@空挺軍 in mixi,2009年01月21日08:34

▼ ちなみに以下は,兵力削減に冠するプーチンの考え方.

――――――
「ヴェスチ」:プーチン首相,国民との対話で住宅,経済,年金,軍隊問題等に答える~ロシア中から市民から生の声(その5)~軍事再編成計画,軍人用住宅問題

 〔略〕

 次は会場から陸軍中尉さんが質問しました.
「第一に軍事再編成で20万以上の将校を削減するという話ですが,自分を含めて将来の年金や生活が不安です.
 どうお考えなのでしょうか?
 第ニにこの軍再編成で国防にいったい悪影響がでないのでしょうか?」

プーチン氏:
「計画されている再編成でロシアの防備は確実に向上し,国家にとって良い効果をもたらすことになります.
 この編成はロシア軍隊を改善することになるのです.

 軍事将校の大量解雇のご質問ですが,そのような大規模な解雇はありません.
 2009年に解任となる将校は,既に必要な任期を終了した方です.
 この将校達が職務を離れることになる第1カテゴリーの将校達です.
 第2は戦争中に軍に従事した方で,再び契約軍人として2年間雇用された方々です.
 軍経験者の再雇用は将来,取りやめる計画です.
 しかし,既に契約のある再雇用者は希望であれば,その任期終了まで従事することができますし,民間企業に職を見つけることもできます.
 個人の選択ということになります.
 またもちろん何らかの状況で,予期せぬ事態に直面し,将校の需要が出た場合には,直ちに将校を増員します.

 軍人向けの住宅に関してですが,2010年には全ての将校達は生涯住宅を保証されるはずです.
 2012年には全ての軍人が勤務期間中の住居を保証されることになります.
 また,そこを生涯住宅にしたいならば必要な勤務期間を終了すれば,生涯住宅として獲得することができます.」
――――――

CRS@空挺軍 in mixi,2009年01月24日07:49


 【質問】
 ソ連崩壊後の兵力削減を巡り,軍内部でどんな軋轢があったのか?

 【回答】
 戦略ミサイル兵器を戦略ロケット軍で一元管理することで戦略兵器の強化を図るか,空軍と海軍とに分散配備して通常兵器の強化を図るかの対立があったという.
 結局,プーチン大統領は国防相の首をすげ替えることで,後者を選択している.

 以下引用.

 エリツィン大統領は1997年7月,大規模な軍改革に関する大統領令を出しました.
 2000年までの第1段階では,防空軍を空軍に編入して4軍体制(地上軍,空軍,海軍,戦略抑止戦力)に移行し,兵力を50万削減して120万体制にする.
 2005年までの第2段階で,戦略抑止戦力を海軍と空軍に統合して3軍体制に移行するとしています.

 大規模な改革の背景には,軍の窮状があります.
 一部の部隊では,兵士に給料が支払われず,食料も十分に配給されないといった事態に陥りました.
 このため,兵士の士気は低下して部隊内でいじめや自殺が相次ぎ,徴集兵が脱走したり,銃を乱射して仲間を殺害するといった事件まで起こりました.
 また,1994年から2年余り続いた第1次チェチェン紛争で大勢の若い兵士が犠牲になったことから,徴兵を拒否する若者が続出し,ロシア軍の支柱である徴兵制度の崩壊を危惧する声も聞かれました.

 プーチン大統領も,効率的な軍の改革に着手しました.
 特にその必要性が指摘されたのが,2000年8月にバレンツ海で起きた原子力潜水艦「クルスク」の沈没事故です.この事件で,軍に対する国民の信頼は失墜しました.
 プーチン大統領は,軍組織を効率化するため,兵力を85万人規模まで削減することを決めました.

 しかし兵力の削減を巡り,軍の内部で軋轢が起きました.戦略ミサイル軍を空軍と海軍に編入して通常兵力を充実させようというクヴァシニン参謀総長と,空軍と海軍の核兵器を戦略ミサイル軍の管轄下に置いて強化しようというセルゲーエフ国防相の軋轢でした.
 プーチン大統領は2001年1月,セルゲーエフ国防相を解任して,秘密警察時代の仲間のイワノフ安全保障会議書記を文民国防相に任命し,チェチェンなど現実的脅威に備えた軍改革を進めています.

小林和男著「ロシアのしくみ」(中経出版,2001/7/9),p.42-43

 また,2008年には国防相と参謀総長の対立が激化し,参謀総長ら軍幹部が次々と辞表を提出する事態にまでなったという.
 以下引用.

――――――
ロシア軍で内紛か 改革めぐり国防相と参謀総長が対立

2008年03月28日06時53分,朝日新聞


 ロシアで軍改革をめぐり,国防相と参謀総長の対立が激化し,国防相の軍改革案に反対する参謀総長が辞表を提出した,と主要紙が報じる事態になった.
 〔略〕
 独立新聞などによると,今年1月,セルジュコフ国防相の指令で準備が進む海軍総司令部のモスクワからサンクトペテルブルクへの移転について,バルエフスキー参謀総長が軍関係の会議で「時期尚早だ」と反対を公然と唱えた.
 さらに国防省など軍の中央機関に働く要員の4割削減や,モスクワなど大都市にある軍の用地や施設を民間に売却・賃貸する国防相主導の政策でも対立が深まった.

 国防省は26日,参謀総長の辞表報道を否定.一方で,
「軍改革で不利益を得る者たちが,機先を制そうと不正確な情報を流している」
とし,内紛は否定していない.

 セルジュコフ氏は,連邦税務局長から昨年2月に文民の国防相に任命された.
 軍事機密の絡みで透明度の低い軍予算へのクレムリンの管理を強める狙いから,プーチン大統領が決めた人事だ.

 しかし,国防省に近い筋は
「軍事ドクトリンもなく,いきなり要員削減や資産の処分を命じられることに軍内部の不満が高まっている」
とする.

 報道などによると,辞表は作戦・指揮部門トップの参謀総長のほか,国防省や参謀本部の幹部数人も提出したという.
 しかし,政権側は5月のメドベージェフ次期大統領の就任までは,内紛の表面化を避けるため辞任を認めない方針という.

 参謀総長は25日まで休暇扱いとされ,米国のミサイル防衛施設配備問題を巡って18日にモスクワであった米ロの外相・国防相会議にも関与をしない異常な状態だった.

――――――

 この朝日新聞の記事は,本当の事です.
 少なくとも,ロシアでは,そう報じられている事は確かです.
 産経新聞みたいに,歪曲も曲解もしていません.

 ロシア海軍総司令部移転の件については,今年1月23日,ロシア連邦共産党のスヴェトラーナ・サヴィツカヤСветлана Савицкаяが連邦議会下院で,この問題を取り上げています.
ロシア連邦議会下院は,海軍の主要スタッフの異動の問題を調査した

 この中で

――――――
"連邦軍参謀総長ユーリー・バルエフスキー上級大将は,ロシア海軍総司令部の移動に不同意である事を示した.
「私は個人的に,それは今日,必要性が無いと考える」
と彼は,モスクワのロシア連邦軍事科学アカデミーの会議で示した.
――――――

と書かれています.
 海軍総司令部移転には,ロシア海軍退役提督達も反対しているようです.
ソ連邦解体時の海軍総司令官ウラジーミル・チェルナヴィン海軍元帥
元海軍総参謀長ヴィクトル・クラフチェンコ海軍大将
元海軍総司令官第一代理イーゴリィ・カサトノフ海軍大将
元北方艦隊司令官ウラチェスラフ・ポポフ海軍大将は,大統領に宛て,反対の意見書を送付しています.

 退役提督達は意見書で,総司令部移転費用は40~50億ルーブル掛かると推定されるが,これに対し,コルベット「ステレグーシチィ」型は1隻あたり20億ルーブルである,と述べています.
 そんな金が有るなら,他の事に使え,というコトでしょう.

 また,海軍総司令部移転は,「海軍全体を指揮統括する安定したシステムを損う」とも述べています.

 RIAノーボスチでも,3月24日付で,こういう記事が有ります.

セルジュコフは,バルエフスキーを引かせる

>"先週,ロシア連邦軍参謀総長ユーリー・バルエフスキー上級大将が辞任するつもりである事が報じられた.
> この報道は,公式に否定される事は無かった."

 上記の朝日記事の
>「参謀総長は25日まで休暇扱いとされ,米国のミサイル防衛施設配備問題を巡って
>18日にモスクワであった米ロの外相・国防相会議にも関与をしない異常な状態だった.」
についても,こう書かれています.

>"公式には,彼が休暇中だったので,バルエフスキーは不在だった.
>休暇中である専門家を数日,呼び出すことは珍しい事では無い.
>しかしバルエフスキーは,その理由の為,出て来るようには要請されなかった."

 海軍総司令部移転問題についても,こう書かれています.

>"彼(バルエフスキー)は,1月19日,軍事科学アカデミー会議で,聴衆からの質問に答え,
>「時機をわきまえないもの」と,
>モスクワからサンクトペテルブルグへの海軍総司令部の移転を評した.
>それはセルジュコフの決定である."
>
> 付け加えると,この決定は,ソ連邦英雄の高級提督および海軍総司令部の元総司令官,
>幹部による大統領への手紙の中で批判されている."

 ちなみに,1月19日の軍事科学アカデミー会議とは,バルエフスキー参謀総長が「核兵器使用」発言をしたとして報じられた時のものです.
(http://blogs.yahoo.co.jp/rybachii/28524663.html参照)

 この時は,バルエフスキー参謀総長の「核使用」発言がクローズアップされたので,海軍総司令部移転問題は陰に隠れてしまいましたが.

 現ロシア海軍(ВМФ)主要幹部は,海軍総司令部サンクト・ペテルブルク移転には反対していないようです.
 というか,する筈がありません.
 海軍総司令官ウラジーミル・ヴィソツキー大将は,セルジュコフ国防相によって抜擢された提督です.
 セルジュコフ国防相に逆らうような人物であれば,そもそも,海軍総司令官に抜擢されないでしょう.
 そして,ロシア海軍各艦隊司令官は,ヴィソツキー大将の意に沿う(比較的)若手の提督達です.

Небесный бытьネベスニィ・ビィチ~ロシア・ソ連海軍~
2008/3/28(金) 午後 8:46

▼ さて,こんな情報も.

――――――
ロシア軍リストラ計画 敵は資金と内部抵抗

改革が軌道に乗るかの試金石は,09年に最初に再編対象となる第106親衛空挺団と第2親衛自動車化狙撃師団だ.いずれもモスクワ軍管区のエリート部隊であり,両部隊の再編に成功すれば,改革が混乱を招きかねないとの不安を払拭(ふっしょく)できるだろう.
――――――

 明確に再編対象となる部隊が書かれていますね.
 どのように再編されるのかが気になる所ですが・・・

 ちなみに第106親衛空挺団は,モスクワ軍管区トゥーラに駐屯しています.
 今年に入り,同師団は65周年を迎えたようです.

15 января ? день образования 106 гвардейской воздушно-десантной дивизии

CRS@空挺軍 in mixi,2009年01月15日19:04
青文字:加筆改修部分


 【質問】
 ロシア連邦軍における生活水準向上について教えてください.

 【回答】
 ロシア連邦軍においては,一部の高官を除いて,大多数の士官達は安い給料と劣悪な住宅環境におかれていた.
 プーチン政権以降は多少の給料増はあったが,依然として民間レベルに達してはいなかった.

 メドベージェフ政権においては,軍改革の一環として,引き続き軍人の生活水準の向上に取り組む姿勢を見せており,軍人の給料増加・優秀な人物に対してのボーナス支給などの給与体系の見直し.リストラされた将校向けの退職金及び給与支払い期間の延長やアパートの支給(ロシア国防法では退役軍人にはアパートが支給されるとのこと)

 また,同志CCCP1917によれば,

――――――
 『陸軍と海軍の展望(Obozrenie Armii i Frota)』誌 2009年No.5によれば,
・恒久的な住宅を必要としているのは90900人
・7月1日時点での住宅保有数は18208戸
・2009年の住宅建設予定数は50400戸(うち5000戸は補助用)
――――――

ということである.

 ロシア連邦軍予算が経済状態によって,削減されるという話が多々ある中で,もし削減するとしても,後方(被服や燃料etc)や下士官の契約軍人化のための予算であり,装備調達や研究開発費,軍人用住宅向け予算は削減しないという報道が繰り返されていることから,軍人の生活水準向上関連予算は削減されない方針だと考えて良いだろう.

 ただし肝心の予算が“中抜き”されていたり,欠陥住宅が多数建設されていたということであれば,意味が無いことになるのは言うまでも無い.

  【参考ページ】
『軍事研究』 2010年2月号;「軍改革の始動,対米関係,兵器調達・予算・人事総括 2009年ロシアの軍事力動向 最大級の軍改革,軍・産業界の反発や経済危機による資金不足など不安要素が多い」(by 小泉悠 )

Военнослужащие ВДВ РФ получили ключи от 546 новых квартир

Жилье для военных. В Казани празднуют новоселье

Балтфлот укрепляет тылы. Детский сад для детей военных

Новоселье в Сибирском военном округе. В Омске сотни семей получили ключи от новых квартир

Соцразвитие ВС России. В Подмосковье военные справили новоселье

Жилье для военнослужащих. В Екатеринбурге отмечают новоселье

 上記のニュースを読む限りでは,軍人用社宅は急ピッチで進んでいる様子.
 ただし兵士用の宿舎については不明.

CRS@空挺軍 in mixi,2010年03月22日22:11
青文字:加筆改修部分


 【質問】
 メドヴェージェフの軍改革に対し,ロシア軍将兵はどのような不満を抱いているのか?

 【回答】
「国際情報センター」:2009/5/28(木) 午後 9:44
によれば,退役将軍や民族主義的な政治家はメドヴェージェフとプーチンに対し,ロシア軍がNATO軍と対決できないようにしていると非難しているが,最大の不満は,10年以上勤務した将校への住宅配分の約束が守られていないことだという.
 住宅の代わりに証明書が発給されることがあるが,それは住宅入手のためには不十分であり,多くの将校が住む住宅がないという.
 内部抗争は激しいとされ,プーチンとメドヴェージェフは軍参謀本部のほとんどと,民族主義的,保守的な政治家と対立しているという.

 詳しくは同ブログを参照されたし.


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